表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/135

第15話 神の国ヘカテー


梳李は転移門を設置する為に、人が立ち入らないような山肌をさがしていた。こちらに設置した転移門に、異常が起これば戻れないからである。森を奥に進んだ所に行き止まりを見つけたが、途中ゴブリン数体に遭遇した為、転移門を設置したあと、ディフォメイションで山肌に、溶け込むように囲った


久しぶりの開拓地、バルバロッソに会うのも久しぶりだ。梳李は高揚していた


「約1ヶ月ぶりの開拓地かあ!」


「あっという間ですね。時間が経つのは」


「そうだよなー、大森林で魔物相手に鍛錬を続けて、人の生活を久しぶりに味わって、悪魔憑きも討伐して、冒険者にもなったもんな。そんな事よりも、もうこんなに街ができてるのか」


バルバロッソが上空で旋回しながら近づいて来て、人型になって着地した


「主!久しぶりです」


「開拓地の守護、ありがとう。開拓ももうこんなに進んだんだな」


「はい、主が旅立たれたあと、ヘカテー族にも族長ができ、各開発担当の責任者も任命され、細分化された各部門が、競い合って開発を進めた為に、想像を超える速さで発展しました」


「最後にしようと言っていた、主と私の城も完成間近ですよ」


「凄いなあ…神殿もあるんだな」


「主が作ったヘカテー様の像を囲うように作りました。はじめに取り組んだ建物ですね」


「王よ!おかえりなさいませ。ヘカテー族の族長になりましたシモンズと申します」


「名を持ったのか!」


「王に無断で大変申し訳ありません。神殿建設が終わった後、祈りを捧げておりましたら、ヘカテー様からの告知があり、全員が名を頂いたのであります」


「ヘカテー様が姿を見せてくれたのか?」


「まだまだ私どもでは、そのような奇跡には出会えませぬ、各人の心に話しかけてくださったのです。それをきっかけに、知能も身体能力も上がったようで、このように国を作る事ができました」


「そうか…バルバロッソ同様シモンズも頑張ってくれたんだな。ありがとう…バルバロッソに街は案内してもらうから…持ち場に戻っていいぞ」


「委員長はこうなってる事はわかってたの?」


「私も進んでるのは理解していましたが、まさかここまでとは、思いもよらない発展です」


「委員長の想像の上を行ってたか!いいな!とてもいい!バルバロッソ、案内を頼みたいが…ともかく神殿だな」


神殿に入るとヘカテー像が黄金に輝きヘカテー様が舞い降りた。美しい容姿に白い翼、死んだ時に1度あった姿そのものだった


「ヘカテー様ご無沙汰しておりました。この星に新たな生を受け、梳李は幸せに暮らしています」


「見ていたぞDVDを…じゃなくてたまにお前達の行動も」


「たまにって!小さいボケを入れて来る所もお変わりなく」


「まあ堅苦しい挨拶はなしだ、私もここならいつでも来れる。久しぶりに話でもしようじゃないか」


「はい…女神ヘカテーの心のままに」


「しかし梳李、お前は面白いやつだな。ヘカテー族なる私の眷族を作って、文明を起こすとは、青竜王までこき使い、ナビゲーターは委員長と名付けたか…はははははっ!実に面白い」


「それも聞いた事のあるセリフですが…どうしてもぶっこみますか?」


「いや、真似たのではない。事実じゃ」


「ヘカテー様に何点か?相談がありまして」


「遠慮なく話せばいいぞ…この神殿も気に入った、私を崇拝する種族も気に入った。お前を代理人にした事には満足している」


「まずはバルバロッソの事なのですが…今はこの神の国ヘカテーの守護者として、活躍してもらってますが…セントラルに連れていくのは可能でしょうか?」


「私が女神でも、青竜王の心までは変えられないぞ。本人が挑むのなら、守りは問題ないぞ。この神殿のおかげで守護は容易い。どんな外敵からもヘカテー族を守ると約束しよう」


「行きたい!行きたい!私は行きたいぞ!」


「ならば、問題ない。梳李と共に行けばいい。あとはなんだ?」


「セントラルに行き、街を、人を、見てきました。平和の象徴とはいえ、無理やり作った共同国家の為に、厳しいルールを決める事で、何とか保たれている秩序です。私は冒険者になって少しでも、差別や偏見の無いセントラルになるように努力したいのです」


「それは、願っても無い申し出だけど…苦労するぞ梳李」


「どこまで本気かと聞かれると、少し怪しいですが…青竜王を振りまわして投げ飛ばすくらいの強さは頂きました。理想なき力は虚しいですし、力なき理想も儚いものです」


「わかったぞ!好きにすればいい」


「あと、悪魔憑きとやらに出会ったのですが…」


「それはゴルゴーンの仕業じゃ、やつは嫉妬深くてな、少し因縁のある女なのだが…ちょくちょくちょっかいを出して来よる。混乱を招く程の力はないのだけど、人は美しい心も醜い心も、必ず併せ持っている物だから。隙間にうまく干渉してくる。それは逆に私が梳李に頼む必要があった、見つけたら討伐して欲しい」


「わかりました。最後にこのヘカテーから取れる、農産物や加工品をセントラルに持ち込んでもよろしいでしょうか?」


「なんの問題もないだろう。その点は管理者はどう思うのだ」


「もしかすると、神の国ヘカテーの存在が露呈するかもしれませんが、ヘカテー様がそれを了承なさるなら問題ないかと」


「なるほどな…まあ良いだろう。一応セントラルにもここの10分の1くらいの神殿はあるし…神としては認識されている。長い年月で信仰心は弱まっているけどな!弱まってるけどな!」


「怒ってるんかーい!なんにしても色々すっきりしたよ。また頑張ってくる。ちょくちょく来るから欲しい物があれば、食べ物でも飲み物でも委員長に伝えてくれたら、持ってくるから」


「梳李、無理するんじゃないぞ」


色々質疑応答をして神殿を出た。バルバロッソはやる気満々である。その後、族長に工房で作る製品に、エリクサーやポーションと言った回復薬を加える事と、それに必要な栽培も頼んで来た。


バルバロッソに案内してもらった街はとても整備されていて、セントラルと比べても遜色のない街になっていた。果樹園や畑も時期が来れば収穫が楽しみで、酪農も既に盛んに行われていた。俺は族長に追加で資材や食料を渡し、神の国ヘカテーを後にした



第16話に続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ