一番最初に魔王様から生まれてきた魔物の俺は最弱を自負している
俺の名は『一平』。一番最初に魔王様から生まれてきた魔物だ。
一番目だから一平で、二番目は二平、三番目は三平と個体を識別するために数字が割り当てられている。
ちなみに地上の魔物には『平』の名がつけられ、空の魔物には『空』、水の魔物には『水』が入り『五十一空』だったり『百一水』などと呼ばれていた。
そう、『呼ばれていた』……だ。
数多く産み落とされた魔物たちの中で一万番台より若い魔物は、もう俺一人になってしまったのだ。
魔物など所詮、魔王にとっては兵隊であり使い捨ての駒だ。
生み出された魔物たちは次々と戦地に送られ、その命を散らしていった。
そんな環境下で生き残っている俺が強いのかと問われれば答えは『NO』だ。
強い力があるわけでも特殊な能力が備わっているわけでもなく、寧ろ弱い。というか、最弱と言っても過言ではないだろう。
今でこそ大陸の西半分を手中に収め西の大魔王などと呼ばれているが、当時はまだ未熟な弱い魔族の元に俺は生まれ落ちた。
親が弱ければ当然生まれてくる魔物も弱い。現在、大陸は強い七人の魔王によって収められている。その配下も俺よりも桁違いに強い魔物たちばかりだ。
どこかに弱い魔族が生き残っていれば俺よりも弱い魔物も存在するのかもしれないが、随分前に七人の魔王以外の魔族が淘汰されて、新たに魔族が生まれたという話も聞かない。
そういう訳で、俺はもうこの大陸にあって最弱の魔物をを自負しても良いのではないだろうか。
いや、まてまて。タイトル回収するにはまだ早すぎたわ。
なので、
俺が如何に最弱なのか、そしてそんな最弱な俺がなぜ今まで生き延びることが出来たのか、話せば長くなるが聞いてくれるか。