〜謎の少女の殺し屋〜
これは江戸時代の『黒蝶』と呼ばれた幻の何でも屋屋のお話。
江戸の夜は、賑やかで周りを見渡すと楽しく酒を飲んでいる人や花街へ行き今日の疲れをとりにいく人もちらほら。
そんな中にある噂が耳に入る
「ねぇ知ってる?桜木川に『黒蝶』って呼ばれているどんな殺しでも引き受ける人がいるらしいよ。」
「えーでもそれ噂でしょ。いままで面白がって見に行った人誰も見たことないんだよ?」
「まぁ、、、そうだけどね。でも、その殺し屋に殺しを頼むためには、ある一つの代償がいるらしいよ」
「え、なに?気になる」
「それは、、、、」
1.愛する人のため
日曜日の朝俺は、恋人が居るある場所へ行った。
「おはよう崎」
「おはようございます。祐介様」
「様は、付けなくていいよ。」
俺の恋人は、桜田木家の奉公人。つまり、俺の家の奉公人っていうわけ。
「で、ですが祐介様は、次期桜田木の主になるお方ですよ!」
「でも、崎もいつか主の妻になるかもしれないんだよ?」
そう言うと、崎は、顔を真っ赤にして固まってしまった。「もー祐介様ご冗談をよしてください!」
「俺は、本気だよ。いつか親父に認めてもらって崎と結婚したい。ダメか?」
俺は、しょんぼりとした顔で言った
「もー分かりましたよ。では、その時まで崎は、待ってますからね。約束ですよ!」
そう言って崎は、にこりと微笑んだ。俺は、この崎の笑顔が大好きだ。今すぐにでも嫁にしたいぐらいに
「あ、そういえばさっき一究様が祐介様のこと呼んでいましたよ。」
一究は、俺の親父の名前だ。
「そうかありがとう。じゃあ行ってくるよ」
「はい!行ってらっしゃいませ!」
俺の家は、先祖代々続いている質屋だ。その質屋は、とても大きくその店を仕切っている親父を俺は、ガキ頃から見ていて尊敬をしていた。親父も俺がやることに反対をせずにむしろ応援をしていてくれた。だが、
「なんでだよ親父」
俺は、力いっぱいお茶を畳に置いて言った
「なんで崎と別れて、違う知らない人と結婚しないと行けないんだ!」
「仕方ないだろう佐々木家の娘、柚羽様だぞ。断れるわけがないだろう。いいか、佐々木家の関係をもてたら会社にとって大きな利益が生まれる。いいか!このお見合いを絶対断るな。柚羽様は、お前に好意をもっておられる。いいか絶対に変な事を言うんじゃないぞ!わかったな」
親父は、息継ぎなしに言った
「、、、分かったお見合いには、出るよ。でも、結婚は、しない」
そう言って俺は、書斎を出た。何故いままで賛成してくれた親父が、まさか結婚を認めてくれないと思わなかったし、奉公人だから崎は、ダメなのかと親父に怒りが込み上げてきた。
3日後
「今回お招きいただきありがとうございます。」
親父は、そう言って頭を下げた。俺も同じように頭を下げた。
「そうかしこまらなくてもいい。今回は、柚羽とおたくの祐介くんとのお見合いなのだから。親として見届けたいのだよ」
立派なお腹をなで佐々木家の主、気茂助が笑いながら言った。
「そうですよ。佐々木家という名前が大きいだけで、父が偉いのでは、ないのですから」
狐のような顔をした柚羽がそう言った
「柚羽、随分酷いことをいうじゃないかワハハ」
気茂助が笑いだした途端全員がくすくす笑い始めたが、俺だけは、笑えなかった。それを見た柚羽は、
「お父様、少し祐介様とお庭に行ってもいいですか?」「ん?いいだろう。行ってこい」
庭
しばらく沈黙が続いたが俺は、口を開いた
「あの!」
「はい」
「柚羽様のことを傷付けてしまうかもしれませんが私には、恋人がいます。なので、、、」
今回のお見合いは、なしにして欲しいと、言おうとすると柚羽は、
「分かっておりました。私も恋人がおります。私の顔つきは、父に似て人を騙すような狐顔なのです。いままでこの顔と家系で沢山の人に怖がられたり、媚びる人もいました。ですが今の恋人は、一人の女柚羽としてみてくれます。私は、あのお方から離れるつもりは、ありません。なので、今回のお見合いは、私が断ったことにします。よろしいでしょうか。」
「もちろんです!ありがとうございます!」
こうしてお見合いは、終わり親父も柚羽様のことは、何も言わなくなり、安心したが数日後、崎に呼ばれた。
「なんだ、崎話って」
「祐介様。もう別れてください。」
俺は、驚いて崎の肩を揺さぶって言った
「どうして!!あともう少しで認めてもらえそうなんだ!想い人ができたのか?」
「ちがいます!」
崎は、大声で言い張ったその途端崎は、震えながら喋りはじめた。
「私は、愛する人がいるのに私は、、、、、、」
「私の体は、汚れてしまった」
その途端俺は、親父の仕業だとすぐにわかった。許せないなぜそんなことをしたのか。気がついたとき俺は、親父の書斎にいた。
「親父!!崎に何をした」
「おや、もう聞いたのか。そうさ、彼女には柚羽様との結婚には、邪魔だから色々させてもらったよ。」
「なぜそんなことを、、、、、、」
「お前達が結ばれないからだ。いままで育ててやった恩を仇で返す気か?そんなことは、しないよな?祐介」
「お前の元恋人の女の体は、とても綺麗だった」
やめろ
「肌は、白くてはりがあってな」
やめろ
「とても綺麗だったな」
「やめろ!!」
「きゃーーーー 祐介様が一究様を」
俺は、親父の胸ぐらを掴み頬を殴った。手がこんなにジンジンするのだから殴られた相手は、さぞかし痛かっただろうなのに親父は、、、、、
「ふは、ふははははは」
「何がおかしいんだよ」
親父は、俺に殴られた頬を押さえながらこう言った
「お前と柚羽様が結ばれない限りお前が愛する崎がどうなるか分かっているのか?」
俺は、そのとき親父が何を言っているのか一瞬分からなかった。
「他にもお前が結婚を認めない限り柚羽様だって苦しむ羽目になるんだぞ」
あぁ、俺は、この『くそ野郎』に操り人形として使われることになるんだ。俺がもし、ここで断ったら崎の他にも柚羽様にも被害が、、、それならもう俺だけに被害があるだけだそれなら
「分かった柚羽様と結婚する。だからもう崎に関わるな」
「さすが、私の息子このまま私の言うことを聞いていればいいのだ」
といって笑った。
5日後
結婚式の準備で屋敷は、大忙しだ。最近柚羽様に会って話をすると死んだような顔をして
「ごめんなさい。私があんなことを提案しなければごめんなさい」
「柚羽様は、何も悪いことをしては、おりません。それよりも柚羽様の恋人は、大丈夫なのですか?」
そう聞くと柚羽様は、悲しい顔をして
「結婚式が終わるまで家の地下の牢屋に入っているそうです。この式がはやく終わらないとあの人が死んでしまう」
それを聞いた俺は、1ヶ月後の結婚式を1週間後に早くした。使用人には、とても申し訳ないが、、、、、、
それは、そうと今、崎は何をしているのだろうか。ちゃんとあの人がからお金は、もらっただろうか。と、夜の空を見ながら考えていると、ある一人の少し古ぼけた服を着ている男が俺に駆け寄ってきた
「ゆ、祐介様。む、娘の崎が川から飛び降りました、、」
俺は、この人が崎の父だということに驚いたのもつかの間崎が飛び降りたということに俺は、あの人が何かやったのだ。結婚が終わったら崎が邪魔だと思い、殺そうとしたのだろう。そんなことを考えながら崎の元へ走った。
崎は、町の外れにある薬屋に運ばれていた。
そこには、血まみれで、苦しそうな崎がいた。
「崎、、崎目を開けてくれ頼むから、、、」
崎の元へ駆け寄り声をかけた。しかし、返事はなく、
「祐介様彼女は、今意識がなく、危ない状態です。今すぐにでも手術をするので離れてください。」
「っ、、、」
俺は、そこから離れてとにかく走った。すると、女性2人がこんな噂をしているのが聞こえた。
「ねぇ知ってる?桜木川に『黒蝶』って呼ばれているどんな殺しでも引き受ける殺し屋がいるらしいよ」
「えーでもそれ噂でしょ。いままで面白がって見に行った人誰も見たことないんだよ?」
「まぁ、、、そうだけどね。でも、その殺し屋に殺しを頼むためには、ある一つの代償がいるらしいよ」
「え、なに?気になる」
「それは、、、、」
最後の方は、聞こえなかったがとにかくその川に走った。噂でもなんでもいいから。とにかくあいつらを殺してほしかった。
「はぁはぁ。い、いないか、、、、やっぱり、、、、、」
そんなこと、知っていた。最後の願いだった。彼女が死んでしまったら、俺の生きている理由はない。死んでしまおう。と思い、川に祐介は入ったすると
チリーン
その鈴の音とともに、花の香りがした。振り返ると、長い髪の毛を下ろし、蝶の模様が入っている黒い着物を着た少女がいた。顔は、暗くあんまり見えないが月ととても映え、美しかった。
「そこで何をしているのです、、、」
はっと我に返った。そして、その綺麗な少女に今までの事を話した。その黒蝶が噂の人なのかは、分からなかったが、、、
「では、あなたはその人達に何をしてもらいたい、、、」
「殺してくれ。俺の父、一究と佐々木家の気茂助を、、、頼む、、、」
「いいでしょう。それでは、代償は崎さんの記憶にしましょう!」ニコと微笑んだ。
「え、それは、、、」
「安心してください。あなたとの出会い思い出を消すだけですから生活には、困りません。」
「じゃ、じゃあ俺との思い出は、、、、」
「祐介さん。あなたがお願いしていることは、かなりの代償が必要です。」笑顔が真面目な顔になった。
「、、、、、、」そんなこと知っていた。でも、彼女のあの笑顔と交換、、、。祐介は、1度躊躇ったが、言った。
「彼女の笑顔が俺に向かって見せてくれなくなるのは、嫌だ。でもあいつらがいなくならないと崎の笑顔は、崎からなくなってしまう、、、頼むあいつらを殺してくれ、、」
「その願い聞き入れました、、、」
ふっと、その黒蝶は、消えた。アゲハ蝶を残して、、、
佐々木家にて
「ようやく、祐介も話を聞くようになりましたよ。」
「おいおい。それは、話ではなく、脅しなのではないか。そして、まさか息子の恋人を奪うとは、実に最低ですな。」
「あなたも同じようなものでしょう。娘にあんなところに閉じ込めて。」
「お互いさまではないか。とりあえず、これは前払い金だよ。」
そういうとお重箱を開け、中身を見せた。そこには、たくさんの小判が敷き詰められていた。
「これからもよろしくお願いしますよ。」
ふふふ、、、
「何がそんなに面白いの?」
笑っていた、一究と気茂助の元に蝶とともに現れた。
「な、なんだお前は!」
「ふ、不審者だ。殺せー」
そう、気茂助が言うが誰も現れない。
「な、なぜ誰もいない!」
「あーお仲間さま?は、眠ってもらいました。次起きる時は、あなたがたは、死んでいると思います。」
とニコと微笑んだ。一究は、扉へ走り開けた。すると、、そこには、たくさんの佐々木家の家臣達が倒れていた。
「さっ早めに終わらせてもらいます!」
「ま、待ってくれ!な、何が欲しい。なんでもいいぞ。」
「し、仕事が欲しいなら、ここで働けばいい。君ぐらいのの才能があれば、、、」
「私は、あなたの命が欲しい。ちょうだい」
「く、クソがーーーーーーー」
と、刀で切った。しかし、その黒蝶を切ると霧のようなものを切った感触で、、、、
「あなた方は、子供達を道具として使い本人の意思を尊重しない。そんなあなた達に、生きる資格は、ない。地獄で会いましょう。大丈夫です。最後まであなた方が大好物なものと死ねますから、、、」
そういうと、黒蝶は、片手を一究と気茂助の方へ向けると裾から蝶がたくさん出てきて、2人を囲んだ。
「「や、やめろーーーーーー」」
「祐介様。この度は、誠に申し訳ごさいません。私の父が、あんなことをするとは、思っていませんでした。」
柚葉は、そういい頭を下げた。
「い、いえ、頭を上げてください。あなた様も被害者なのですから。」
「ありがとうございます。しかし、まさかあんな状態で死ぬとは、思いませんでした。口、胃の中全部に小判が、入って窒素死なんて、、、、」
「、、、、、、。」
「でも、そのおかげで私は、想い人と一緒になれる。ありがたいですよ。では、私はこれで失礼します。」
門には、男性が待っていた。
「祐介様あの方は、、、」
「柚葉様は、家業は、兄に任せて商人の男性と一緒になるそうだ。とても仲むずましく、、、、」
っと、言っていると崎の笑顔が頭をよぎった。もう会えないのに、、、忘れようとしているが、、、
そう考えながら町を歩いていると、
「あの、手ぬぐい落としましたよ。」
っと女性の声がした。あの懐かし声が、振り返るとそこには、愛してやまなかった、あの笑顔がそこに、、、
「いいの?あんな、代償で。地位とか貰えばよかったのに、、、」
アゲハ蝶がヒラヒラしながら、そういった。
「あの子たちは、なんにも関係ない。ただあの人からは、もう少し代償貰ったわよ。彼ら達には、今まで築いてきた愛を貰ったわよ。」
そういい微笑んだ。
「はー、優しいねー。あ、お客さん来たみたいだよ。」
「あら、すぐにお迎えしなきゃ。」
「お願いです。私の親友だった。あいつを殺してください!お願いです。」
っと泣きながら、言う少女がいた。
読んでいただきありがとうございます!続きも出すので是非また読んでください!