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碧眼の怪物  作者: 曼珠沙華
フィクションならよくありそうな話
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第8話 その3

 さて、授業はいつもと変わらず真面目に受ける。再来週には初めての月次テストもあることだし、今気を抜くと芳しくない成績になってしまいかねない。成績が悪すぎると当然特待生としての奨学金制度なども失われてしまうので、僕にとってはかなり重要な項目だ。

 思えば入学試験の時に発作が起こらなかったのは奇跡と言ってもいい。先生は緊張などで精神的な逼迫を受けると云々――細かいところは難しすぎて理解できなかったが、要は緊張はあまり体に良くないとのことだった。……本当に良かった。


 朝食・昼食ともにカロリーが少ないので少し低血糖気味だが、午後に入っても特に眠気は起こらなかった。少し懸念していたのだが大丈夫そうだ。

 念のために放課後、購買でチョコレートか何かを買っておいた方がいいかもしれない。食事とまではいかなくとも、お菓子で軽く糖分を補給しておいた方が、よっぽど頭が回る気がする。

 プラシーボ効果というのは便利な言葉だな。そうしみじみと思うよ。


 僕の通う高校は確かに進学校だが、その傍で部活動にもかなり力を入れている。私立の名門校ほどではないにしても、地域内でベスト8やベスト16くらいは常連という部も決して珍しくない。

 そして異様なほど文化部が多い。

 新入生には学校公認の部活動及び同好会の一覧が配られるのだが、運動部の総数が22部に対し、文化部は39部。2倍近い開きがあった。

 運動部に比べれば活動日数も比較的少ないし、何よりも大会や試合といったものに縛られないのが大きな要因だろう。気軽に参加できるのであれば、趣味嗜好の合う人間と語らうのは良いことだ。

 また教室の片隅で同級生の話を聞いていると、何人かは兼部することを念頭に置いているようだった。


 そして学校側によって部活棟なる建物が建てられている。数年前に工事して今はコンクリートで塗り固められているが、元々は数十年と続く古い木造の建物だったらしい。

 一階は主に運動部の部室で、ドアの配置を見る限り一室一室は比較的広い。様々な道具を保管しなければならないし、人数の管理も大変だろう。そういったことを配慮した上で設置されているのだと思う。

 しかし運動部と同じかそれ以上の人数がいるのか、一部の人気な文化部については一回に部室が設置されているものもある。さすがに内情までは調べていない。まぁそんな話をできるコミュニケーション能力があるなら、沖田さんと出会うまで悩んだりはしてないだろうな……。


 二階・三階はいよいよほとんどの部屋を文化部が占める。地図から把握できる範囲だと、文化部7割、運動部1割、空き教室2割といったところだろうか。

 こちらはドアの間隔が狭く、一室一室が一回と比べて狭いことがすぐに理解できた。文化部のほとんどがこちらに集まっているようだが、

 だが地図に部室が記載されていない部活動もある。例えば、科学研究部なら化学実験室を根城にしているらしいし、軽音部も専用の設備が必要だと話を聞いたことがある。


 話を戻そう。

 今回僕が目的としていた部活動は、二階の一番奥にその部室を構えていた。

 階段を一段一段、踏みしめるように登っていく。緊張はどんどん高まってくるが、不思議と瞳が疼くようないつもの感じが来る気配はない。今までのネガティブな思考ではなく、ポジティブな思考が影響しているのだろうか。

 放課後ということもあって、多くの生徒が一段飛ばしで僕を追い抜いていく。そしてそのたびに僕の顔を一度見る。どうせ眼帯のことが気になっているのだろう。そのくらいの検討には確信が持てた。

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