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W 006話 二人の宮様総長(海軍編)

1932年2月 『日本 東京 海軍軍令部』


 海軍軍令部総長に伏見宮博恭王が就任した。宮様総長の誕生である。


 本来は海軍軍令部長という役職名だったが、伏見宮博恭王大将が就任するにあたり特に軍令部令が発せられ総の一文字が付け加えられている。

 史実とはちょっと違うが誰も困らないから問題無い。


 その伏見宮総長が就任直後に早くも動いた。

 

 若手の優秀な士官を数人選抜し「特殊作戦秋班」なる組織を作ったのである。


 そして今、その「特殊作戦秋班」への目的の説明が伏見宮総長からなされようとしていた。


「諸君らを集めたのは他でもない。一つ知恵を絞って欲しい案件があるからだ」


 そう話し始めた伏見宮総長の説明を聞き終えた時、その場にいた者達は皆、沈黙した。

 唖然としたと言ってもよかった。

 あまりに突拍子もない話しであり命令だったからだ。


 これが、もし、同僚士官の間から出たものならば、一笑に付しただろう。そういう類の話だ。


 だが、相手は軍令部総長である。海軍大将である。宮様である。

 その方に対し何が言えようか! 言えるわけが無い!

 士官達は困惑し沈黙するしかなかった。


 そんな士官達の困惑を一顧だにせず、伏見宮総長は話を続ける。

 

「君達も知っていよう。

毎年、定例で行われている海軍大学での図上演習では、我が帝国海軍がアメリカ海軍に勝てたためしがない事を。

 ならば別の手立てが必用だ。

これはその為の策だ。

この作戦に成功すればアメリカ海軍の威信は大いに傷付きアメリカ国民も動揺するだろう」

 

 鼻息も荒く言いたい事を言い放った伏見宮総長は満足気な表情を見せる。

 しかし、言われた側は困惑顔だ。

 そして中の一人が勇気を振り絞って反論しようとした。


「閣下、仰る通りではありますが、あまりにもそれは……」


 だが、しかし、伏見宮総長は最後まで言わせなかった。


「無理だの、不可能だの、という言葉は聞く耳持たんぞ。

貴官らは儂自らが直々に選び出した海軍きっての逸材だ。

君達なら必ずや良き計画を作り上げてくれると期待しておる」


 困惑顔だった士官達も、総長に宮様に流石にそこまで持ち上げられ、期待されていると言われれば、悪い気はしない。彼らはまだ若かったのだ。煽てに弱かった。


 こうして「特殊作戦秋班」の士官達は、とある計画について日々頭を悩ませる事になるのであった。


【続く】

【筆者からの一言】


 日米開戦回避について、少し……


 第3話にて、伏見宮総長が吉田海軍大臣を押して日独伊三国同盟に反対し、更には海軍第一委員会を親独反米派の牙城にはさせない事により、日米開戦を避けたという設定を書きました。

 

 また、同じく第3話で閑院宮総長が米内内閣を延命させるように動き、日米開戦を避けたという設定を書きました。

 米内内閣については、作中で書いたように、史実において陛下が「(あの時、もう少し米内内閣が続いていたらこの戦争に突入しなくても済んだかもしれないね)」と言っていたと言う説を使用したものです。


 それ以外にも海軍内部の人事の配置で日米開戦を回避できたと語られる人がいます。

 当時、軍務省兵備局長の職という海軍中央にいた保科善四郎少将は、1941年11月の政府連絡会議の後で嶋田海軍大臣に「何故、開戦に反対しなかったのですか?」と聞いた逸話の持ち主ですが、回想録で次の様な事を述べています。


「(米内光政海軍大臣、井上成美次官、山本五十六軍令部総長、島田繁太郎連合艦隊司令長官、山口多聞参謀長の陣容だったら避戦貫徹は可能だった)」

 

 海軍省の要職にあり、海軍内部と日米開戦の成り行きを見ていた人物がそう言うのですから、そうした陣容でも日米開戦回避はできたかもしれません。


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