4.
朝、目覚めた瞬間、
一瞬、自分がどこに居るのか、
全く解らなかった。
(あれ?…ここは誰?
え?俺はどこ??
どこに居るんだっけ、俺?)
ガンガンと痛む頭を
回転しない脳みそを
だるさと気持ち悪さを感じながら
一生懸命、寝る前の事を思い出す
………………………
はっ!!
先輩の奥さんのアパート?
やばっ!!
ガバッと起き上がると
俺はちゃんと服を着ていたから
少し安心した、
床に寝ていたが
布団が掛けてくれてあった、、
でも寝る前の記憶が、、、
この部屋は?
良太は、奥さんは??
直ぐ傍に
タバコと赤いZIPPOが、、、
2つを手に取り、
するとキッチンから?
包丁の音が
しているのに気付く。
立ち上がると流し台に
先輩の奥さんの後ろ姿が。
きおく、キオク、記憶…。
「おはようございます、
目が覚めましたか?笑」
既にしっかりメイクした、
先輩の奥さんから
声を掛けられる。
「ぁ、おはゆです、良太は?」
「まだ寝てますよ、
猫さん、お味噌汁は合わせ味噌?」
「あ、はい?」
なんでわざわざ味噌の事、聞く?
てか
…いつもと変わり無い感じ?
良かった、先輩の奥さんと
変な事にならなくて、汗)))))
「猫さん、
昨夜の話、覚えてますか?笑」
「…へ?」
「ですよね、笑
もし思い出しても忘れて下さい。
…ね?」
味噌汁の椀を
テーブルに置きながら
奥さんが近寄る、、、
(…ぇ?)
「飲み過ぎはいけませんよ?
昨夜、私が何をしても
全然だったじゃないですか?笑」
(えーーーー!)))))))))))))
奥さんは俺を見ながら
イタズラに笑って
「冗談ですっw」
「ちょー//////
人が悪いなー!!
ビックリちたわー!!!」
「ふふっ。」
「おいちゃん、いたー。」
「お?おはゆーw」
「なんだそれー
おはよーだよーーw」
良太が起きてきて
話しはそこで途切れた。
みんなで遅い朝飯を食って
(正直、全然食欲無かったが…。)
俺は奥さんと良太に
スーパーまで送ってもらい
単車で帰った。
あまりの頭の痛さに
倒れ込む様に布団に潜り込み、
その日曜日は
一日中、寝てたんだ。
それ以来
俺から奥さんに
連絡をする事は無かった。
先輩の奥さんに
少し近付きすぎた気がしたから。
奥さんからも連絡は無かった。
亡くなった先輩には
多少、、世話になった、、、、
先輩は
いわゆるイケメンってやつで
確かお袋さんが
アメリカ人と日本人の
間の子ってゆってたから
クォーターってやつらしい、
彫りが深い顔立ちと背が高くて
細身の筋肉質のとこなんかは
同性から見てもカッコ良かった。
ケンカが強くて
面倒見がいいから
俺達後輩の神だったが
酒癖が悪くて一緒に飲みに行くと
必ず他の客と揉めるから
飲みに誘われるのは…、、、笑
単車の免許しかない
イタズラ小僧の時は
土曜の夜に皆で走ってると
どこかで必ず
パトカーに追われた。
俺は皆とパトカーの間に
割り込んで
低速蛇行運転を繰り返して
皆を逃がしてから
自分も逃走する。笑
そんな事が何回も有ったから
先輩からすごく
可愛がってもらえた。
だが特別に
親しい感じは無かった、
憧れてはいたが、
可愛がってはもらったが、、
年は違うし
先輩はその筋の友人が沢山いて
ちょっと
近寄りがたい雰囲気だったから。
もちろん先輩自身の背中に
絵が書いてあるとかじゃないけど
なんか…、、、
良太が生まれた頃に
久々に再会して
懐かしいな、ちと遊びに来いや、
そんな風に付き合いが始まった。
ふと
奥さんのアパートに泊まった夜に
どんなやり取りが有ったのか
思い出せそうになる時が有ったが
俺は敢えて考えない様にした。
忘れて下さいって言ってたし。
仕事と生活の忙しさに
暫くそんな事も
忘れてしまって。
隣の県に出張の話が来て、、
俺は暫く地元を離れた。
、