06話 今の私にできること
昨日はなかなか楽しかったなぁ。マローネンもたくさん拾ったし、サーディスもたくさん釣れたし。グロドビルビーに襲われそうになったり大変な事もあったけど高価なミツも手にはいったし。
朝ごはんを頂いて一人車で滝壺近くへ。ここなら今後の為の魔法の練習にぴったり!…なはず。確か幼神様が魔法は頭のなかで強くイメージすると使える…って言ってたっけ。人差し指を立ててマッチの火を思い浮かべてみる…おっ! ついた。なるほど! 指は熱くない。次は手のひらを地面に向けて焚き火を想像してみる。あっ! 枯れ葉に火がついて焚き火が出来た。フムフム…次は手のひらを上に向けて火の玉を想像してみる。出来た。岩に向けて投げてみると、当たって飛び散った。岩にはヒビがはいってる。なかなかすごいかも。でもこれ以上の火の玉は作れなかった。これが今の限界か…使っているうちにもっと大きな火の玉が作れるようになるのだろうか。
次は水の魔法を試してみる。人差し指を立てて水飲み場の水を想像すると、指先から水がチョロチョロと出た。次は手のひらを川に向けてホースから出る水を思い浮かべる。おぉ~出た! 次は指先からウォータージェットを想像して、木に当ててみる。あれっ? 切れてない。少し太めの枝に当ててみると、切れた! これも使っているうちに切れるようになるかな。
最後に風。手のひらからそよ風が出た。次は渦巻く風。小さなつむじ風が出来た。次はかまいたちを想像してみる。あぁ、さっきウォータージェットで切り落とした枝が切れた。これもこの太さが限界みたい。
なるほどね…それじゃ、組合せてみるか…手のひらから水をシャワーのイメージで火を使って温度もイメージする。今まで使っていたシャワーみたいになったよ。そうしたら、次はドライヤーだね。そよ風に火の温度をプラスして…出来た。これならどこに居てもシャワーとドライヤーが使えるね。大自然にいても旅が快適になるよ。一通り魔法を使っているうちに少し疲れてきた。私にどれだけの魔力があるか解らないけど普通に使うくらいだったら、まだまだ大丈夫そう。
目の前の川を見ていると大きな魚が跳ねた。釣竿を取り出して釣ってみると、釣れたよ。やったね! スマホで写真を撮ると魚の名前とデータが出てきた。シャーモシーって言うらしい。鮭に似ている。さすがに生食は怖いから串を刺して塩をふってさっき作った焚き火で焼いてみたらすごく美味しかった。お土産に何匹か釣ってかえろうっと。
午後は今持っているものの整頓。車に入れてあるコンボクの果実酒をふる。少しオレンジ色になってきた。ソランの実は小鍋で炒ってみると、ゴマみたいな味がした。マローネンは本当に栗みたいだから栗ご飯を作ってみようか。グロドビルのミツはやっぱりハチミツに似た甘さがあって美味しい。ダッチオーブンでマローネン入りのホットケーキを焼いてみてもいいかな。
早速作ってみよう! お米が5㎏あるから、コピーして三合炊くかな。指先から水を出して研ぐ! それから30分浸してザルにあげて水気をきる。土鍋にお米と水と昆布と塩を入れて、剥いたマローネンを投入! マローネンはアクが少ないからアク抜きは必要なしで、最初は強火、沸騰したら弱火で20分。後は、20分蒸らして出来上がり。出来た~! さっき煎ったソランの実をかけて食べてみよう。う~ん美味しい! やっぱり秋はこれだね。残りはおにぎりにしてラップでくるんで収納へ。いつでも栗ご飯おにぎりが食べられるようになったよ!
いろいろやっているうちに少し肌寒くなってきたから片付けてそろそろ帰ろうっと。村長の家に戻り、夕食のお手伝いをして、みんなどうやって修行しているのか聞いてみる。だって三人でブラックポイズンスパイダーを倒したくらいだから村の皆さん結構強いよね…。するとギレムさんが
「温泉に行く途中の分かれ道を行くと洞窟があるんだ。村の人たちは何人かで修行に入るんだ! ちょうど明日アルバートとロレンスと行く予定だが…」
と、言うので私も一緒に行けないかお願いしてみた。
「まぁ、明日はそんなに深く行かないからいいぞ」
「ありがとうございます。足手まといにならないように頑張ります」
聞いてみて良かった。明日は今日やってみた事を試してみる。