第2話 ナビゲーター
「ふぁ~あ!よく寝た!」
「ナビゲーターさん」
「なんですか?梳李様…」
「もう夜になったんだね…自分で作った穴だけど、広い荒野にぽつんとひとり、空は星が輝いて…綺麗な星だね」
「そうですね、ここはヘカテー様が管理する星の中でも特に平和で美しい星ですね」
「そうなんだな。そんな所に転生させてくれるなんて…笑いのセンスはまだまだだけど、いい女神様だな」
「亡くなる原因が、とても地球にとって重要な事だった点と…ヘカテー様に気に入られたのだと思いますよ」
「そうなの?最後…罰じゃ!とか言ってたけど」
「気に入られたのですよ…普通は生前の功績によって、転生する事になったとしても、持ち込める能力はひとつで、前世の記憶は消されます。ステータス値も死なない程度にはなっていますが、ギリギリ最低限の数値です」
「そうなのか、大サービスって訳か!」
「もちろんです!それに考えてもみてください!やりたい放題のチカラを与えて転生させたら、世界征服や人類滅亡を計画されるかもしれないじゃないですか!下手をすると転生先の星が無くなります」
「確かにそうだよね」
「女神ヘカテーに気に入られた時点でそのような危惧はないのですが…梳李様としては、とても誇らしい事ではないでしょうか」
「そういう説明を聞くと、少し残念なあの人も…女神様って感じがするな!はははっ!ヘカテー様はDVDで勉強してるかな!」
「ふふっ!多分…みてるでしょ」
「そうだ気になってたんだ!ステータスボードって見せてもらえるの?」
「どうぞ」
レベル999 HP99999 MP99999
ATK9999 DFS9999
MAT9999 MDF9999
称号 異世界からの転生者
ヘカテーの代理人
管理者を所有する者
スキル スキル取得無限 スキル作成
魔法取得無限 魔法作成
武具制作 アイテム制作
所持魔法 アイテムボックス10
シールド10
「この魔法の後ろについてる数字はなに?」
「熟練度を表しています、10が最高レベルです」
「ステータスはカンストしてるけど…これ以上は上がらないの?」
「今後の活躍次第では限界突破が可能です。ですが現時点での数値でも、最強の生物であるドラゴンの倍くらいのチカラがあります。魔物にやられたり、人に危害を加えられる事は、まず無いでしょう」
「ヘカテーの代理人って言うのは…」
「それは…代理人としてするべき事がある訳ではないですよ。多分…梳李様なら、今後起こるかもしれない想定外の問題に対し、代理を果たせるだろうと、お思いになったのでしょう」
「加護のようなもの?」
「その認識で問題ないですね。生活しているうちに、実感する事もあるでしょう」
「管理者ってのがナビゲーターさんの事?」
「そうです!どちらもとんでもなくレアな称号ですよ」
「ほんと女神様には感謝しなきゃな!所でナビゲーターさん!ナビゲーターさんでは味気も色気も無いと思うんだけど」
「なんとお呼び頂いても良いのですよ」
梳李は顔を真っ赤にして、照れながら言った
「学生の時に憧れてた人が居るんだけど…声も似てるから…その人の名前でいい?」
「あらあら梳李様の初恋の相手ですか?」
「まだ子供だったから、初恋にもならない初恋かな?面倒みがよくて、お節介なんだけど、優しくて…1年間だけ隣の席だったけど、反抗期だった俺もその子には、逆らえなくてさ」
「甘酸っぱいお話ですね。では、そのようにお呼びください」
さらに頬も耳も赤くして…頭から湯気が出そうになっている
「そしたら…委員長で!かぁー!!!恥ずかしい!」
「わかりました…梳李様!」……………
「梳李君!また宿題してこなかったの!」
「いや…約束したから、したんだけど…慣れてなくて家の机に置いてきちゃったんだよ」
「まてまてまてまて!いつのシーンを再現しとんやねーん!」
「軽く覗き見しました!てへっ」
「焦ったじゃん…」
「あと…俺は何歳で転生したの?」
「この世界ではエルフの国を除けば15歳で成人しますが、あまり若くては不都合もあるだろうと、20歳からの再出発ですね」
「今、エルフの国って言ったけど…この世界はどうなってるの?」
「ここ深淵の大森林が最南端に位置します。そこから、北西に人の国、少し北に獣の国、最北に魔の国、そこより南東にドワーフの国、少し南にエルフの国。その5つの国の真ん中に共同国家セントラルがあって、5カ国が種族を超えて共同で国家を運営しえいる為、貿易、流通、研究、学問…全ての中心になっています」
「って事は…戦争や紛争はないんだね」
「えぇ…とても平和な世界ですよ!」
「ただ最近…魔物の活動が不自然に活発化してる様子があります。この星に転生されたのは、それが理由なのかもしれませんね」
「どっちみち、この星に居る魔物とは全部と戦ってみたいし…せっかく大きなチカラを与えて貰ったのだから…しっかり恩返ししなきゃね!」
「いい心がけですね…そんな梳李様に耳寄りな情報が…」
「なに?」
「スキルや魔法をもっと覚えたら、本物の委員長そっくりに私を実体化させてナビゲートさせる事も可能ですよ!」
「まてまて…それはしなくていい。悪趣味が過ぎるだろ…」
「思春期でさ、憧れはあったけど…本気で委員長と付き合いたかったとか…そういうのじゃなくてな。あの時、告白してたらどうなったかな…とか、向こうは俺の事をどう思っていたのかな…とか、色んな事がただただ淡い色の中にある、懐かしい思い出だから良いのだよ」
「梳李様はロマンチストですね」
「変か?」
「ふふふっ!私は良いと思いますよ!」
「ところでこれからどうするかな…朝までは寝そべって、空を眺めるとしても…10kmの円の真ん中にいるんだよな」
「明るくなって確認しに行けば良いではないでしょうか…グルっと回っても30数kmですから…梳李様の足なら1時間もかからずに行き来出来ますよ」
「そうなのか…あと、あちらこちらにキラキラ光る物や材木とか岩とかあるけど…あれは何?」
「自動的に倒した魔物の魔石やドロップアイテムですね。この世界では、魔物を討伐すると、魔石と武器や毛皮、角や牙などの素材アイテムがドロップします。中には死者を呼ぶ笛とか、身体能力を高める首飾りとか、レアアイテムもドロップされ、総じてドロップアイテムと呼んでいます。お気づきだと思いますが…金銭もゴールドとしてドロップされます。あとは木を伐採すると材木がドロップしたり、鉱石や岩を割るとブロックや武具の素材がドロップします。大森林のど真ん中に落ちたので材木はいっぱいありますね」
「あれを全部ひとつひとつ拾い集めるの?」
「そうですねぇ…アイテムボックスを出してもらえますか!」
「こうかな?」
「そうです。それからその魔法陣を記憶して、拾いたい物の下に展開してもらえますか」
「む、難しいな…」
「集中して、ゆっくりイメージしてください…慌てないで、イメージです」
「こ、こうかな…」
「梳李様!もう少しです…集中してください」
「で!出来たー!ありがとう!」
「成功です!今のでコレクトという魔法を覚えましたよ!梳李様なら、練習すれば100ヶ所くらいは同時発動できるのではないでしょうか」
「委員長はいつ寝るの?」
「私は梳李様の脳波に割り込んでサポートするナビゲーターですから…梳李様が寝たら自動的にログアウトしますし、起きたら自動的にログインしますよ!」
「便利だね」
「そうですよ!だてに管理者と呼ばれているわけではありませんよ!」
「んじゃ…魔法の練習をしながら…どんな土地で、どんな場所かを見て回って…それからここをどうするか決めよう!」
「そうですね!楽しみですね梳李様」
少しづつだが状況を理解してきた梳李。まさかの初恋の相手は委員長!ドン引きなカミングアウトも異世界ではなんのその!
第3話に続く




