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第25話 新しい仲間とミーティア弓道専門店


アスコットとセペトと共に本拠地へ帰ってきた


「ミーティアー!ミーティアー!」


「はーい!梳李!どうしました?」


「ミーティアの店の名前さあ…弓矢専門店じゃなくて、弓道専門店にしようよ。俺の前にいた世界では、弓の道と書いて弓道と言っていたんだよ」


「良いですねぇ!かっこいいです」


「あとな急で悪いんだけど、店舗部分は高級な作りが良いと思って、この後建設会社を呼んであるんだよ。ミーティアの思いのままに指示を頼むよ」


「私の思いのままで良いのですか?」


「もちろん!ミーティアの店だからな、ショーケースの配置や…どこに弓を並べるか…壁にも掛けられるように、細工をしてもらった方が良いかな…矢の見本はどういう風に飾れば見栄えが良くて説明しやすいとか…全部まかせるよ。より具体的に注文してあげて」


「あと紹介しとくね、こいつはセペトだ、魔人だけどセブンスターズの後衛の支援職で入ったからよろしくな」


「セペトさん、ミーティアです。よろしくお願いします」


「セペトです。こちらこそ、よろしくお願いします」


「マールはどこいった?」


「前の家の近くの友達に会いに行ってます」


「そかそか出かけてるのか。そうそうそれと店舗の改装費用は、いくらかかってもいいから、豪華に作るんだよ。きっと大盛況になるはずだから。最初はメイドに売り子を任せても良いけど、専門知識があった方が専門店らしいから、従業員も必要になるだろうな。友達を呼ぶのも良いし、募集をかけても良い、そういう事も全部ミーティアに任せるから、好きなようにやるんだよ」


「私も有名人になっちゃいますね」


「すぐになるぞ、弓矢と言えば、ミーティア弓道専門店だ!って…弓使いの間では、ステータスシンボルになって、ミーティアの名が、名前を超えて必ずブランドになる。有名になったら、噂はすぐに本国にも広まるよ。元旦那とか、会った事もないような遠い親戚が、突然来るかもしれないけどな」


「来ても相手しませんよ。既に私の心も身体も梳李の物です!」


「そうです!梳李!私の事もお忘れなく」


「わかったわかった…ありがとうな、2人とも、愛情の形はさて置き、ずっと大切にするよ」


「そしたら、ミーティア弓道専門店という新たな城に、大きな夢を抱いて内装を考えてください」


「少しだけ!ありがとう!梳李」


「人前で抱きついたりできるのね」


「ミーティアずるーい!」


「さて、セペトが戸惑ってるからリビングに行くぞ」


リビングに行くとメイドさんがお茶を出してくれた。当たり前の事なのだろうが、庶民として育った俺にはとても贅沢に感じる


「セペトともちゃんと話をしないとな。まず、ダンジョン探索は低層だけど、アスコットとマールと3人で頑張って欲しい。生まれ変わったつもりで、いちから初めてくれるかな?」


「はい!よろしくお願いします!」


「荷物持ちでもなんでもするんだよ。支援職として、アスコットとマールにバフをかける事も、対峙した魔物にデバフをかける事もお願いするんだけど、マールの撃つ矢に攻撃魔法を乗せる訓練をしてほしいんだよ」


「火を乗せるとか、風を乗せるとか、そういう感じでしょうか」


「爆発や貫通に繋がる魔法なら、属性はなんでもいいんじゃないかな、なるべく早く発動できる、得意な物をみつける所から始めるのも良いかもな。セペトとマールコンビで、必殺の一撃を撃てるようになって欲しいんだよ」


「わかりました!自分を鍛えて必ずやり遂げて見せます!」


「2人には聞かせてなかったけど、矢の開発に成功してな、どんな弓から放っても矢速も命中率もあがるんだよ。マールにはミスリルの矢を使わせるから、魔法は乗りやすいから」


「それで、必ずブランドになるって言ってたんですね」


「そういう事だ。今、セペトの住まいは?」


「実家は本国にあるので宿暮らしです」


「それなら荷物を持って引越しすればいいな。2階の寮に入れ」


「アスコット!早速パーティ登録と引越しを手伝ってやってくれよ。雷風を使って良いから、あと夜には総帥が来るだろうから、ガブリエルと一緒に同席出来るように頼む」


「わかりました。それでは行って参ります」


突然忙しくなった梳李は矢継ぎ早に指示を出し、ひとつひとつの課題を潰していた


「こんにちはー!」


「いらっしゃいませ!どちら様でしょうか?」


「ガルーダ兄弟が来たとお伝えください」


「ミーティアの店舗に案内してー!俺も降りるー!」


ミーティア弓道専門店


「先程はありがとうございました」


「ルイーダさん、もういいですよ。大した事はしていませんし、それよりここが改装をお願いしたい店舗で、この者が責任者のミーティアです。全て彼女に任せてあるので、専門家のアドバイスも交えて打ち合わせをお願いします」


「わかりました。費用の話はどうすれば良いですか」


「開店すれば、半年を待たずにミーティアというブランド名が、世界中を駆け巡る事になると思います。それに見合うだけの内装をお願いします。費用はいつでも請求してくだされば、その場でお支払い致します。あとミーティアは自分で金属の加工も装飾も出来ますので、金具を埋め込む溝の加工だけを、注文する事もあると思いますが、ミーティアの夢の城となるような最高の仕事をお願いします」


「理解しました。一世一代の仕事をやってみせましょう」


「それでは、あとは2人でお願いします」


「ガルーダさんもわざわざ来てくれたんですね。ありがとうございます」


「それが、わしはわしで梳李殿にお話がありまして」


「そうですか…ではこちらへ」


再びリビング、今日は忙しいな(汗)


「どうされました?」


「ふたつお願い事があります」


「どうぞ、協力は惜しみませんよ」


「まず弟の事なのですが…娘が人質に取られる程には借金はこじらせておりまして、腕は良いのですが、金額の折り合いを付けたり、妥協するのが苦手なようで、競合すると必ず負けるのです。弟の気持ちを代弁して申し訳ないのですが、尊敬できる梳李殿の商会なら傘下に入って、現場に打ち込めるようにしたいと申しております」


「わかりました。それでは下の店舗に仕事に来るついでで良いので借金の証書を持って来るように伝えてください。こちらで処理します。あと人族の王国とセントラルを結ぶ大事業が始まるので、協力業者を集めるように伝えてください」


「ありがとうございます。弟も喜びます」


「もうひとつはなんですか?」


「梳李殿と共に行動して、アンダーソンが騎士団をとっとと辞めて、梳李殿の元に走った事がとても良くわかったのです。警備隊よりも正義の剣を心に持ち、強さの中に大きな優しさをお持ちで、私も冒険者パーティの末席に加えて頂きたいのです」


「いいんですか?エルフも魔人もいますよ」


「はい、姪を救出してもらった時に、梳李殿が優しい顔で、姪を抱っこしてる姿を見て、人族とか獣人族とか、今まで自分がこだわって来た事がとてもちっぽけな事に思えて、それに魔人のメンバーに対する接し方も、感服いたしました。お願いします!どうか仲間に入れてください!」


「願ってもない申し出ですよ。ガルーダさんは何人家族ですか?」


「妻と12歳の子供が居ます」


「お子さんは何をなされてるのですか?」


「弟の所で働いています」


「ここに住みますか?」


「古い借家住まいなので出来ればこちらへお邪魔したいと思います」


「ルイーダもでしょうか?」


「はい!3人家族で同じ長屋にいます」


「わかりました。3人家族が2組住めるように寮を改造しますので、1ヶ月お待ちください。警備隊はいつ辞めるのですか?」


「姪の事を相談しても、捜索に回す人手は無いと言われて、お会した時には既に辞めておりました」


「ははは!ガルーダさん、面白いですね。了解しました。それなら改造を待つ間の生活費はこちらで用意します。とりあえずはアスコットとセペト、マールと合流してパーティ登録とダンジョン探索をお願いしますね」


「ありがとうございます。とてもやる気が出て来ましたよ!ごぉー!がぉー!」


遠吠えって!


「ガルーダさんの兄弟は獣人族の中では何種になるのですか?」


「白虎種ですよ。獣人族の中でも最強に分類される種族です」


「アスコットって、そんなガルーダさんとライバルだったんですね。そんなに強かったんだ」


「彼女のスピードは私を超えます。真正面からぶつかれば私が勝ちます。かわされれば負けます」


「なるほど、そんなにアスコットが強いのには驚きでした。初めて会った時はワニに食べられかけていたので。ガルーダさんの獲物はなんですか?」


「私は大剣使いです」


「わかりました。獲物も引越しまでには用意しますね」


ミーティアは満足な打ち合わせが出来たらしく、幸せな顔をしながら、アスコットの剣の仕上げに取り掛かっていた。ガルーダとルイーダも新しい出発に胸を踊らせているようだった


あと…総帥が来て話があるんだな


それまで少しのんびりしよーっと



第26話に続く


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