第4話 その3
さて、今日の予定を整理しよう。
「まずは本屋――一番近いところにそこそこの大きさの書店があります。午前中はそこで時間をつぶして、そのあとお昼にしましょう」
「あれ、今朝の栞って、お昼ご飯なんて用意してましたか?」
「してません。なのでどこか適当な場所で食べる予定です」
具体的な場所は、そこそこ人の多い喫茶店か、安くてたくさん食べられる中華料理屋か、真っ先に思いうかんだのはこの二つ。どちらも近場だから労力は変わらない。後できちんと考えるか。
「う~ん、残念です。また最後に栞のご飯が食べられるのかと思っていたので」
「弁当箱は、一人分しか持ってないんですよね」
「では仕方ありませんね……」
物悲しげなジェスチャーをしているけど、半分以上フリなのが見ていてわかってしまう。昨日もそうだが、沖田さんは演技はあまり得意じゃないのだろうか。
話を戻そう。
「とりあえずどこかでお昼を食べたら、今度は古書店に行きます。取扱量はなかなかのものなので、こちらに多く時間を回そうかと」
「合点承知です。いやぁ、楽しみですね」
「えぇ、そうですね」
この青い空と同じく、気分も晴れやかになっていくようだった。
「そこそこ、なんて言った割には……かなり大きくありません?」
「まぁここ、都会ですからね」
沖田さんはどうやら絶句しているらしい。僕はこれより大きいお店をいくつか見たことがあるので、あまり驚く要素はない。
「でも午前中で終わりますよ。僕は大体の目星をつけてますし、沖田さんもそうじゃないですか?」
「……まぁそうではあるんですけど」
とりあえずは昨日の打ち合わせ通り行こう。
「入り口で解散して、お互いに相手に薦める本を持ってくる。一時間後に集合して見せあったら終わり、って感じで大丈夫ですね?」
「えぇ、大丈夫です。では行ってきます」
広さに驚いていたけど、沖田さんの足取りには迷いがないようだった。あっという間に本棚の山の中に姿を隠してしまう。
自分で締め切ったけど、一時間は案外短いものだ。僕も早く探しに行かなくては。





