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03話 パチェット村で

 村まではどうやら20キロメートルくらいあるらしい。そんなに遠い場所から歩いて来たんだね。帰りは荷物も増えているし。ってことで車に乗ってもらったよ。大柄な人たちだったから車はぎゅうぎゅうだった。


 素材はトランクと空間収納に入れて出発する。空間収納は希に持っている人がいるらしく、怪しまれる事もなかった。何だコレって驚いていたよ。落ち着かないらしくてソワソワしてた。まぁそうだよね。魔法で動く箱のような物だって理解してもらい村に到着。


 この村はパチェット村っていうらしい小さな村だった。村の囲いの外に車を停めて荷物を渡し村長の元へ。一軒の家に入るとご老人が腰を擦って椅子に腰掛けていた。アルバートさんに紹介してもらい挨拶を…


「初めまして、アリサと申します。気がついたら近くの草原にいまして、ブラックポイズンスパイダーに保存されていたところをアルバートさんたちに救っていただきました。色々とわからなくて…少しの間この村に居させていただいても宜しいでしょうか」


村長は腰を擦りながらアルバートさんたちに空間収納の事や車の事を聞いた後、ニコニコと頷いて


「ふむふむ、お前さんは悪い人ではなさそうだし好きなだけこの村に居ると良いじゃろう」


って言ってくれた。話していると、台所から女の子がお茶を運んで来てくれた。すごく可愛い子で村長の孫娘のマリムちゃんっていうらしい。


「おじいちゃんお腰大丈夫? 寝てなきゃダメだよ」


「それがなぁ寝ていてもつらいんじゃよ」


 さっきからずっと腰を擦っているしどうしたんだろう? 話しを聞いてみると、重い荷物を運んで腰を痛めてしまったらしかった。確か、車の中の救急セットの中にシップがあったはず…車に戻りシップをいくつかコピーして村長に説明して貼ってあげた。


「時々貼りかえて安静にしていれば少しは楽になると思いますよ」


「お前さんは不思議な物を持っているのじゃな。ありがとうよ。マリムよ。マヤナにアリサの部屋の支度をするように伝えてくれんかのぉ」


 こうして村長の家に少しの間滞在する事になった。部屋に案内されてベッドで横になっていると、マリムちゃんが夕食だよって迎えに来てくれた。そう言えば朝にパンとコーヒー牛乳を口にしただけだったっけ。

 

 案内されて夕食の席に着くと、マリムちゃんの母親のマヤナさんと父親のギレムさんを紹介してもらった。私も自己紹介をして夕食が始まる。スープとパンとお肉っぽいソテーとサラダのような物だった。うん。スープは栗のような味がするポタージュでなかなか美味しい❗ パンも香ばしくてちょっと硬いけど美味しい❗ ソテーも塩味でなかなかに美味だった。サラダも見た事の無い野菜だけど新鮮で手が止まらない。


「今日はアルバートさんに頂いたものでソテーしてみたの。どうかしら」


って…アルバートさんってまさか……ブラックポイズンスパイダーでは? まっ、まぁ美味しいからいいか……。


「それよりお父様、そろそろマローネンが少なくなってきたから近いうちに人を集めてマローネンを拾いに行きたいのですけど」

 

 何でもマローネンは栗に似た物でこのスープはマローネンで出来ているらしい。これらは、パチェット村から少し離れたところにある森に拾いに行くんだって。朝早くに出て夜遅くにやっと帰って来られる距離だから、警護担当の男手と拾い担当の女手で結構な人数が必要みたい。


「あの、それでしたら私の車で行きませんか。荷物もたくさん載せられるし、道中も安全ですし。ただ私の他に4人しか乗れませんが…」


「まぁ話しには聞いたけど魔法の箱ってそんなに便利な物なの? でもお客様にそんな…」


「いえいえお世話になっておりますし、色々と勉強になりますし…」


「それでしたら、明日は準備と人手を集めますので、明後日でどうでしょう」


「わかりました。それでは明後日に!ごちそうさまでしたとっても美味しかったです」


 部屋に戻ろうとするとマリムちゃんが私も行きたいって言い出した。でも4人しか乗れないし小さいマリムじゃたくさん拾えないから駄目だよって言われて涙目になって下を向いちゃった。明日はちょっと車で近くを見て周ろうと思っていたから誘ってみたよ。そうしたらみるみる笑顔になってハシャギだした。明日は二人で軽くドライブだね。

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