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百合帝国  作者: 旅籠文楽
1章 -

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257. 第二側室(2)

熱がありました為、本日は大変な手抜きです。すみません。

(※現在は既に回復しております。多分睡眠時に冷房効かせ過ぎたのが原因)

 


     *



 ユリシスの都市にある『探索者ギルド』の施設。

 案内してくれた男性と別れた後に、1階の受付窓口でユリ陛下の『第二側室』の女性と会う約束をしている旨を伝えると。すぐにメルファルーデは、ギルド職員に案内され、8階にある『ギルドマスター』の部屋へと通された。


「―――メルファルーデさんですね、お話は伺っております。

 私はソフィア・テオドール。ご主人様の『第二側室』であり、このユリシスの都市の管理と運営を任されております。よろしくお願い致します」

「あ、はい……。こちらこそ、よろしくお願いします」


 その部屋の中で待っていた青いドレスの少女から、先手を打って深々と頭を下げられてしまい、慌ててメルファルーデもまた頭を下げる。

 何と言うか―――ひと目見ただけで『貴族』だと判る少女だった。

 まだ幼さが残る容貌をしており、おそらく歳は30にも満たないだろうけれど。ソフィアと名乗った、この女性の所作は洗練され過ぎていて、一分の隙も無い。


 昨日会ったエシュトアも、かなり若い女性だったけれど―――ユリ陛下は、幼い女性を手籠めにするのが好きな方なのだろうか。

 だとするなら、500歳を超えてしまっているメルファルーデには、ユリ陛下もあまり興味を抱かなさそうに思えた。


「ふふ、なるほど……。これはまた、ご主人様の好きそうな女性ですね」

「………? 私が、ですか?」


 そんな心裡を見透かすように告げた、ソフィアの言葉に。

 少なからず驚かされながら、メルファルーデはそう問い返す。


「はい、あの方は女性なら誰でもこよなく愛される方ではありますが。一応多少の好みのようなものはありまして―――(さと)い女性が好きなお方なのです」

「聡い? 学者とか、そういう人が好みってこと?」

「いいえ。知識が豊富という意味では無く、知恵が回る女性が好みなのです。常に頭の回転を絶やさず、思慮を放棄しない人が好きなわけですね」

「……私はそんな、立派なものではないわよ?」

「ふふ、それは嘘ですね。メルファルーデさんの視線は私の外見から始まり、身に付けている衣服、椅子に座ったりお辞儀をする所作に至るまで―――様々なものを素速く確認しておられました。浅慮な人間がする視線ではありませんね」


 そう回答して、ソフィアはくすりと笑ってみせた。

 自身が向けていた視線の全てが監視されていた事実に、思わずメルファルーデはぞっとする。他者が向ける視線の先を読み取るというのは、熟練の斥候でも容易に行えることではない。


(ユリ陛下程ではないにしても、『側室』の人達も侮れない……!)


 今更ながらに、メルファルーデは内心で強くそう思う。

 昨日会ったエシュトアにしても、いま目の前に居るソフィアにしても、容貌こそ上品な女性にしか見えないのに、まるで底が知れなかった。


「メルファルーデさん」

「ひ、ひゃいっ」


 思わず、返答する声が裏返ってしまった。

 そんなメルファルーデの反応に、ソフィアはどこか楽しげに微笑む。


「あなたにお渡ししたいものがあります。これを受け取って頂けますか?」


 そう告げながら、ソフィアはひとつの指輪をテーブルの上に置いた。

 それは何の変哲もない銀色の指輪だった。宝石が付いているわけでもなければ、装飾が施されているわけでもない、至ってシンプルな指輪だ。


「……これは?」

「探索者ギルドに登録した全員に与えられる『探索者の指輪』という装身具です。面倒かと思いまして、勝手ながらメルファルーデさんのギルド登録手続きは、私の方で済ませておきましたので。登録証代わりに指輪だけ、どうぞお持ち下さい」

「この指輪……魔力があるようだけれど?」


 多少なりにも精霊魔法の心得があるメルファルーデは、その指輪に少量の魔力が籠められていることを、鋭敏に察知する。

 そのことを問うと、ソフィアはすぐに首肯してみせた。



 

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お読み下さりありがとうございました。

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