第3話 その5
「ま、まぁそんなことはいいじゃないですか。明日はお昼暇ですし、どこかいきますか?臨時収入が入ったので、少しくらいは遊べますよ。ね?」
苦し紛れなのが見え見えだ。しかしこれ以上の追求はよそう。
僕がそうであるように、沖田さんにだって知られたくないことの一つや二つあるだろう。それを掘り返し続けるのは精神衛生的によろしくない。
頭の中で完璧な予測を立てることと、本人の口から真実を語らせることは、似ているようで本質はまったく違うことを、僕は理解しているはずだろう?
「遊び……ですか」
しかしこの辺りで楽しめそうなところというとなんだろう。動物園とか水族館は僕自身がまったく興味ないし、遊園地に行っても僕と沖田さんの格好はなぁ……。どうせなら二人ともが楽しめるものを提案したいところだけど、なにかいいものは――
「あっ、そうだ」
「何か思いつきました?」
「書店巡りなんてどうですか!」
昨日沖田さんは僕の買っていた本に並々ならぬ興味を示していた。それも続刊の有無を質問してくるほどに。
「どうせなら時間をかけて、色々と本を探してみましょうよ。沖田さんが気にいるような本が他にも見つかるかもしれません」
「そうですね、ではそうしましょう」
よし、予定は決まった。もしこれが最後になるなら、最後らしく楽しい思い出に終わらせられたらいいなぁ……。
いや、僕が終わらせられるよう尽力しなきゃいけないのか。
「それじゃあ、学校に行ってきますね」
「はい、行ってらっしゃい」
どうせ友達なんていないし、休み時間はたっぷりとある。その間に少し調べておこう。
さぁ、今日も1日が始まるぞ。気を引き締めていこう。





