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碧眼の怪物  作者: 曼珠沙華
第一章.その女、沖田総司曰く。
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第4話 その6

「では次は私の番ですね」

「はい、お願いします」

「といってもいい本がなかなかなくてですね……」

 カゴの中から一冊の本が取り出される。その表紙を見て、背筋が凍りつきそうになった。

『こんな私でも好きになってくれますか?』

 見ればわかる、それはライトノベルだ。ジャンルは恋愛ものだろう。

 そして可愛らしいヒロインが表紙一面に描かれている。しかしその女の子が問題だった。

 左右で瞳の色が違う――オッドアイの少女だった。


「えっと、これは……」

 狼狽しすぎてうまく声を出せない。

「これは、あなたにとって必要なものですよ」

 手が震えそうになるのを必死に抑え込み、その書籍を受け取る。

 沖田さんの言葉に間違いはない。これは僕に必要な書籍だ。心の中ではそれを認めている。


「せっかく沖田さんが選んでくださいましたから、僕も買わせていただきますね……」

 動揺はとっくに悟られてしまっているだろう。それでも隠さねばと思い、バレバレの演技を続ける。

 吐き気はない。痛みが襲ってくるような兆候もない。それがわずかばかりの救いだ。


「……どうして、これを?」

 自分でもわかりきっている。それでも質問せざるを得なかった。

「ご飯でも食べながらゆっくり話しましょうか。その方が栞の気も紛れるんじゃないですか?」

「そうですね、そうですね……」

 希望の芽が膨らむ、そんな音が聞こえた。

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