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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

呪装士シリーズ

崩国の呪装士

作者: 龍崎 明

クラス:呪装士

スキル:【不老の呪い】

ステータス:オールC


【不老の呪い】

【寿命は尽きること無く、故に成長もない。強大な呪いであるがために、その他の一切の呪いに侵されない。】


 これが俺のステータスだ。


 異世界に召喚され、役立たずだと判断され、追放されることもなく、不老の研究のために実験動物とされた。


 ありきたりな話で、クズな召喚者どもは本当に俺を役立たずや無能、反抗することもできない愚図だと思っていたようで、ある日の実験で俺に呪われた武具を装備させた。


【求血の妖魔剣ダーインスレイヴ】

【攻撃力:S スキル:吸血再生 カース:渇血】

【血を求める呪われた大剣。その欲求は、使用者にまで及び、渇くことは赦されない。】


 血に濡れていなければ、使用者の血を啜る呪われた大剣だ。だが、俺にとっては、斬れば斬るほど回復する優秀な武具でしかなかった。


【月禍の獣装ベルセルク】

【防御力:S スキル:獣気 カース:狂乱】

【狂おしいまでの殺戮衝動を齎らす呪われた外套。理性亡き姿は、正にケダモノの名が相応しい。】


 着用者を発狂させる呪われた外套。だが、俺からすれば、オールCのステータスを底上げしてくれる優秀な武具でしかなかった。


 召喚者たちは油断していた。召喚の魔法陣にそもそも隷属の術式が掛かっているからだ。たとえ、有用な人材であったとしても、逆らうことはできなかった。これまでは。


 だが、隷属の術式は、呪いと判定された。


 当然、俺には効果がない。


 俺は、馬鹿な研究者に感謝して、叛逆してやった。


 ダーインスレイヴを一振りするたびに、二、三人を上下に真っ二つだ。


 俺を囲む騎士どもの剣も、魔術師どもの炎も、ベルセルクがほとんどを防ぎ、僅かな傷もダーインスレイヴで反撃すれば回復した。


 この国の王は、命乞いするまで痛ぶった。


 だが、その命乞いも醜いものだった。


 国中の美女をくれてやるだの、この世の全ての贅沢を味あわせてやるだの、仕舞いには、自分の娘を差し出すだの。


 とにかく、自分の命ためならば、何でも売ろうとした。


 笑顔で、全力で拒絶してやった。


 結局、心は折れず最後は逆上して今ならまだ許してやるだの、末代まで祟ってやるだの、神が見ているだの、言い出した。


「俺に呪いは、効かねぇんだが?」


 なるべく純粋な問いかけに聞こえるようにしながらそう言って、断首した。


 城を出れば、野次馬と化した民衆と、事態を把握しきれていない兵隊どもがウヨウヨいた。


 メンドーだったから、斬り払った。


 別に皆殺しにしたわけじゃない。


 通り道として邪魔だった連中だけだ。


 そもそも最初の一振りで民衆のほとんどは逃げ出したので、運が悪くなけりゃほとんど兵隊だろう。


 城下町を出て、道なりに進んだ。


 ダーインスレイヴの吸血によって食事・睡眠は不要だった。


 王の遺言に従って、城からテキトーに持ち出した宝石で当分の金はある。


 何とかなるさと気楽に考えていたのだが。


 次の町に潜伏して直ぐに、指名手配されちまった。


 王都の混乱が治まり、各地に早馬が出たのだろう。


 別に国そのものに復讐するほどの熱意はなかった。


 王族を軒並み殺したわけだが、別の場所にいた奴だっているだろうし、王家の血を取り込んだ貴族だって存在しただろう。


 それ探して殺すほど、俺は興味がなかった。


 だが、向こうさんは怖かったのだろう。全部無かったことにすれば良いものを。


 情報収集のために裏町に入る。


 テキトーなチンピラを脅しながら奥へと進み、情報屋的な稼業をやってる男を掴まえる。


 必要なのは、他国に渡る手段だ。


 この国で暴れ回っても良いが、そのうち魔王にでも認定されて人類全体が敵に回れば目も当てられない。


 俺の装備は、呪われた武具だ。俺の力を知らない奴等は、この見た目から俺を狂人扱いしてもおかしくはない。


 話の通じる人間であることを他国には示した方が楽だ。


 てな訳で、他国に通じる樹海を教えてもらった。


 国境の関所を通れない以上、管理しきれていない自然の領域を通るのが最も手っ取り早いからだ。


 獣の血でも、ダーインスレイヴは文句言わねえしな。


 樹海を横断し、俺は密入国を果たした。


 まぁ、後のことは変わったことはしていない。冒険者となって寿命の無い人生を愉しんだだけだ。


 王国はその後、後継者争いでズブズブの内戦状態。勝手に崩壊した。と風の噂で聞いた。ザマァ。

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