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41話 私達の楽しみを…

 よーし! 今日はナビで見た町に向かって出発~。目指すは温泉とお買い物。それと宿屋に泊まっちゃおうかな…いつもの車中泊もいいんだけど、たまにはベッドで寝たいのよね…。


 朝からワクワクで車を走らせる。


「ねぇ、アイシャは町に着いたら何したい?」


「私はお店で買い物とかしたいな」


「何か欲しい物があるの?」


「特に無いんだけど、お買い物って楽しいですよね。パオロ村にはお店が無かったから」


「そう言えば、シブーチの町でも時間があった時にはお店に行っていたものね」


「エヘヘ…楽しくて。あぁ~早く町に着かないかなぁ」


「そうだね。でも安全第一だからね」


 ちなみに車の席は、助手席にアイシャで後部座席にオルとミントだよ。助手席にミントを乗せた事もあったけど、大きいからスゴく狭く感じるし、圧が半端ない。多分、外から見ると若い娘の横に武士姿の獣人…これってシュールだよね…。


 オルは後部座席のヘッドレストを爪で掴んでいて、ミントは腕を組んで目を瞑ってる。瞑想? してるみたい…。アイシャとアレコレ話ながら車を走らせ、ふとナビを見ると町まであと少し。


「アイシャ町まであと少しだよ。多分、あの丘の上に着いたら町が見えるはず!」


「もうすぐなんですね。楽しみですぅ」


 坂を登り車を降りて辺りを見回すと、遠くに町が見えた。やっと…温泉に入れるかもしれない…テンションがあがる。急いで車を走らせる。丘を下りついに町の近くまで来た! 温泉~! 


 町を見ると何か変だ…遠くから見た感じは普通の町に見えたのに、石の壁が壊れてる…アチコチで煙があがってる…車を降りて町に入るとパオロ村で見た様な…復興中の町だった。


 町の中心部あたりで炊き出しの準備中だった。私とアイシャも準備を手伝い、町の人たちに話を聞く。


 10日程前にローブ姿の見慣れない男がやって来て魔方陣を描き灰色のドラゴンの様な魔物を召喚した。そのドラゴンが吐き出す煙を浴びた人たちは石化してしまったのだと…。町に居た冒険者たちに追われ、ドラゴンは町から出て行ったみたいだけどまだ近くにいるみたい。これは放っておけないよね。力を合わせて退治しよう…


 町を見て回っていたミントとオルを呼び話し合う。石化の呪いって? ドラゴンの倒し方って? 話し合いの途中でこの町のギルド長がやって来た。


「話の最中に失礼する。私はこのホーレイの町のギルド長をやっているローグと申す。見たところ冒険者の様だが、今、この町は復興の途中だ。大した事は出来ないが、休んでいってくれ。もし急ぎの旅でないなら手伝ってくれると助かる」


「はい。もちろん手伝わせていただきます。なので話を聞かせて下さい。まず石化の呪いなんですけど…」


「呪いを解く材料は多分ある。この町のマジナイ師が色々と材料を持っているからな…ただ今は町を留守にしているんだ。だから材料はあるが解呪の薬をつくれる奴が居ない」


「材料には何が必要かわかりますか?」


「いや、マジナイ師の家に行けば何かわかるかも知れないが…留守中に勝手に…悪いと思うが、今はそんな事を言っている場合ではないからな」


「取り敢えず案内お願いしてもいいですか?」


「あぁ案内しよう。着いてきてくれ」


 私達はローグさんに着いて行く。中心部から離れた町の端の空き地に石化した人たちの姿が。それにすがって泣く町の人も…酷い…彼奴らは一体何なんだ! 何をしようとしているんだ。


 空き地の横にある古家に案内され中を探す。


「ねぇ、オルは何が必要かわかる?」


「知ってるホッ。アレとコレとソレとあとコレも…この4つで出来るホッ」


「よし、例の蒼く光る圧力鍋の出番だね! 早速外に出て作ろうか」


 隣の空き地で焚き火をつくり圧力鍋に聖水と材料を入れ蓋をして待つこと暫し…シュシュシュシュ…ブシュー! 出来た! 音がしてストッパーがはずれる。灰色に光る解呪の薬を石化の人たちに塗っていく。近くで唖然と見守っていた町の人々も手伝ってくれたので、直ぐに終わった。パァっと淡い光がたち、石化の呪いが剥がれ落ちていった。元に戻った人々も泣いていた人々もみな喜び、歓声をあげる。


 しかし…私の温泉への楽しみもアイシャのお買い物への楽しみも奪ったローブの男、そして灰色のドラゴン。許さんぞ!

断じて許すまじ!

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