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第16話 バルバロッソ


夜になる前に転移門を使い戻ってきていた。明朝アスコットに会う前に、バルバロッソの冒険者登録を済ませておきたかったからだ


転移門をくぐると、狭い真っ暗な空間に出たので、雷風もバルバロッソも大騒ぎして暴れたが、バルバロッソが殴って土壁を壊し、日差しが見えると2人とも静かになった


「そんなに慌てなくてもいいんじゃないのか?」


「は!主!失礼したした。青竜王様もご一緒でしたので、思いの外緊張してしまいました」


「ほほう…雷風よ。良い心掛けじゃ」


梳李はバルバロッソをコツンと叩いた


「バルバロッソ!お前は今から俺の冒険者仲間だ。俺の事は梳李と呼べばいいし、話し方も青竜王っぽいのは辞めるんだぞ。あと雷風も仲間だから、いじめたらジャイアントスイングの刑だからな」


「は、はいー、わかりましたから、回さないでください。あるじ…じゃなくて梳李」


「せっかく俺と一緒に冒険するんだ!人の社会に馴染んで、美味しい物を食べたり、楽しく遊んだ方がいいじゃないか!」


「そうそう!その為に着いてきたんだよ」


「まずは人の街を見に行こうよ!今日は欲しい物はなんでも買ってやるし、食べたい物をなんでも食べさせてやるぞ」


「うぉーぉ!楽しみですー!」


「雷風はどうする?水と干し草を置いて行くから、この辺でのんびり過ごすか?」


「はい!街は苦手です。主がよろしければ、この辺りの草原で、風と戯れお待ちしています」


「それならのんびりしていろ、バルバロッソと街に行ってくる」


城門までは1kmはなかったが全力で走ってみた。バルバロッソは流石と言うべきか、平気な顔をして、当たり前のように着いてきた。城門には、たまたま俺を知っている人が、番人をしてくれていたので、バルバロッソの冒険者登録をしに行くと話したら、そのまま通して貰えた


バルバロッソは初めて見るセントラルに目を輝かせていた。ドラゴンは綺麗に光る物が大好きらしく、アクセサリー屋を通る度に立ち止まった。肉を焼く匂いにも敏感で、クンクンしてはそっちに向かった


「バルバロッソ、冒険者登録が終わったら、大きくて綺麗な石を買ってやるし、食べたいだけ肉を食べさせてやるから、先に登録に行くぞ」


「はいー!」


冒険者組合に到着しバルバロッソの登録を済ませた、セブンスターズも3人に変更してもらった。受付のお姉さんに、肉料理でオススメの店と、大きい石を売ってそうな店を、教えてもらって、そこに行く事にした。服装については、軽い装備は組合でも販売していたので、拳闘士の定番スタイルにコーディネートしてもらった


バルバロッソは目をきらきら輝かせて石を見ている。宝石と言うよりは綺麗な石といった感じだ


「どれでもいいぞ」


「色んな色があって悩みます」


「それなら全部の色で首飾りを作って貰おうか…すみません!」


「はい!お伺いします」


「この大きい石を、緑、赤、青、紫、黄色っていう順番に並べて首飾りを作れますか?」


「少し値が張りますが、作れますよ」


「そしたら真ん中の青は飛びっきり大きめにして、あとバランスや飾り付けなどは任せます。ご飯を食べに行くので、その間にお願い出来ますか?」


「かしこまりました。代金は先払いですがよろしいですか」


「いくらですか?」


「全部で1000万ゴールドになります」


「じゃあこれでいいですか」


「確かにお預かりしました。ありがとうございます。後ほどお待ちしております」


「バルバロッソ、作ってもらってるうちに、お肉食べに行くぞー!」


「梳李、ありがとう。お金いっぱい使わせちゃったね」


「バルバロッソってお金の価値はわかるのか?」


「ドラゴンの知識は人の何万倍もあるんですよ。管理者には勝てないけど、長く生きている分だけ情報量がどんどん増えていきます」


「そうなのか、お金は気にしなくていいよ、これから一緒に冒険してたらいくらでも入ってくるし、今日の買い物は1ヶ月間、開拓地をしっかり守った褒美でもあるからな」


「わかりました!これからも、一生懸命働きます」


「ま、それはいい。飯だろ飯!」


「はいー!」


ステーキを食べに行ったのだが…次から次へおかわりを重ね、バルバロッソが満足する頃には、お店も青い顔をしていた。それでも青竜王とは思えないような、無邪気な笑顔に幸せな気持ちをもらった梳李だった


首飾りを受け取り、雷風と合流する頃には寝むってしまったので、抱きかかえて戻った


「青竜王様は随分しあわせそうに寝ておられますね」


「雷風が大草原を走った時のように、嬉しそうにしてたからな」


「主、私には何となくわかります。私は青竜王様ほど強くはありませんが、それでも大森林にいても、私に傷を付ける事のできる、魔物などおりません。強い事は良い事ですが、同族でも遊び相手も居ないので、孤独なのです。青竜王様も主の絶大な強さを前に心地よいのだと思いますよ」


「それなら嬉しいけどな…強くある事で安心感を持ってくれるのなら、まだまだ頑張らなきゃな」


今日も野営になってしまったが草原に寝そべって空を眺めて眠るのは悪くない。バルが仲間になった事や女神ヘカテーと話した事に想いを馳せていたら、眠った雷風も、ぐっすり寝ているバルも、じわじわと寄り添いくっついて来たのを見て、絆を感じずには居られない梳李だった



第17話に続く


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