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【番外編・ショートショート】ジルさんの奢りで

ジルくんとディーくんがわちゃわちゃするお話です。

婚約破棄までの段取りが決まってコートウェル邸を辞したあと、僕たちは飲みの約束通り商業区に向かう。

ついた先はどんぐりととまと亭。その日も店は混雑していた。

「もっと高級な店をふっかけられるかと思ったのに、良かったんですか?ここで」

「何度来ても飽きねーし。楽でいいだろ。飯も美味いし」

エールで乾杯した僕たちの前にちょうど美味しそうな料理が運ばれてくる。

ディーはエールを一気に飲み干すと、おかわり!とグラスを掲げる。

「相変わらずですねえ…そんな飲み方してたら体壊しますよ?」

「俺、まだ若いから。俺()

「ほんと腹立つ言い方するなぁ…」

そこに、店員さんがディーのおかわりのエールと小さな木製のカップを二つ持ってきてくれる。

「軍人さん、いつもご贔屓にありがとう!これ、お店から」

「マジー?!いつもさーせん」

置かれたカップの中身が透明なことを確認して嫌な予感がする。

「…ディー?」

「ん?」

「これは?」

「え?見りゃ分かんだろ?」

「…ホントに、いつもどんな飲み方してるんですか…」

「ホラ」

ディーがカップを持てと煽ってくる。この二人はどうしてこうも僕のことを煽るのだろう。何か僕に恨みでもあるのだろうか。それとも僕を困らせると楽しいのか。

しぶしぶカップを持った僕に、一気だぜ、とニヤリとディーが笑う。

…楽しんでるな、これは。

「…飲み比べなら負けないからね。知ってるだろ、ディーも」

見せつけるようにスピリタスを煽ってやった。



そんな飲み方をしていたら、ディーもさすがに少しは酔いが回ってきたのか目元が赤らんできていた。僕はディーに気づかれないように少しずつ水を飲んでいるのでまだ余裕がある。

「ジルさあ」

「ん」

「れりぃのことホント頼むな」

「…んー。わかったから、君、少しはお水も飲みなさい。ろれつ回ってないですよ」

「俺は国も守りてえんだよお…」

「うんうん、立派立派」

「ちゃんときけ」

ディーがジト目になったところで、隣のテーブルからキャアやだあ~という嬌声が上がった。ディーはそちらに目を向けるとボケッと店員さんと客が絡んでいるのを眺めている。

「あー…。俺もやることやっとかよかったよな…」

「下品が過ぎるんだけど」

「っせーな。いいらろ男だけしかいねーんらから」

…やること、ねえ。

「…かわいかったですよ」

ポツリと溢したその言葉が自分の耳に聞こえて初めて、重大な失言に気づいた。

目だけをディーに向けて様子を伺うと、目を真ん丸くして、酒で赤くなっていた顔をさらに赤くしている。

それを見て僕は自分の顔も赤くなってくるのを自覚した。

「…お、ま…」

「…いや、…なんでもない…」

「なんでも…ないわけ…ねえ…だろうがぁ…」

ギリ、とディーが歯ぎしりする音が聞こえた。

「いや、ごめんって…違うんだって…」と僕は頭を抱えながら小さくつぶやく。

「すんませーん!!!スピリタス、瓶ごと!!!!」

「待て待て待て!瓶は無理だって流石に!!!」

「…るっせえーー!!!!」


そして翌日、ガルディウスとジルはそれぞれの自宅で思い思いに二日酔いに悩まされていた。

珍しく慌てるジルくんでした。

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