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碧眼の怪物  作者: 曼珠沙華
フィクションならよくありそうな話
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第8話 その7

 こういうことを考えていると、僕自身が少しずつ小説家に近づいているような錯覚に陥る。実際は全然そんなことはなくて、現実に筆をとったところで何もかけやしないのだけれど、それでもその錯覚はなんというか、どこか嬉しかった。


 そして別の話にはなるけど、心に理由は必要ないのだという理論を感じる。感情的なものは理屈では語れない部分があって、人間はそういうものに強く引っ張られる。

 僕もその例外ではない。むしろ感情的なものに振り回されっぱなしの人生だ、特に事故以降は。

 感情的なことは、時に人間らしさのように例えられる。感情を表に出さない人は機械のように見られ、感情に素直に振舞っている人ほど人間らしい、と。

 僕の場合はどうだろう。あまりにも感情に対して素直になりすぎてはいないだろうか。気分が落ち込めばすぐに瞳が痛み出してしまう始末だし。

 ……沖田さんとの別れの時、なぜいつものように発作が起こらなかったのだろうか。僕が精神的に成長している証ならいいことだけど、どうにも懐疑的になってしまう。


 こういう複雑な考えを上手に物語に落とし込めたなら、僕はあっという間に純文学賞作家になれることだろう。文学的に優れた内容であることは間違いない。

 問題は長すぎること、複雑すぎること、難しすぎること。あとは文学作品というより、僕の体験をもとに書く関係上エッセイに近くなってしまうこと。

 こんな諸問題がある中でさぁ書いてみよう!という気はさらさら起きない。

 ……描きたいものについて考えてみなければな。

 「小説家になりたい」というのは思いついたことで、確かに僕の中で夢として芽生えてはいるのだけれど、具体的にどうしたいという部分が靄のように形にならない。


 文芸作品にもいろいろある。まずは純文学作品と、大衆文学作品。このくらいは考えておかないと、変なところで止まってしまいそうでならない。

 純文学はなんというか、色々と読んできた僕でもあまりよくわからない世界だ。難解な内容のものばかりで、楽しいというよりは考えさせられるような作品が多い気がする。

 大衆文学は読んで字のごとく、大衆向けの作品だ。推理小説、SF小説、青春小説……etc。そういう読んでいる人にとっての面白さを追求している作品が該当するんだと思う。

 やっぱりよくわからないな。感じ方は人それぞれだし、こんな風に無理にカテゴライズするのも意味がないような気がしてならない。


 目指したい小説家像というのもイメージがしにくい。古い文学作品ばかり読んでいるせいか、どうしても芥川龍之介や夏目漱石といった文豪ばかり思い浮かんでしまう。

 もっと現代的な作品を取り扱うべきなのだろうけど……。こんど図書館で何か借りてこないと。こうして考えると、僕が触れてきた最近の作品はライトノベルくらいのような気がしてならない。

 あぁ、数多の作家の中でも、三島由紀夫だけは勘弁だ。彼の人生はあまりにも壮絶すぎる。僕はこれ以上そういった使命や信念は背負えない。それほど僕は強くなれない。

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