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二、
「あの子……こんなに」
ポニーは
そのすこし掠れた声で呟きました
レジには
たくさんの寂しさと悲しみがありました
だまったままで
ジャコウネコは一つ二つと寂しさを数えました
三つ四つと悲しみを数えました
それをあつめて銀行へ持っていくのです
ほのかに光る思い出と交換するのです
「ふう……」
みんなで 思い出を箱に詰めました
たくさん たくさん 詰めました
つぎのよるとあさの間に
ぼうやをむかえにきた人が やってきました
「わたしには ぼうやの思い出がないの」
そういって また たくさんの悲しみと寂しさを置いて
ほのかに光る ぼうやの思い出を貰っていきました
そのひ ぼうやは熱を出していたのです
熱にうなされて
「……。……。」
くりかえし くりかえし 呼ぶのでした
その人には それが どうしようもなく 不憫なのでした
マンボウは その白いかおを曇らして言いました
「たいへんね この思い出を冷やして おでこにのせてあげて」
ぼうやは 夢のなかで 夢をみました
しろい砂浜を
……たたたた
はしっていました
光に まぶしい おかおがありました