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「念入りに死ぬ話。」  作者: 猫SR
5/6

5.






隣の県に出張した何週間目かに

ちと残業して

ビジホの晩飯に

間に合わなかったから

俺はホテルを出て

トボトボ歩きながら

近くの豚カツ屋に入った。


定食を注文して

瓶ビールを飲みながら

テレビを見ていると

豚カツ定食が出てきた。


(ちなみに俺は生ビールより

瓶ビール派だ。)



ビールがまだ有るから

豚カツをつまみにしてたら

いつの間にか

豚カツが無くなった、

従ってご飯のオカズは漬け物と

キャベツと味噌汁だけである。涙


まー

この失敗は毎度の事なんだが…。



ビールが終って

味噌汁を一口、すする。



…ぁ、、、、



赤だしの味噌汁だ、

久々に…、、、、、

あれ、なんか、、、、、記憶が、、











「なんか

お腹ついたなー、、、」


「猫さん、飲んでばっかりで

料理食べてくれませんねーw」


「あー、すまぬー))))」


「おにぎり、作りましょうか?」


「うん、猛烈にしょっぱいの、笑」


「塩分、摂り過ぎは

体によくないですよ?笑」



そー言いながらも

奥さんは

小さいおにぎりを2つ、

作ってくれた、


赤だしの味噌汁と一緒に。



「おー。赤だしの味噌汁、

意外と好きなんですー。」


「あら、

家の人は嫌いでした。

…残念、赤だしのお味噌は

これで終わりです、

明日の朝は合わせ味噌でいい?」


「あい。」


「私が生まれた母の実家の地域は

普通に赤だし味噌でしたよ。

そこに中学卒業まで居ました。」


「へー。」





奥さんは

少し黙り込んでから


ぽつりぽつりと

話し出した。


お互いに大分、酔ってる、、




「猫さん、

前にも電話で

少しだけ話しましたけど…、、」


奥さんはチラリと

良太が寝ている部屋を覗いて

テーブルの上を片付け、


先輩との事を話した。




「あの人と結婚した頃は

幸せでした。

柄の悪い人達とも

縁を切ってくれて

真面目に働いてくれましたし。

ただ、飲むと少し

怒りっぽくなりましたが

暴力を振るわれる様な事は

有りませんでした。


女遊びは止めた様でしたが

私が妊娠すると

また、外に女を作ったみたいです。


せっかく妊娠したのに

夫婦仲は険悪になりました。



良太が産まれてからは

少しは良くなったのですが

私が夜の方を拒むので、、、


だって子供を産んだばかりで

そんな気になれないし

他の女と

まだ切れて無いんですよ?

無理じゃないですか?」


曖昧に相槌を打つ、、、

正直、猛烈にねもい…


「猫さんが来てくれると

安心でした、

猫さんと飲んでる時は

すごく機嫌がいいんです、

それに良太も喜んだし、、、


いつしか猫さんが来てくれるのが

待ち遠しい、そんな気分で。


猫さんが私が作ったおつまみを

うまいうまいって食べてくれる。」


「うん、料理、上手ですよね。」



…酔ってるから

気の効いた事が言えない。



「でも

そーゆーのって

相手に解るんですよね…。

あの人はそうゆう事に敏感で、、

猫さんが帰ると

クダを巻いて大変でした、

猫に料理食べてもらって

嬉しかっただろう、とか

今日は何回も

猫と目を合わせただろうとか、、


良太が寝付くと

くどくどと嫌味が始まり、

私が無視してると

殴られました。


あ、、、

猫さんを

責めてるつもりは有りません、」



…そうだったのか、、、

なんか返す言葉が見付からない…、、




「暴力を振るわれた後は

急に優しくなって

体を求めて来て…

私が拒否すると

無理矢理、されました。


夫婦間でも強姦罪が成立するなら

訴えたいぐらいでした。」



(いや、それ確か成立する筈です…。)



「猫さんが来ない日は

良太が寝ると暴力を、、、


会社であの人を

気に入ってくれて

引っ張り上げてくれてた上司が

何か不正を働いたとかで

左遷されてから

あの人も

閑職に追いやられたみたいで。

仕事が面白く無い様な感じで

休みがちになって

朝から飲んで暴れて最悪でした。


…いつか私は

この男に殺されるんじゃないか、

そんな恐怖心を感じ出したんです。


良太が学校に行くと飲み出して

暴力を振るわれてからレイプされ…


たまに猫さんが来てくれる時だけが

平和な感じでね…。」



そう言うと

奥さんは手を伸ばして

テーブル横の棚から

小さなバックを取り

中からタバコを取り出した。


「え?」


「笑、、

結婚前は吸ってたんですよ?

あの人が嫌がるから止めたんです。

でも夜、働く様になって

また、吸い出しちゃいました。笑」


立ち上がって灰皿を取り

テーブルに置くと

キレイにネイルした指で

細いタバコをつまむから

何と無くZIPPOで

火を点けてやる。



横を向いて煙を吐く姿は

水商売の女だった。





「いつしか

この男さえ居なければって

そんな風に思う様になりました。


…あの夜、、

私が常連のお客さんに

付き合わされて

いつもより少し帰宅が遅くなると


あの人は起きて待ってたんです。

私が作っておいた晩御飯には

手を付けずに、

相当、飲んでたみたいで、

ネチネチと

何でこんなに遅いのかとか

色々、詰られ、殴られて

蹴り飛ばされて、、、


そして無理矢理、犯されて、


良太が起きてしまうから

声も出せなくて、、、」


奥さんの目から

ポロポロと涙が溢れる、、、



「私を征服する時に

タバコの臭いがするとか

誰と会って来たんだと、、

妄想ってゆうか嫉妬とか言うか

私を詰りながら、、、


行為が終って自分が果てると

急に不安になるのか

捨てないでくれとか

絶対、離れるなとか、、、


…最悪な気分でした。



それから

私が風呂を沸かすと

自分も入りたくなったのか

先に入ったんです。


あの人が呼ぶから

仕方無しに行くと

お風呂場から

呻く様な声が聞こえてきて、、

ビックリして中を見たんです。」





そこで奥さんは

暫く黙り込む。


俯いて泣きながら震える。




「あの人が溺れているのを

私はじっと見てました。


湯船のフチに手を掛けて

起き上がりそうになるので

咄嗟に私は、、、



私は、

あの人の肩を押さえ付けて

お湯の中に沈めたんです、


腕を掴まれましたが

必死に押さえ付けて、、、



何度もあの人の手を振りほどいて

お湯から出る顔を

必死に押さえ付けました。



彼は声にならない声を…



それこそ

念入りに死んでくれました…。」




そこまで話して

奥さんは顔を両手で覆い

激しく嗚咽し出した。






酔っ払って

眠くて眠くて仕方が無い脳みそで


これは、いったいどこまでが

ホントの話なんだろう




そんな不謹慎な事を考えた。










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