表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】愛猫ともふもふ異世界で愛玩される  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/70

37.アランはちょっと違うかな

「この人が……アランさん……」


 想像していたのと全然違う。まず間違いなく、地球人ではない。その認識から始まった。


「ああ、君がレイモンドお気に入りのお嬢さんか。可愛いなぁ」


 レイモンドが怖いから手を出せないとか、そんな話をしている男を上から下までチェックする。アイカの目に映るのは、肌の色が青くて、瞳は赤色の人だった。


 事前情報通りに髪は茶色だし、人間っぽいと言われたら否定できない。髪色や瞳はそんなに驚かないが、肌が青いのは日本以外の国でもないと思う。


「地球って知ってます?」


「ううん、知らないな。同じ世界じゃないのかも」


 不思議と会話ができるが、これはブレンダ達相手でも同じなので、アイカは気にしなかった。いっそ愛猫とも会話できたらよかったのに、そう残念に思う程度である。


「知らない世界の人か」


 レイモンドは驚いた顔で呟いた。彼の目から見ると、さほど変化はないらしい。多少色が違うが、そんなのはこの世界の獣人の種類ぐらい些細な問題のようだ。


 頭部にだけ髪と呼ばれる毛皮があり、爪や牙も頼りない。その上大きさもほぼ同じで、弱い。と揃えば、同じ世界の住人だと思ったのだろう。


「全く違う世界だね」


 アランも同じように苦笑いした。彼は小型動物系の女の子が好きなようで、よく追い回すようだ。アイカは眉を寄せながら、自分の周囲の動物を思い浮かべた。……リス店長のマーク以外、全員自分より大きい。


 でも追い回してないからアランとは違う。張り合うように比較し、アイカは胸を反らした。


「違ってて安心した」


 せっかく来てもらったので、話をするために出前をとった。この世界では外食は日常的らしいが、出前は新しい慣習だ。というのも、数十年前に亡くなった宮大工の京都人が広めたばかり。数店舗しか対応していない。


「アランさんはこの世界に来て、どのくらい?」


「おや、僕だけ「さん」付けは不満だな。アランと呼んでくれ」


「はぁ……で、アランは何年いるの?」


「ざっとこのくらいだ」


 片手を広げたので、五年……いや、四本だった。指が四本で、アイカと比べるなら親指がない。やっぱり地球人じゃないと納得しながら、首を傾げた。


「四年か、短いね」


「四十年だ」


「は?」


 外見は二十代後半くらいに見えるが、四十年以上住んでいる。ああ、この世界は獣人と一緒で外見判断ができないんだな。アイカは中級の常識を思い出しながら頷いた。


「じゃあ、前の京都人を知ってる?」


「ミヤダークの爺さんか? なんたっけ、シミースだか、コータロだか。いい人だったな」


 ニコニコしながら語られた名前は、おそらく「シミズコウタロウ」さん。漢字は不明だが、アイカはほっとした。この世界で暮らした日本人がいて、ちゃんと寿命をまっとうしたなら……私も愛猫達を看取るまで長生きできそう。


 出前で運ばれてきた料理が、蕎麦という名称のパスタだったのは……ちょっと不満があるけどね。期待したアイカは溜め息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ