第5話 その3
「次に中段。これは小説関連がほとんどでしたね。全体的にかなり読み込んでいるようで、本そのものの傷みが目立ちました。傷みが激しいものはほとんどが中古品のようでしたが」
「どうして、そこだけ中古品だと断言できるんですか?」
「定価とは別の値段シールが貼られていましたから。栞はそういうのはあまりはがさないようでしたから。ズボラなんです?」
「いや、単に本が傷ついたりしたら嫌だったので。よく粘着のベタベタしたのが残ったりするじゃないですか」
確かに僕は、一度読んだ小説でもなんども繰り返すして読む癖がある。自覚しているから、指摘されている部分はすぐに理解できた。
しかし本の傷み具合というものを、素人がそんなに簡単に見分けられるのか?
いや、しかしまだ僕の核心たる部分には至っていない。ここからが本番だ。
「そして上段。学校の教科書類と、ヒロインがオッドアイという共通点を持ったライトノベルが数冊。これらは他の本に比べるとあまり痛んでいなかった……。やはり気になりますよね」
「そうでしょうね。小説類っていう括りなら、まだ余裕のある真ん中の段に収納していますから」
「さて、作品は1〜3巻と1〜4巻に分かれていました。暫くの間購読していたことは大体わかります」
ここからが、推測の本番だろう。
「どうしてですか?中古品で買った可能性や、一気買いした可能性もあります。どうして暫くの間なんですか?」
「まずライトノベルには値札が付いていませんでしたし、傷んでいる様子も見当たりませんでした。値札が貼られていないので中古品ではなさそうでしたし、何よりも刊行ペースが気になりましたから」
「刊行ペース……?」
ここからは完全な沖田さんの推測に入る。僕にも何のことを言っているのかはわからない。
だからこそ期待してしまう。沖田さんが何を見つけ、何を推測したのか。
「今日、本屋であの作品の続刊がないか確認したんですよ。1〜8巻が全て揃っていました。取り扱いが豊富なのは良いことですね」
「そうですね。僕は4巻までの内容しか知らないんですけど……」
「私も続きが気になっていましたからね。けれどそこで少し奇妙なことに気がついたんですよ」
「それが刊行ペース、ですか?」
確か4巻を購入したのは半年くらい前の話だ。1巻は一年近く前になるだろうか。そこから何が導けるのかはまだ見えない。
「すごいですね、1巻はすでに第五版まで世に送り出されているようでしたから、驚くよりほかはありません」
「それが、どう繋がるんですか」
「あなたの家にあった1巻は、たしか初版でしたよね」
……?





