第14話 その2
「宝石会、ですか?」
陳腐なネーミングだ。こんなものをまさか現実で聞く機会があろうとは。
ここだけの話『夢幻夜行列車』も相当だけど、こっちよりはよっぽど面白みのある名前だと思える。
「そう。能力を持つ学生のための秘密結社。あぁでも、なにも危険なことをしでかそうってグループじゃないから、その点は安心して」
安心して、と言われても。下手な詐欺師の方が上手な謳い文句を思いつきそうだぞ。
「能力を持っている人間が、世界にどのくらいいるか知ってる?」
「……そうですね、10000人に一人とか?」
琥珀さんに教わったのでよく知っているが、ここはあえて知らないふりをする。変なところを嗅ぎ回られるとも限らない。
「実際はそんなものじゃないわ。100万人に一人とも、1000万人に一人とも――。推定でもそれくらい少ないだろう、ってのが通説になってる」
「それはまぁ、途方も無いような数字ですね」
「そう。絶対的な数が少ないし、能力って不思議なものでしょう?だから混乱が起きることは珍しくないわ。結局うやむやなままだったけど、あなたにもそんな経験があったんじゃない?」
「……ありましたね。頭の中に情報が流れてきて、よくわからないまま使えるようになっていましたから」
これはどういうメカニズムなのだろうな。本能的に理解する……とでも仮定しようか?
能力のことを受け入れやすいのはいいが、もう少しわかりやすくしてほしい。それこそ漫画みたいに、体が光るとか天啓が降るとか――流石にやりすぎか。
けど実際、僕の場合は「はいこういう能力ですどうぞ」という前説明すらなかったし。親切さがあまりにも欠如している。
「我々宝石会は、コミュニティを作ることでお互いにサポートし合う。学校内だけの小さな組織だけど、それでも無いよりマシだろう。そんな大義のもと結成されたの」
「待ってくださいよ。仮に能力を持ってる人が100万人に一人だとして、そんなに都合よくうちの学校に集まるものではないんじゃないですか?」
「それが不思議なことに集まるのよ。一時期は二桁に届きそうな人数だったらしいわ。今は私を含めて、三人が所属してる。そしてあなたで四人目」
……嘘だろう?。能力者は能力者は惹かれ合うとでも言うつもりか。それこそ漫画の世界だ。
ただでさえ珍しい存在なのに、それが集まる場所があるなんて悪夢でしかないだろうに。コミュニティを作るのは素晴らしいだろうが、嫉妬や羨望の目が見え隠れするのが思い浮かぶ。
事実として、琥珀さんと僕の能力――今回は目を合わせる能力の方としよう――を比べた時、普通の人は果たしてどちらが優れていると思うだろうか。100人いたら99人は間違いなく琥珀さんを選ぶ。目を合わせるだけのこんな能力に、いったいどれほどの価値があるというのか。
自分で言っていて虚しくなる。けれど事実なんだからどうにもならない。
頭痛の走る話だよ、まったく。





