第5話 その7
「返事は追い追い聞くとしましょう。その前に三つ、謝らなければならないことがあります」
「僕のことを推測してくれたのは感謝してます。そのおかげで道を見つけられましたから、絶対に謝らないでください。どうかお願いします」
「……そういうことでしたら、一つだけ」
三つと言われた時はいたけど、沖田さんに罪悪感が募っていただろうことはすぐに理解できた。
もし僕の言葉で傷ついた人がいたとしたら、そのことを謝るのは人間として当然だ。さっきまで精神的に弱ってしまっていたのをまじまじと見せつけているし、そう考えるのも無理はない。
「それで、一つというのは」
「古書店行きは中止になりました。私は昼食の後、とあるところまで行かなければならなくなってしまいましたので」
「とあるところですか」
「詳しくは明かせませんが……。もしかしたら、あなたにとって心の成長につながるかもしれません。ショッキングな内容が含まれている可能性が高いですが、ついてきますか?」
詳細を明かさないまま、映画の宣伝文句のように語りかけられても、判断材料がたりなさすぎる。
しかしそれでも沖田さんがそう言ってくださるのなら、決断に迷いはない。
「ついて行かせてください。沖田さんが僕のことを推測で理解したように、僕もまた沖田さんのことをもっと知りたいです」
「……元気になったようで、何よりです」
その言葉に返答はできなかった。小さな微笑みの奥に、沖田さんは何を感じているのだろうか。
「お客さん!坦々麺と餃子とチャーハンお待ち!」
空気を見計らっていてくれたのか、店員さんが丁度良いタイミングで料理を運んでくれる。
「あ、それ全部私です」
注文の時は驚いた。あらかじめ坦々麺は激辛だと言っていたのに、それでもたのむものだから。それに量だって尋常じゃない。これだけで二人前くらいあるんじゃないかと疑ってしまう。
「それと麻婆豆腐定食ね。ご飯はお代わり自由だから」
「あ、ありがとうございます」
僕の注文した料理も運ばれてきて、いよいよ食べる準備は万端だ。
「それじゃあ冷めないうちに、いただいてしまいましょう」
「そうですね」
「「いただきます!」」
元気な挨拶が店内にこだました。





