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碧眼の怪物  作者: 曼珠沙華
フィクションならよくありそうな話
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第14話 その8

「君も気をつけることだね。君は自分が思っているその数百倍くらいの面倒ごとに首を突っ込んでいる。そう考えたほうがいい」

「……肝に命じておきます」

 今までこの人のことを勘違いしていたのかもしれない。

 普段の振る舞いからはなかなか気づかせてもらえないほど、その本性は慎重だ。

 僕に優しく接してくれて、なおかつ能力についての情報も提供してくれているけど、おそらく重要なところについてはしっかりと伝えてくれてはいないのだろう。

 今回の話だってそうだ、話すときにかなりぼかして伝えられている。必要最低限のことだけでも理解はできるが、何か足りない気がする。いや、憶測だ。けれどこの言いようのない違和感はなんだろうか……。

 危険性を早い段階で伝えてくるということは、僕の能力に幾らかの疑義を持っていることに他ならない。

 僕の最初の能力が、自分と相手の目と目を強制的に合わせさせる。それだけなのは事実だ。あまりにも使い勝手が悪すぎるし、用途が非常に限定されていることはさておき。

 けれど本当にそれだけの能力であれば、何も警戒する必要はないだろう。なにせ危険性はほとんど0なんだから。そこに疑いの目を向けるってことは、もしかすると僕が新たな能力に目覚めたのを薄々感づいているかもしれない。それがどんなものなのかまでははっきりしていないが……、といったところだろうか。


 能力は基本的には一つだけだ、といったのは琥珀インターリャさんの方だ。僕はその基本からすでに外れている。

 そして能力が増えることへのアナウンスもない。能力を生み出す能力、なんてとんでもチート能力を僕が持っていたとして、それならそうと能力自身が僕に知識を与えてくれるはずなのだ。しかしそれがないということは、こちらも僕は例外に属することに他ならない。

 可能性は二つ。一つはこの人の言ってることのほとんどが嘘っぱちだということ。もう一つは、僕が数少ない能力者の中でも、さらに数少ない本物の例外だということ。

 判断材料が少ないとはいえ、状況が異常なのは誰だってわかる。同じ立場になって気づかない人なんていないくらいだ。


 宝石会のこと、目の鞘が外れる能力のことについては、しばらく秘匿しておこう。とんでもない大爆弾を背負っていることを伝えたら、その人物がどうなるのかは想像に難くない。

 それに琥珀インターリャさんに依存するってことは、僕を操り人形にできてしまうってことだ。都合のいい情報や嘘を吹き込んでしまえば、僕はそれらを信じるほかなくなってしまう。そんな自体を防ぐためにも、宝石会とは顔合わせをしておいて損はないだろう。


 入りあげようと思った時、ちょうどよく列車が駅に止まった。

「……今日はありがとうございました」

「まぁいいさ。君のことはなかなか気に入っている。何か面白い話が会ったら話してくれ。それが運賃になる」

「わかりました。ではまたいずれ」

 その場を急ぐように、駅のホームへと降り立つ。琥珀インターリャさんが手を振るのを見て僕も手を振り返すと、だんだん意識がぼうっとしていく。

 悩むことは多い。休み明けからが本番だ。

 とにかく小説を書こう。そうすれば悩みは吹っ飛ぶ。肩に荷を乗せながら書いてもうまくいかないだろうし。

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