聖騎士団
〈国内にいると思われる騎士団は5つ、それぞれが王都を中心に東西南北で別れているようで最初にぶつかるのはこのまま50kmほど進んだ街に駐屯しているようです。〉
私はハルからの話を聞きながらマリアと新たに民兵の幹部となった男達に説明をしていく。
騎士団とまともにぶつかれば民兵など者の数ではないので皆が不安になっている。
「今回は私はマリアの護衛役として前線に立たない、民兵が主力として働いてもらう。」
皆は何か言いたそうだが中途半端に言えば私からきつい言葉が吐かれるので黙って聞いている。
「無論何もなく戦えと言わない、策をもって当たる。」
そう言いながら騎士団が駐屯している町から西に行った場所を指差し、
「ここにてきをおびき寄せ殲滅する。敵は間違いなく侮ってくるから先発隊が先行して落とし穴を掘る。この地形は柔らかく容易に掘ることができるだろう。」
「作戦期日は今日を含めて5日後、その頃には雨が降る。」
私は衛星からの地表の情報や大気の状態を取り寄せてたてた作戦を伝えるが当然不安な顔をしているが、
「わが夫の言う通りに動くこと、私が発言していると思いなさい。」
そう言うと奴隷から解放されたと言うことで1度は試してみると言う話になり私は先発隊を率いて目標へ向かいマリアは残った民兵を率いて時間ちょうどになるようにあとから進軍することになった。
私は馬に乗り力のある男達を馬車にのせ急ぐ、明後日には到着をして侵入予想と騎士団の展開をシュミュレートして落とし穴の場所を決めてそれ以外の侵入路に自分の体より巨岩を抱えて置いていく。男達は最初は私の行動にビックリしていたが自分達も急がねばと穴を2重に掘って上に板と樹の枝をのせて土をのせるとその場から撤退して本体に合流する。
騎士団も近づいてくる民兵に気がついたのか準備を整え向かっていると衛星からの情報を受け丁度遭遇するように進軍速度を変えた。
「バルチモア騎士団です。」
先頭の男が叫ぶと丘の上に騎兵が現れ民兵は動揺して下がり始める。演技ではなく本物の恐怖であり、先発隊以外は落とし穴のことも知らないので隊列が崩れ、それを見た騎士団は雄叫びをあげてランスを並べてつきだし丘を一気に下り始め、民兵は重圧に耐えきれず泣き出したり逃げ惑ったりしており、私の率いる先発隊のみが落とし穴の前に進み盾を構え抵抗をするそぶりを見せた。
「女子供までいるぞ切り取り放題だ野郎共蹂躙せよ」
指揮官と思われる男が叫び速度を増しさらに密集体型で突撃して来ると突然最前列から視界の中から消え去る。
「落とし穴だ、そのまま踏みつけ蹂躙しろ。」
指揮官である大男が先頭になり味方を踏みつけ落とし穴を乗り越えランスを突き出した瞬間に視界から消え私は、
「任せる」
そう言いながら後方のマリアのもとへと戻った。
「敵は穴へ落ちたぞ、家族の仇だ。」
誰かが叫び逃げ惑っていた民兵もようやく現状を把握して落とし穴へと走っていった。
敵騎士団は悲鳴をあげていたが先程の大男が上に重なっていた味方を撥ね飛ばして大きなハンマーをもって現れる。
民兵は遠巻きにしていたが威圧されておりなにも出来ないので私は弓をつがえて顔に向けて矢を放つ、
「きさまわしの目をよくも」
ヘルメットの隙間から矢が刺さりどうやら目に当たったようだが手負いの熊と同じになり誰も近づけない、私が出るしかないかと思っていると大男が後ろへ巨体に似合わない俊敏さで飛び退くと近くにいた馬にのって、
「バルチモア騎士団指南役バルザックとは俺のことだ、覚えていろこの傷の傷み何十倍にも返してやる。」
そう言いながら逃げ去っていった。
その後は穴から生存者を引き上げ戦闘奴隷として亡くなったものは装備を剥がして落とし穴へと埋めバルチモア騎士団が駐屯していたアーレイの街へと入った。
騎士団が駐屯していた前領主の館に入ると次々と町の有力者が訪れ解放してくれたことに次々と礼を言っていき民兵幹部が、
「裏切り者か否か」
そう聞き「否」と答えた男の様子を心拍や目の瞳孔や体温で嘘を見破り合図を送り次々と拘束していくと最後にこの街の神官達が現れ、
「マリア姫様アーレイの街奪還おめでとうございます。しかしながらこの国は聖騎士団が王都にいて政務を行っておりますれば速やかに武装を解かれることが寛容かと存じ上げます。」
「あなた方は我が国を侵略した国に荷担すると言うことなのでしょうか」
「何をおっしゃいます。今は魔族が復活して皆で協力することが急務でございます。一人のわがままを通していいと言うわけではありませぬぞ」
神官は自信満々に言うとマリアの手を握る。
「国を滅ぼしそれに対して行動を起こすことがわがままとはどの様なことでしょうか、我が国と民を侮辱すること許しませぬ」
そう言った瞬間に私は全員を気絶させていき首輪を付ける。
「神に使える者なのに民を強いたげる、これをどう表現すればいいのかズイセツ」
「所詮は人と言うことでしょう欲はあるそれをどう切り離すのかだろうがそまり、リンゴが腐るようにいまの神官達は同じと言うことでしょう。」
「これは奴隷の首輪ではないかふざけるなこのキチガイめ」
反応が同じな神官を見ながら、
「誰でもが神を敬ってはいるがお前が神の代理人と保証してくれる。人を人とも思わない言動ヒューマンの平等をうたっている聖教会の教義からも外れていよう。」
マリアは坦々と発言をしていく、
「破門だ貴様はこの場で神のなに・・・」
私は声を出せないようにして、
「きさま達がしてきたことはこう言うことだ一生奴隷として暮らせ」
そう言いながら次の作戦会議となった。
空からの情報では残りの騎士団も動きもなく情報も距離があるため伝わっていないと考えられたので、情報を積極的に流すことにして数人の裏切り者として捕らえていたこの街の有力者を誰も知らないうちにこっそり逃がすことにした。
夜中に忍より見張りを気絶させると一人ずつ連れ出して各それぞれの騎士団に聖騎士団がマリアと手を組み領地を山分けすると伝え、聖騎士団には王都を奪還するマリアにそれぞれが援助をして追い出すと共にマリアを改めて滅ぼすと言う話を伝えて、用意していた馬でそれぞれの場所へと逃がした。
「貴方の名前は」
「ズイセツ」
あえて名前を教えると次々と逃げ出していった。
翌日捕虜が逃げたと大騒ぎになったが私は何時ものように気にしないで過ごした。
「ズイセツ逃がすのはいいけどそんな口車にのるかしら」
マリアには二人きりの時に話をしたが懐疑的にきいている。
「すぐばれるけど欲の固まりならこのさい出し抜こうと動いてくれればだ」
「それでこれからどういう風に動きますか」
「各地に帰還したことを伝えて兵を集めながら王都を目指す。」
「集まっても烏合の衆、騎士団が4つ集まれば歯が立ちません」
「そうだ、歯が立たないのになぜ街から出てくるなぜだ」
「疑心暗鬼と私達を早めに殲滅したいと言うことでしょうか」
「そう、それと私がその前に逃がした連中と接触してマリアに対する裏切りと戦後の事について金と共に話をする。」
「しかし戦力差は混乱したとしても」
「空からのを使うだけだ、厄介なのは直ぐに攻撃が出来ないタイムラグが大きいから躊躇してくれ時間を稼いでくれればあとはマリアが相手に指し示せば全滅していく。」
「私がする必要が有るのでしょうか」
「大勢の民の前で力を見せつける。これからの国の統治には必要だと考える。」
マリアは礼を言うとすぐに全土に伝令を走らせた。
兵糧などを準備を行い出発をする。私はその頃には王都であった場所に潜り込んでいた。
王都は活気もなく人通りも少ない、
「兄さんなにしにいくんだ、それとこっから向こうへいくには身分を教えてくれ」
警備なのか冒険者が街の通りで監視しているようで私はギルドカードを提示する。
「同じ冒険者でズイセツか、ズイセツて何処かで聞いたな」
「ロルスさんが連れてこいって言ってた奴じゃないか」
「そうかそうか、すまないがギルド本部まで一緒に来てくれ悪いようにはしないから」
私は頷くと何処かの貴族の屋敷を仮としているのか連れていかれる。
「ここで待っててくれ」
入り口脇の小部屋は詰所なのか冒険者が数人いて私は椅子に座って待っていると、
「ズイセツ殿こんなところでお目にかかるとは脱出されて来たのですね」
街の有力者で逃がした男が部屋に入るなり嬉しそうにやって来る。
「もう大丈夫ですよ聖騎士団も教区管長等の教会の幹部もおられます奪回も早いでしょう。」
嬉しそうに言っていると、
「その方が言っていたものか」
「あっ、教区管理長様この様なところにおいでとは、お呼びいただければ喜んで顔を出しましたのに」
「その方が言っていた者が現れたときいてな、教会にいって話をしようぞ」
そう言って白い上下の神官服にふくよかで優しそうな顔をして私を歓迎してくれるようだった。
「その方がズイセツか、私は教区区管長をしているカリウスヨーデルだカリウスと親しみをもって呼んでほしい」
〈ズイセツこの男には感情の上下はないのか心拍や体温の上昇も見られないが〉
ハルからの言葉に、
「よほど腹黒いか自分のすることが正しいと言うたしか狂信者かどちらかかな」
「カリウス様にお会いできて光栄に存じ上げます。冒険者で教会に敵対する者のところに組み込まれてしまいましたが神の恩恵によりお会いすることができ嬉しく思います。」
丁寧に情報道理の挨拶をかえすと、
〈ズイセツも腹黒いか目的達成のためだが、目的達成だな〉
ハルから言われ腹のなかで笑うしかなかった。
「そうかそうか、所でいきなり本題だがあのものが他の騎士団と組んだと言うのはどうなんでしょうか」
「私が脱出をした時点で組んだと言う話はなかったようですが、接触はあったようですし利益の折半に条件付きでと言う話はあったようですが詳細まではわかりません、申し訳ございませんカリウス様」
「よいよい、状況により裏切ると言うことか他にないか」
「神官達は捕らえられ首輪をつけられておると言うことです。」
「教会の権威と神に対する冒涜だな、かならずや異端裁判にかけてやろうぞ」
「微力ながらお手伝いさせていただきたくお願いします。」
「そうかそうか、神の祝福あれ私の近くにいるようにしてほしい頼むぞ」
そう言って私は白いローブを後日渡され取り巻きの一員となった。
「お前さんが教区区管長のお気に入りか、口利きと情報をくれれば相応の礼はしよう。」
各騎士団がスパイを入れているのか数日のうちに私に次々と接触をしてきて情報提供と見返りに金貨を支払っていく。
「そうか教会は疑っていると言うことだなその情報を優先的に頼む、確かに接触はあったが断っているはずなんだかな上の考えてることはわからないが破門を言い渡されないようにしないと、もし何かあればとりなしを頼む」
つなぎの男達は同じようなことをいって近いうちにまた頼むといって袋をおいていった。
「これが今回のお布施にございます。」
私はもらった金貨は右から左で取り巻きの神官に渡していき覚えめでたくしていく。
ある日カリウスから、
「ズイセツ、他の騎士団からのお金を右から左でお布施にしているようだが」
「情報は教会からですし私は仲介者でしかありません、しかし私も冒険者ですので大きな取引があれば恩恵を受けたいのです。」
「そうかそうか、今回の戦いののち捕虜を奉仕者(奴隷)として利益が出ようその時に褒賞金としてあたえよう楽しみにしておくように」
「ありがとうございます。楽しみにさせていただきます。」
〈ズイセツ、マリアが動き始めたようだないよいよ大詰め勝算はあるようだ不足の事態も考え切り捨てることも必要と考えます。〉
「そうなるとあの王宮の地下にはいるのはなかなか面倒と思う。聖騎士団も神官でさえ封印が解けないと言うことだからな」
〈それでは最後の仕込みとするか〉
そう言ってカリウスに知らせ指導会議が開かれた。
「排狂者であるやつらは三万か民兵主体とはいえこちらの十倍となると他の騎士団にも参集を命じた方がよろしいかと」
「だが裏切る可能性もあると報告を受けている。」
「督戦隊を送り込めばいいことではないか」
そんなことを話し合っており出尽くしたところでカリウスが、
「ズイセツ卿、各騎士団についてはどう思うか」
「聖騎士団以外は信用ならないと存じ上げます。故に行動の遅滞や急な動きには特に留意する必要があり、各騎士団がそのような行動をとった場合に直ぐに蹴散らすため五百ずつを後方にそれぞれ配置して不足の事態と教会の権威を見せつければよろしいかと存じ上げます。」
「まさしくズイセツ卿の言うや良し」
そう言って最近傭兵として雇われている冒険者を束ねる地位に推され外郭騎士としての地位を送られて卿等と言う敬語をつけられているわたし、
こうして会議が終わると次々と各騎士団がつなぎを取ってきて、
「教区区管長カリウス様は大変憂慮されておられます。もし消極的に動くなら聖騎士団にも働いてもらわなければならないと考えられている。只1つ教会の権威をもって一気に決着をはかり排狂者共には教会のために死ぬまで奉仕をするようにとお命じになった。」
そうしていつもの倍以上の金貨の報酬をもらいそれはそのままお布施として献上した。
私は相変わらずの監視の目を感じながら指示道理に動くマリアの軍勢をハルからのデータで確認をしながら、各騎士団が合流して騎兵が展開しやすい予定の平原へと聖騎士団の中心にカリウスの横で進んだ。
「数だけは揃えたのう数だけは」
あれからさらに増えたようで祖国を侵略した敵と姫のためにと言うことだろうか、しかし殆どは民兵の歩兵が主力であり重騎兵の騎士団には対抗できるとは言えず聖騎士の面々は余裕の表情であり、どちらかと言うと合流した他の騎士団3つに注意を払っている。
私は傭兵をまとめる地位をもらってはいるが実際上指揮は各傭兵団の頭や古参の冒険者が行っており、戦闘は補助的なものであり、一番の仕事は重騎兵である騎士団の突撃で四散した敵を捕まえ捕虜とし奴隷や身代金を捕ると言う仕事であり、今回も聖騎士団の両翼に展開しており下品な気勢をあげている。
「まったくあやつらの下品なことこのうえない、臭くて近寄られると鼻がまがる。」
取り巻きの神官が他の神官に言い皆同意していく。
展開が終わりマリア達の民兵に対して直ぐに突撃をかけるかと思ったが進まない、正面に落とし穴があるのではないかと前回全滅した騎士団のにのまえはごめんと言うことだろう。私は3つの騎士団の場所とその後ろに計6つのマスドライバーからの攻撃をハル経由で命令する。
そしてもう1つ、私の後ろいいる傭兵団の旗持ちに指示を与え騎士団の後方へ移動して何時でも突撃できるように旗をふらせた。
旗がふられ傭兵団の歩兵が進み出る。前衛の3つの騎士団は動こうとせずカリウスがこちらに振り返るので頷くとそばにいた聖騎士団長に、
「神のご意志である督戦を」
そう言うと聖騎士団長は手をあげると新官の護衛についている騎士以外はゆっくりと進み、それを確認した全線の騎士団のすぐ後ろにいる聖騎士団の一団もそれぞれ動き始めた。
各騎士団は督戦が早々に開始されたのに動揺しているのか先鋒の重騎兵を突撃させる。これは罠に対する警戒を間だ続けているということである。
それを見た対面する丘の上のマリアが剣を抜きまっすぐ頭上にかかげ始め、民兵は静まり返り様子を見ているところに先鋒の重騎兵が案の定設置されていた落とし穴に消え動揺する。
その瞬間にマリアが剣を前にふると一呼吸のちに空から轟音と共に次々とマスドライバーからの攻撃が着弾して衝撃波と土煙と悲鳴が上がり、私は刀を抜くと土煙でまったく見えない状態で次々と神官と護衛の騎士や周囲の者を倒していき砂埃が収まったときにはカリウスと私だけが立っており前方も大きなすりばち上の穴が6つあいており周辺に立っているものはなかった。
民兵が突撃を開始する。すでに戦力と呼べるものがおらず唯一自分以外に立っていた私に、
「私をつれて街へ無事届けるのだ神のご加護と共に」
カリウスの頼みに私は頷くとカリウスの馬の手綱を引いて街へと走る。予想以上の戦果により民兵は勢いをまして来てはいたが街へと入ることができ城へ上がると残っていた神官達にカリウスは、
「悪魔と契約したマリアはわが騎士団を壊滅させた。金品や書物等を馬車に積み込ませ口惜しいが撤退をする。必ずや排信者マリアを裁判にかけようぞ」
そう言った瞬間に頭が飛ぶ、
「ヒーッ」
悲鳴があがるたび頭が飛び立っているものはなく私は城から出る。
「教区区管長様はどうされましたか」
逃がしたあの有力者が私をみて近寄ってくる。
「逃げられないと悟ったのか向こうで倒れています。」
私は悲壮な顔をつくって話すと男は走っていき私もゆっくりと戻った。
「これは」
私をふりかえり、
「神官が自殺なんてあり得なもしやあなたが」
そういわれた瞬間に目の前にきてナノイドを顔にかけると城の外へ連れていき、
「皆の敵を討ったぞ、神官達を討ち果たしたぞ」
そう叫ばせて私は城の前に立つとマリアが来るのを待つことにした。
主力は壊滅して王都には兵力らしい兵力もなくマリアは帰還を果たしたらしく、城塞の一番外の門に到着したらしく歓声があがり次第にこちらに来る。
私は街から美しいマリアが馬に乗りこちらへ来るのを待った。
「わが民を取り戻すことが叶いました。ありがとうございます。」
改めて言われると冷静ななかに何かの感情が出たが押し込め、
「女王陛下、帰還おめでとうございます。」
私はそう言うと馬から降りる手助けを行い城へと入場した。
謁見の間へ入ると神官が倒れており皆息をのむ、
「これは」
「後顧の憂いなきようにしておきました。」
数人の小貴族が不満を呟いたが、
「我が国を神の名を使い蹂躙し正当化したものに何があって手を抜かなければならない、もし教皇が破門を言い渡すなら正しい教えを守ればよいのです。」
マリアは皆に言い片付けさせた。
それから1週間のち他の主要な町も解放したと言う知らせを受けるとマリアは正式に女王の座に上るための式典を執り行う。場所は城の前の広場であり異例中の異例である。そして教会からの神官は居ないので私が卿を教会から受けている立場でマリアに王冠をのせると国民は歓喜の声をあげる。
「わが民よ、未だ裏切り者の貴族は残ってはいるが戴冠式を執り行うことが出来て嬉しく思う。これからは新生なる国家として過去にとらわれず行っていきたいと思う皆のちからを貸してくれ」
マリアがそう言うと解放された国民の声援はやまず加熱していく一方である。
〈ズイセツ、マリアに対する攻撃は今のところ3回で吹き矢で行われている。防御は抜かれることはないですがどうされますか〉
そう言われると私は後ろへ下がり姿を消す。マリアの来ている服はあの日の作製したナノイドのドレスなのでちょっとやそっとの攻撃では何の変化もなく、私は姿を消したまま民衆に紛れ暗殺者やそれを逃がすものなど次々と拘束してマリアを裏切った貴族達の暗殺の証拠を揃えた。
その合間にマリアは貴族の特権の剥奪や、貴族を上院そして功のあった平民の有力者を下院としておき、立憲君主制として統治をすることを宣言して、筆頭騎士として私も紹介をされた。
3日3晩の解放と戴冠式のお祝いが終わり私は目的の場所へとマリアと共に踏み入れることとなった。