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第1話 転生させてくれるってさ


「誰か落ちたぞー!」


ここは工事現場…足場の上で、突風に煽られた作業員を掴んで引き上げたら、代わりに落ちてしまった


「さすがに…死んだな」


自分で言うのもなんだけど、いい人生だったな…


「って思うしかないけど…まだ30だし、独身だし…あのアニメのフィギュアのコンプリートはまだだし…来週とる資格もあるし…やり残した事がいっぱいあるじゃねぇーかー!」


俺は鮫肌(さめはだ) 梳李(けずり)…今まさに落下中である。極度の収集癖の持ち主で、とにかくなんでも集めたくなる。流行った時計に始まり、靴も、デニムも、フィギュアも漫画も、なんでも集めた。ゲームをすれば攻略本を隅から隅まで読んで、全キャラクターの全部の装備を集める事が楽しかった。仕事に就いたあとは、特に必要のない資格ですらコレクションした。


レア物が入手可能と聞けば、大学の講義にも出席せずに、バイトして購入した。コミック漫画も改訂版、豪華版などは、ラップに包んで埃が付くことも許さなかった。ゲームは使用する物とコレクションする物とにわけて、必ず2個づつ購入した。大手建設会社に就職してからは、給料の大半をそういう物につぎ込んだ。


俺自身は収集癖があると思ってなかったし、どれも始めのうちは、気に入った物、欲しい物だけ購入するのだが、なぜか?全部欲しい衝動に駆られて止まらなくなるのだ。


いつからはじまったのか…起源はわからないが、コンプリートした時の充実感に、いつの頃からか、酔いしれるようになっていた


とはいえ、その充実感に至るまでには、多大な金銭を必要とする。


梳李は、それらを走馬灯の様に思い出しながら…コレクション途中の物の方が多いけど、未練があるわけでは無いから、成仏させて欲しいと願ったのだ…誰にだよ!


梳李(けずり)と申したか…」


「あ…はい…あなた様は…ここは…」


「安心しろ!お前はもう死んでいる」


「聞き覚えのあるセリフですが…」


「いや、真似たのではない!ほんとの事を言ったのじゃ!」


「そ、そうなんですね」


「ところで梳李…今お前が助けた者は、地球に無くてはならない存在だった…」


「ただの職人のあんちゃんですよ?」


「あの者の曾孫が温暖化対策の第一人者として地球を救うのじゃ」


「そんな未来が…わからないもんですね」


「まあ…それはよい!その功績を認め転生させてやる。地球以外でな!」


「ところであなたは誰なのですか?」


「あたしゃ神様だよ!」


「というか…ちょいちょいぶっ込んでくる女神様ですね。笑う場面か?崇拝する場面か?こちらも対応に困ります!」


「い、いや…私なりに本人に死んだ事を伝えるのに、空気がどんよりしないように練習してるのじゃー!」


「なるほど…私のような庶民には計り知れない、女神様の深き慈愛という事ですね…ただ、女神様!あたしゃ、神様だよ!はもう誰もわからないと思いますし、笑いを欲するのなら、もう少し訓練が必要かと…僕の家にはそのジャンルの、DVDコレクションも沢山ありますので、後ほど全部回収して、もう少し新しい笑いを勉強なさいますように」


「そ、そうか…ありがたく頂くとしよう」


「それで地球じゃなければどこに行くのでしょうか?それも女神様の都合があるのでしょ?」


「そ、そうなのじゃが…そういう言い方をしては、身も蓋もないじゃないか!」


「もう一度、生きられるなら、それがどこでも感謝しかないですよ!僕が選ばれたのでしょうし…できれば収集癖を満足させられるような世界だと良いですけど…」


「梳李に行ってもらう場所は…」


「異世界ですか…」


「まてまてまてまて!そこは、剣と魔法の世界、魔物が闊歩し、空を飛ぶ世界…異世界じゃ!まで私が言った後で、梳李が喜ぶ場面じゃないか!」


「それくらいの空気は読めるのですが…少しからかいたくなっちゃって…すみません」


「話が早いのは助かるが…で!何を持っていく!何が欲しいのじゃ!」


「何を持って行けるのですか?レベル?スキル?特殊能力?貰えるものは全部持って行きたいですけど」


「欲ばりなやつじゃな…」


「ご褒美で行くのだから…魔王討伐とかミッションがあるわけじゃないんでしょ?転生した時点で使命が終わるなら、なるべく楽に楽しく自由に生きられる方がいいじゃないですか」


「お前と話をしてると…色々とキリがないのう。スキルでも武器でも魔法でも好きに収集すれば良い。無制限のアイテムボックスとスキルは経験で取り放題、作成も可能にしてやろう」


「武器はどんどん収納するとして、新しい武器や新しい魔法も作成できるようにしてくださいね」


「わかったわかった!ではぼちぼち…」


「あと…もう少し若く転生させて欲しいのと、知識が豊富なナビゲーターをつけてください!可愛い女の子の声で!」


「まだ、いるんかーい!」


「はははっ!上手い!上手い!最後に一瞬でレベル上げ出来たら最高です」


「まったく…それなら最南端の僻地に一辺が2500km四方の深淵の大森林というジャングルがある!その世界に住む種族が、なんびとも太刀打ち出来ないような、凶悪な魔物で満たされているような場所じゃ、その真ん中辺りに隕石のように落としてやる!」


「えっ!」


「ほほほっ!欲張った罰じゃ!」


「死なない程度にお願いしますね」


「頑丈なシールドを張って落としてやる!」


「ひゃー!最後に女神様…お名前を!」


「我はヘカテー!人に富と幸を与え、天上・地上・海中に力が及ぶ!加護は与えてやる!あとはお前次第じゃ!機会があればまた会おう」


癒しの光につつまれる…そしてシールドに守られてはいるが超高速で落下している。そして燃えている


「あひゃーーー!」どっごーん!


直径10kmくらいのクレーターが出来た。ナビゲーターから声がする


「レベルアップしました…レベルアップしました」


ずーっと声がする


「それにしても、また死ぬかと思ったぜ。落下して死んだ俺を、落下させながら転生させるって…洒落にならんな」


このレベルアップは直径10km分の魔物の分かな…しばらくレベルアップが続きそうだから、のんびり考えようと梳李は眠りについた


って!寝るんかーい!ヘカテーの声がした


第2話へ続く


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