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やんちゃんの朝。

ジリリリ…睡眠を妨害するために作られた小型の機械の音で目を覚ます。寝起きの頭でぼんやりと思い起こす貴方を頭の中にはっきりと映し出すため、目覚まし時計のすぐ脇に置いてあるケータイを開く。旧式のそれはカチッなどと音がして、愛しの貴方の画像を静止画で映し出す。寝起きにも関わらず、その顔を見るだけで文字通り一瞬で目が覚めるが、これだけだと物足りない私はむくりと起き上がり、本物に会いに行くために支度をし始める。



一階にあるキッチンへ足を運ぶ。顔を洗う。用意された朝ごはんを済ます。歯磨きの途中で高校の制服に早着替え。うがいの後、髪を梳かして鞄の用意。これらの一連の動作を流れるようにこなす間は、ケータイとは別の貴方を動画で見続ける。あ、ちょっと寝ぐせ。早く会いたい。



いってきますを心の中で儀式的に唱え、玄関から外へ。いつもと同じ重さの鞄の中身は今日の授業で使うものとちょっとした日用品、そして世界で私だけが持つことを許されたお守り。貴方の欠片である髪の毛と切った爪と貴方が鼻をかんだティッシュ。二重になっている箱に入れて、鞄の安全地帯に置いたもの。



自然と向かう足の行く先は、もちろん貴方のいる自宅。貴方から自宅の住所など直接聞いたことはないけど、毎日通う場所。道中はどうしても早足になるし、頬は緩みっぱなし。イヤホン越しにごそごそと動き出す音が聞こえたならば、もうワクワクが止まらないとまらない!



と、ここまでは私の日常。うっすらとだけど、私が「ヤンデレ」に含まれることを知っている。



でも、私はもう一つ、少しイレギュラーな事象を抱えているのである。



堂々と、玄関の前に立つ。ドアの右手側のインターホンはもう押し慣れた。

ピンポーン。『はい…ああ、ちょっと待ってね』

貴方のお姉さまが返事、はるかー、と貴方を呼ぶ声が小さく聞こえ、さらにそれに何か聞き取れないくらいの声で返事をする貴方の声。高鳴る私の心臓が、どきん、どきん、どきどきどき。



そして、ようやく現れた、約12時間ぶりの貴方が一言、こう言うの。

「おはよ、雛」


「おはよう、ゆう君」

綻んだ顔を向けると、私の恋人のゆう君はにこりと微笑んでくれた。

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