表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/102

05話 マローネン拾い

 おはようございます! 出掛ける用意をして朝ごはんを頂いて村長の家を出ると、大きな背負子を背負って木で出来た大きなトングのような物を持った奥様方がニコニコして待っていた。警護担当は商人のパウロさんだった。早速、みんなの荷物を収納して…たくさん収穫するみたいだから一応背負子をいくつかコピーして車に乗り込む。パウロさんは大きいから助手席に座ってもらったよ。


 昨日入った温泉を通りすぎマローネンの森に向けて愛車を走らせる。途中、シエナさんが


「この近くに滝壺があってよく魚を捕りに来るのよ。マローネン拾いに行く時はここで休憩してから森に向かうの。でも今日は休憩の必要は無いわねぇ。フフフ…」


ということは、もう半分くらいは走ったって事かな? マヤナさんが昨日の夕食で出した魚はそこで捕ったサーディスっていう魚だって教えてくれた。あのイワシに似た魚か…。脂がのっていて美味しかったなぁ。どうやって捕るのか聞いたら罠を仕掛けて捕るんだって。時間が余ったら寄ってみようかな。美味しい物はたくさん食べたいし…。


 何でもマローネンって栗と同じくイガがあってトゲトゲらしい。落ちて割れているからトングで採って背負子に入れればOk! との事。パウロさんが


「マローネンの木の近くには大きな黒っぽいグロドビルの花が咲いていて、花の周りにはグロドビルビーと言う人を刺して腐食させて餌にする魔物がいるから花には近づくなよ! まぁ大抵はグロドビルのミツで足りてるらしいが稀に人が襲われる」


って教えてくれた。人を刺すって蜂のような感じかな?まぁ花には近づかないように注意しなくちゃ! 


 走っていると遠目に森が見えて来た。あれがマローネンの森かな? 森に近づくにつれて甘い匂いが漂って来たよ。でも、甘い匂いはマローネンの匂いじゃなくて、グロドビルの花の匂いらしい。なので匂いの薄い方に行く。


「ここなら大丈夫そうだな」


とパウロさんが言うので早速みんなでマローネン拾い。イガがたくさん落ちているからどんどん背負子に入れていく。栗と違って足で踏んでイガを広げなくても簡単にイガから外れるからあっという間に背負子がいっぱいになった。収納した後、もう少し拾っていこうかな。と思った時すごい大きな羽音が聞こえてきた。


 振り向くと2リットルのペットボトルくらいの大きさの蜂っぽいものが何匹かこちらに向かって飛んで来た。あれがグロドビルビーらしい。レベッカさんが叫ぶ


「グロドビルの花から離れているのにどうしてっ?」


パウロさんが


「何とかくい止めるから早く車に戻るんだ!」


と持っている槍を振り回し叫ぶ!


「車の周りの薄く光っているところまで戻れば、魔物は攻撃出来ません。早く車の近くに!」


 みんなで車の近くに戻るとグロドビルビーはやはりこちらに来れない事がわかり、一安心。すぐに出発するけどグロドビルビーはついてくる。仲間を呼んだのかグロドビルビーが増えていく。このまま村までついてこられたら大変な事になる。私は車を止めて考える。


「あっ!いい物があるじゃない! 試してみよう!」


 早速収納から蜂にも効く殺虫剤を取りだしコピーしてみんなに渡した。薄く光っている外にノズルを出して噴射させる。グロドビルビーはボトボトと落ちてゆく。みんなも同じように噴射させてグロドビルビーは動かなくなった。


「はぁ~効いて良かった~!」


車の周りにはたくさんのグロドビルビーが落ちている。一応聞いてみた


「コレって食べたりします?」


「身体には毒があるから食べられないわよ。脚の付け根の袋の部分はグロドビルのミツが入っていて美味しいけど、危ないしなかなか手にはいらないわね。フフフ」


って笑ってた。食いしん坊に思われてしまったみたい…


「イヤイヤ私は虫のような魔物はキライですよ…念のために聞いてみただけですから…」


 でもミツって…ハチミツのような物かな? とにかくこのままにしておくと他の魔物が食べに集まるかも…という訳で、ミツ袋を回収して松明を作って燃やした。


 ホッとしたらお腹が空いたなぁ! 滝壺に戻ってお昼休憩する事に。


「うわぁ~すごい滝! 水しぶきが気持ちいい~!」


大自然の中、疲れも吹き飛びそうな気がする。奥様方はたくさんのお弁当を用意してくれていたので早速いただきます!


「う~んやっぱりたくさん動いた後だし、外での食事は美味しい!」


と私が食べながら言うとレベッカさんが


「いっぱい持ってきて良かったわ。アリサさんはすごく美味しそうに食べてくれるからご馳走しがいがあるわ」


と言って笑った。みんなも笑ってる。


 お昼を食べた後、空間収納から釣竿を出して試し釣り。海用の竿とミミズのような擬似餌だけど試してみる。他に釣る人がいないからかすぐに釣れた。試してみるもんだね! 聞くとこの魚がサーディスだって。よし、みんなの分もコピーして釣ってみよう。更にコピーした背負子がサーディスでいっぱいになったので、そろそろ帰ろうか…車の中でパウロさんに


「そう言えばパウロさんって商人なのに槍使いがすごいですね」


って聞いてみた。


「ハハハ。俺はいろいろな村とか街に行商に出ているから鍛えなければ魔物にやられてしまうじゃろ」


 なるほど…あっちこっちに魔物が出るんだね。車があるからじゃなくて、私もこれからの事考えなくちゃね。


 村の近くに戻って来ると


「今日は疲れただろうから、特別に少しのあいだ温泉を貸してやろう」


と言ってくれたので、マリムちゃんを迎えに行って一緒に温泉にはいらせてもらったよ。

パウロさんありがとー!


 でも、何でグロドビルの花から離れていたのにグロドビルビーが襲ってきたのか…パウロさんが言うには、


「今年はいつもより暑い日が続いたから大量に発生したのかも知れんな。だからミツだけでは足りなくて人に向かって来たのだろう」


だって。こっちの世界も気候によっていろいろあるのね。


 パチェット村に戻りマローネンとサーディスを村の人々に配り、ついでにグロドビルビーのミツも少しだけお裾分け。ミツはなかなか手にはいらない高級品みたいでみんなすごく喜んでくれたよ。ムフフ…ミツはまだまだたくさんあるんだけど、マヤナさんたちがミツが採れたのはアリサのおかげだから街で売るなり食べるなり好きにするといいよ! って言ってくれたので、街に行ったら商売でもしようかな。いつになるかわからないけどね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ