黒球体
〈ズイセツ、起きてください開ける準備が整いました。〉
そう言って起こされる。
私は水を飲み刀を抜き準備を整えると開けるように指示をする。
下から上に扉がはね上がると部屋の中が確認できる。
研究所なのかアナログメーターの測定器などがありその中心に巨大な黒い球体が置いてある。
〈ズイセツ、あの黒い物体が不明物質の発生源になっておりその影響でここの施設が現存していると思われます。〉
私は機器を見回りながら黒い球体に近づく、表面は滑らかであり継ぎ目等は見当たらず軽く叩いても音が響かず中は空洞ではないようだがX線で中をみたりしたが黒く写り中は空洞と異なる結果がでる。
〈この中身は何なんだろうか、この物質は私の予想だとマナとかエーテルとかマジックポイントとかそんな呼び名の部室と思えば良いと考えるが〉
〈そう考えることが良いと思いますが、決めきらず調査を続けていきたいと思います。〉
そう言うとナノイドを計器に少し流すと調査が始まり、私は部屋の中をうろつき特に目当たらし物はないか探す。
多分一番上の責任者の席の後ろに壁の中に大きな金庫が据えられてるとわかり机にスイッチがあったので押してみると壁がスライドする。
私の背の高さほどの金庫があり、X線で内部の回転錠を回していくとロックは解除されるが鍵がない、
〈ハル、ここを開けてくれ〉
そう言いながら手のひらにのせたナノイドを鍵穴にいれる。
しばらくすると音がして解除されたのでレバーを回して開けた。
中には書類や資金なのか金塊、箱に入った指輪等が入っており机に並べていく。
書類には関係無い物がほとんどだが一冊だけこの球体についての報告書が書いてある。
〈これはオーパーツと言うことで世界中七ヶ所で発見される。それを各国各々が研究したが中の構造も機能もわからず、時々周囲の生物や物体に影響を与えており各国は競って調べていたが遅々として進まなかった。〉
そこまでの内容をハルと色々話ながら報告書の後半を読んでいく。
〈何時ものように調査をしていると黒い球体から指輪が浮かび上がりそれを調査したが不明、国立古代研究所所長自らが指輪をはめると放出する部質以外に放射する部質が増大してしまう。所員全てに影響を受けて体の細胞から変化しているようで、地上では機械が原因不明の故障をしており、これは全世界で同時に進行している。指輪は外して金庫にしまったが止まらず北方の国では核で破壊しようとしたが全く傷つかなかったと言う情報も流れてきた。このままでは人類はどうなってしまうのか、それと草木が急激に発育しておりこれも影響の1つではと考えている。〉
そして最後の1ページには、
〈各国との通信が途絶えて1年、草木や動物、人も含め生命の力強さと進化を続けており私も人とは思えない様子になりつつあり、意識も保つことが難しい。ここは封印をすることにした。もしこれを読むものがいたならば神はなぜ我々に試練を与えるのか我々がどうなっているのか見届けて欲しい。〉
それだけで報告書は終っていた。
〈これだと体の変化があるはずだがいまのところ私にはあるとは思えない〉
〈はい、この文章から今出ているものが途切れることはない放出している部質で、放射するする部質が体に急激に影響を与える部質ではないかと推察されます。〉
〈それじゃあこの指輪をはめるとスイッチが入り起動するとか、どちらにしろ情報が新たに入るまでは保留だな〉
〈ズイセツ、この報告書の中には他の6つの場所が書かれている。そこで情報を得るため向かいましょう。ただし場所の特定には衛星からの地形スキャンと照合しなければなりません、衛星の修理にはまだまだかかるため気長にお待ちください。〉
そう言われまあ、目的がないので気にする必要もないかと思いながら金庫の中へ必要ない物は戻して封印した。
私はこの部屋も封印して地上へ戻ることにして外周を上がっていく、
〈ハル、さっきの巨人や犬はここの研究者や実験動物だったのかな、肉体は滅びたが部質からの影響を受けて死ねずにいたと言うことかな、と言うことは今生きている生物はこの部質の影響を受けていると言うこと、そしてそれがエネルギーや魔法そして僧侶の祝福もすべての源となっていると言うことでいいかな〉
〈そう考えるのが現状ではですがしかし情報がこれだけでは結論は出せません〉
〈そうだな、ハルは慎重だ気がついたことは教えてくれ〉
そう言いながら洞窟をでるとパーティーはキャンプを引き払っており、
〈穴に入って4日なので引き上げたと思われます。〉
そう言われ穴の中でそんなに時間がたったのかと思いながらこれからどうするかと思い、このまま戻らず他の町に行こうと思い街道に1日がかりで出ると来た道とは逆方向に歩き始めた。
地形スキャン範囲内なので簡単ではあるが地図があるので確認をしながら進む、この先の道は小さな村を経てそこから十字に道がのびており左は山へ、右は穀倉地帯なのかなかなか広い畑が続いており、真っ直ぐはかなり進んでようやくかなり大規模な町に到達する。
まずは村にと思いながら歩くがなかなか遠くにあるらしく地図上でも一週間以上はかかりそうで、街道を黙々と歩くしかなかった。
途中で商人の馬車に便乗させてもらうと、ドワーフの商人でフィグスと言い、
「酒場で拝見させていただきましたがその細身でドワーフにひけをとらない、護衛としては心強いですな」
そう言われ頭をかくしかなく、好意によってなのかただほど高いものなのかと思いながら左に連なる山々をながめながら旅を続け村へと入った。
村は五十戸ほどの村でありここで一泊をすることになり村唯一の酒場と宿が一緒になっており、フィグスは正式に護衛に雇いたいといいながら村の雑貨店兼ギルドに向かい、フィグスが指名依頼をしてくれカードを出すと問題なく受けられ、こないだの依頼はと思いながら聞いているとか私は登録されてなかったようでそう言えば登録しないで出発したなと思い意図的にしろ何にしろ依頼を受けることができ、ついでに売っているなかでは強弓と矢を購入して明日からの護衛に備える。
夕食も朝食も固いパンと野菜が少しだけ入っているスープが出てフィグス曰く、
「田舎のそれも作物が育ちにくく、銅山で山の動物がいないからこんなものだろう」
そう言って固いパンをスープにひたすら浸してようやく軟らかくなったところで食べている。
寝床も藁に布をかけているだけなので良いとは言えず寝ることになった。
翌日出発すると2日ほどは特に何もなく山あいを抜けて盆地へ入ったことが衛星からの写真でわかる。
岩がごろごろしている斜面を下っていると、
〈待ち伏せに警戒、前方300m先に10人ほどが待機しているもよう、状況から判断して馬車を狙っていると考えられます。〉
そうハルから言われフィグスに馬車を引き返すように言い、私はその場に弓矢をもって降り立つ。
馬車がその場を引き返し始めたのを見て待ち伏せしていた面々は慌てて出てきたので弓を引き絞りハルの支援による照準が表示されて矢を放つ、
矢は見事に顔に当たり悲鳴をあげさせ他の動きが一瞬止まる。私は気にすることもなく次々と矢を放ちこちらへ来る頃には3人だけであり、私は弓を置くと刀を抜いて一気に走りより一人目の大男の懐に入ると逆袈裟懸けに切り上げ、大男の後ろにいた男を体を横一回転させながら大男ごと切り裂く、残った一人は悲鳴をあげて逃げ始めたが弓を拾うと矢をつがえて放って仕留めた。
フィグスには大声で終わったことを知らせ、生き残ったものは武装解除をして顔を手当をすると一ヶ所に集めると持ち物を全て集めていった。
「さすがです、しかし武器狙いのヒューマン側の盗賊がここまで来るとは切羽詰まっているのか、この男達良ければ奴隷として買い取りますがそれとも奴隷市場で売りますか」
「よくわからないから今回は折半でどうかな、8人生き残っているから」
そう言うとフィグスは降りてきて腰の袋から小さなリングをはめて呟くと青い物が広がり男達は苦痛にうめく、
「これは奴隷用の仮拘束リングです。悪意や逃亡を計ろうとすれば本人に苦痛や死を与えます。」
そう言いながらはめると、
「さあ自分達の馬車を持ってくるんだ、待っている仲間は拘束して連れてこい、逆らえば命であがなってもらう」
そうフィグスが言うと男達は左の斜面のかけあがり消えていく、馬車を止めてしばらく待つことにしてその間にシャベルを借りて骸を埋めてしまった。
ようやく馬車が2台降りてきて前に止まるとフィグスと共に中を見ると男が3人女が4人縄で拘束されておりフィグスはリングを次々とはめていき、進むことを命令する。私は、
「しかし、そのリングたくさん持っているのはフィグスさんの趣味ですか」
そう言うと笑いながら、
「商売をしていればこんなこともあります。しかし戦争がないので無駄になっていたのが使えて良かったです。奴隷も最近珍しいので高く売れるでしょうこれだけの人数と」
と嬉しそうに馬車を進めていく
それから10日ほど途中で脱走しようとした男女が悲鳴をあげて麻痺して動けなくなったりするのを見ながら交易都市ブリスベルグに到着する。
ここはヒューマンとの戦いの最前線の要塞都市であり石造りの城壁がぐるっと取り囲んでおり、その外にも今は戦火がこの周辺にはなく交易都市として栄えているので家が建ち並び賑わっている。
街道のギリギリまで家や店露店等が並び馬車や人々がすれ違っていく、ドワーフの鉄製品やヒューマンの雑貨等が集まり賑わっており、フィグスも持ってきた大量の武器を売りさばく様で嬉しそうに色々見るものを説明してくれる。
先ずは奴隷をオークションに出すのでギルドに引き渡す。その時にフィグスが
「来る途中で逃げようとした二人を自分の奴隷として安く譲ってくれないか」
と言うことで
「無料でいいが奴隷と馬車、そして持ってきた金塊を高く売りあとは体格のよい軍馬を買いたい」
と言うと金塊に目を見張り
「商人としての意地で信じられない値段で売ろう」
そうビヤ樽のお腹を叩きながらギルドの担当に色々話をしてお互いニンマリと笑顔で挨拶すると戻ってきて奴隷の二人に馬車でついてこいと言いながら馬車の市場で売り渡す。
対応した商人と中や車軸等を見させて握手をすると戻ってくる。
「あれは輸送用と言うより長距離と旅用に出来ているのですごい高値で売れたぞ」
そうフィグス自身のお腹を叩いて自慢をする。
最後に馬のオークションへ行き馬車の4頭の馬をギルドの担当と話をして戻ってきた。私は、
「何を色々話していたがどんな事なんだい」
「奴隷も馬も最近の取り引きの相場を聞いて物が良いから最高値で売れば担当に後祝儀を渡すと約束した。明日までに念入りに奴隷も馬も綺麗にしてオークションへだすぞ」
そう言いながら大笑いしてフィグスの常宿へと入った。
翌日武器を午前中にヒューマンの商人と駆け引きを行い、戦いが激化しており
「普段の倍で売れたぞ」
そうお腹を揺らして笑い、ギルドへ一緒に向かい護衛の依頼の完了報告を行い午後からまず馬のオークションへ参加をした。
私の出した馬は最後から2番目でこれも戦いのせいで馬が不足しており金貨4枚という通常の四倍で売れてしまう。
そしてこれも目玉である巨大な軍馬、道産子並みの大きさだがもう少しスリムであり巨人が乗っても大丈夫と言う触れ込みだった。
すごい争いになるかと思われたが手をあげるものは少ない、どうやら気を抜くと馬に振り落とされ大ケガを負ったのが今週だけで3人もおり、それが広がって銀貨50枚で止まっている。
私は51枚を提示すると手が上がり52枚とあがり金貨一枚と相手がいうので私は諦めた。
「やりますねズイセツさん、あれ出しの商人が安いから値をつり上げようとして雇ったやつです。」
そう言っていると馬主の眼鏡をかけたドワーフがやってきて、
「若いの一番競り落としたのが辞退しやがった。金貨一枚でどうだ」
「いりません」
そうすぐに断るとタイミングをずらされた馬主は眉をひそめ、
「おぬし欲しいから手をあげておったのじゃろ」
「金貨一枚は高いから降りたのでそれ以上言われての無駄です。」
「それでは99枚では」
「60枚なら他の方もそれ以上は手をあげられませんでしたし」
「しかしこの巨体なかなかいませんそれを60枚とは冒涜ですぞ」
「70枚、ただし鞍などの専用馬具をつける。」
「馬具をつけては安すぎです。私に首をくくれということですか」
フィグスといいドワーフは大袈裟だなと苦笑いしつつ、
「あの馬の馬具は他の馬には使えないでしょう、それを10枚で買うなら大儲けでしょう」
「仕方ないですなオークションへ再度出品するしかありませんな」
「それは構わないがこの噂を聞けば次回は60枚を下回るな」
そう言うと笑いながら握手を求められ交渉は成立した。
「しかし小山のような馬ですな、蹴られたのはいくしれず」
そう言いながらフィグスは見上げ私はX線などで全身を観察すると右後ろ足の蹄の根本になにか刺さっている。
私は声をかけながら足を持ち上げ膝の上に蹄を置くとその部分を見てみると、矢じりの欠片がみえる。指先で摘まむと食い込んでいるのか外れない、馬は心配そうに私を見ており私は、
「ちょっと痛いぞ」
そう馬に話しかけながらドワーフからナイフを借りて蹄を少し削り肉に食い込んだ矢じりを取り出す。
馬の足を下ろすと足を踏んで痛みが消えたことを喜び振り向くと、余程嬉しいのか肩をあまがみしてくるので鼻面を撫でながら、
「お前の名前は松島としよう大昔の武将が乗っていた名前だ、松島」
そう言うと認識したのか嬉しそうに顔を刷り寄せてきた。
馬具をのせてハルに道具的不都合がないか確認してもらうといくつか変更した方がいいという事を言われ、ドワーフを呼んで馬具の改良を頼むことにした。
地面に簡単な図を書いて説明していると他のドワーフも集まってきて私の図を見ながら色々話し合ってる。
「客人よ、すまないがこの馬具はヒューマンの知識にもないがお前さんが考えた物か」
そう片目のドワーフが聞いてくる。
「そうだ、私が考えたものであるので他にはないのではと思うが」
そう言うと皆感心して騒ぎ片目のドワーフが、
「お願いがある。あれを使わせてもらっても構わないだろうか」
そう聞くので頷き、
「馬具の改良と蹄鉄を新しいのにかえてくれ、それと鞍と後ろに荷物を乗せられるように改良してくれ」
そう頼むと、
「お安い御用だ」
と嬉しそうに握手をしてきた。
後を頼むとフィグスに呼ばれ差し引いた代金をもらうと奴隷オークションに向かうことになった。
「しかしズイセツがあんな事まで知ってるとはもうけ損なったぞ、あれなら金貨5枚いや20枚は軽くいけたぞ、欲が小さいな」
そう大笑いしながらフィグスがある大きな塀でか困れた屋敷に来ると割り府を見せて、
「荷主だ」
と私を指差して開けられた門をくぐる。
「ここでは他人の詮索や揉め事は御法度だ。」
そう注意してくるのを頷きながらついていった。
館の中へはいるといくつかのチェックポイントの扉を抜けて地下への階段を下りていく。
「奴隷制度事態問題はないがヒューマンの国では自分のところも使っているのに難癖つけてくる所もあるのでおおピらにはしてないのさ」
そうめんどくさそうにチェックを受けながら中へはいると、
ファッションショウのようなせりだした舞台の回りに購入者の商人や貴族、人種もヒューマンやドワーフそして犬の顔やブタの顔をしたのもいる。私はX線などで始めて見る人種を片っ端からチェックしていき案内人にひとつの席に誘導された。
「どうする。購入者の権利として売り物を直接チェックできるが行ってみるか」
着いた早々フィグスは言うと立ち上がり横から通路を抜けて奴隷の待機場所に入っていく。
中は地下のはずだがかなり広くドワーフの技術と言ったところだろうか、フリーマーケットのように番号をつけられた奴隷が並べられており何百人かと思いながら見ていると、
「久しぶりだな開かれるのは、戦火で焼け出されたもので人狩や兵士に騙されて連れてこられた者もたくさんいよう。健康的な奴隷の見分け方を教えよう」
そう言いながら奴隷の歯茎をみたり目や爪をみたりして問題を見ていく、ハルからの解答もありなかなか的をいてるのもあれば全然的外れもある。
奴隷の腕輪をはめられているのか動かずじっとされるがままであり、人種も多彩であり今回はヒューマンの商品が多いと教えてくれる。
「今回の一番の目玉はあれだ」
そういう先には金髪の女性がおり購入希望なのか人だかりができている。
「前線にあったアルタイル王国のお姫様だ、黒玉宮が落とされ何の間違いか奴隷として連れてこられる事になった。通常は他国の王族が保護するのだがな、何れにせよ一般の購入者はいまい面倒を抱えるだけだからな、各国の大臣クラスの慰みものだなこれは」
そう言いながら色々と見ていくが、私は黒玉宮と言う名が気になりフィグスに聞くと、
「宮殿の地下深くに黒い大きな玉があると言う噂だ、お姫様なら知っていると思うがって、おぃ!購入しようと思うなよあんなの連れて歩いたらトラブルの原因だぞ」
そう言われたが玉について聞きたいと思い、
「その玉が探しているものだと思うからな、聞きたいが今聞けるか」
「無理だな必要なこと以外しゃべらないようにされているからな」そう言われ私はしばらく見ていて近づく。他の取り巻きが邪魔なので刀の柄に手をおきながら、
「すまないが少し席を外してくれ静かに見たいから」
そう言うとぶつくさ文句を言い始めたところで刀を少し抜き「カチッ」と音をさせながら戻す。
不気味さを感じたのか舌打ちしながら居なくなったので姫様に、
「口で答えなくていい、ハイなら瞬き一度、イイエなら二度しろ」
そう言うとしばらくして瞬きを一度する。
「地下の黒玉はこのぐらいの高さか」
そう言うと瞬きを一度する。
「もしそこまで案内するなら奴隷として購入するが特にその後は解放するが受けるか」
そう言うとしばらく考えたのち瞬きを一度した。
「あとで会おう」
そう言ってフィグスのもとに戻り上へと戻った。
オークションが始まり私の奴隷である男10人と女3人のが始まる。
健康的で戦闘力も高く傷もない、女の方もからだがしまって健康的であると司会者からの言葉で始まる。
通常は金貨1枚程だがいきなり金貨3枚から始まる。フィグスはお腹を叩きながら酒を飲みヤジを飛ばして煽り、それのせいなのかわからないが金貨5枚女は金貨6枚等と言う金額がつき一番最高でリーダーと思われる金貨8枚がついてしまい、
「よし、今までの最高値だ」
そうフィグスが大喜びをしている。私は、
「こんな値段がついて利益が出るのか」
そう聞くと、
「ドーターの迷宮に潜り当てれば一回で返せるからな、多分身分紹介でギルドクラスが高かったんだろう」
そう言って13人で金貨71枚手数料引かれても68枚手元に残った。
「フィグス、姫様いくらの値段がつくかな」
「そうだな、金貨100枚からは固いな」
そう言われて金塊かと思っているとハルが、
〈不正ですが集団催眠でオークションをコントロールします。よろしいでしょうか〉
そう言われ任せることにした。
夜に人々が集まり席は埋まっていく。私はハルの指示通りオークションの舞台の後ろの照明施設にナノイドをひとつまみ落として席についた。
しばらくすると一定の感覚で照明がちらついているが、瞬間なので誰も気がついている様子はなく司会が、
「本日の目玉某国の姫君、金貨100枚からのスタートです。」
そう言うと興奮してざわついているがね誰も沈黙して手をあげない。司会は動揺しつつ仕方なしに値を下げる。
半分の50枚でも手をあげない、司会は動揺はしてもやめることはせず金貨10枚と言ったところで私は手をあげ司会が、
「金貨10枚、誰かいませんか」
そう悲痛な声をあげているが決定してしまう。観客もざわついているがオークションは終わりざわついているなかフィグスが、
「いや、買おうと心では思うが気持ちがそれ以上進まず手があげられなかった。というかどういうマジックだ、魔法なら検知されるがそうではないみたいだが」
そう言われ笑ってごまかし引き渡し場所で売買契約書にサインと金貨10枚を支払うと、ギルド職員の前で従属のリングをその場ではずしてしまった。
「ズイセツだ、名前は」
「マリア・f・マリーナ、マリアでいいです。」
「さて、用事がすみ次第出発する予定だが旅の間のマリアとの関係はどうする。」
そう言うと、
「出来れば夫婦がよい、それなら国境を越えるのにも都合がいい、それとも奴隷のままか」
「了解した夫婦でよかろう、こんなところでは話もできないから宿へ戻るぞ」
そう言って宿へ戻るとひと部屋借りて使うように言うと呼ばれて中へはいる。
「すまないが何をどうすればいいのか、侍女が居ないと何もできない」
そう言われ待つように言うと1階の女将さんのところへ行くと、
「お湯を大釜で一杯と石鹸やタオル、女将さんのお古でいいから洋服を貰いたい」
そう言って銀貨を一枚おくと、
「色男だね、姫様大事にしてあげな」
そう嬉しそうにウィンクしてすぐに台所に消えて呼び出される。
大きな一抱えもある樽にお湯をいれてもらい驚きの中抱えて1階の部屋を借りて運び込みマリアを連れてくる。
私が介添えで良いのか聞くと頷いたので服を脱がしてお湯で洗っていく。
樽に入れて髪の毛を洗いながら健康診断をしていくと栄養失調と言う結果が出る。
女将さんの服を着せて部屋へ戻し夕食を余分に頼んで3人分を部屋へ運び遅い夕食を食べた。
ゆっくり寝るように言い私もフィグスの部屋へ戻った。
真夜中にハルに起こされる。
〈マリアの部屋の外に数人が集まっています。〉
そう言われて静かに部屋の外に出ると突き当たりのマリアの部屋の前で鍵を解除しているようで暗闇の中動いている。
私は暗闇の中音もたてずにまわりこむと首筋に手刀を叩き込み気絶させる。
6人もの男がおり私は両手に抱えあげて1階におりて足の関節を全員外していく。
物音に何事かと女将さんが起きてきたので、
「姫を狙った不届き者、内々に処理します。」
そう言うと引っ込んだ、
うるさくされては叶わないので腕の関節もはずして猿ぐつわをはめると6人を担いで裏の馬屋に入った。
一人ずつ起こしていくとどうやらここに買い付けに来ていたヒューマンの子弟であり揃いも揃って手込めに来たらしい、
「お前さんたちは犯罪者だ、私はお前さん達のルールは知らないどうするか」
そう言っていると後ろの扉が開き数人の男たちが入ってくる。
無言でショートソードを抜いて襲いかかる。私は避けながら首筋に同じように手刀を叩き込み8人ほどを倒してしまい縛り付ける。
何れだけまた来るのかと思いながら男達の装備を外して関節を同じようにはずしてしまった。
装備を調べるとショートソードには毒が塗ってあり物騒と思いながらハルに周囲の探りを頼むと二人がここを見張っていると言うことで馬屋の天井付近にある窓まで一気にジャンプして外に出る。
それぞれの見張りの後ろに回り込み気絶させ同じように処置をすると宿に戻った。
フィグスとマリアを起こして装備を整え馬屋に戻ると、
「すげーヒューマンの貴族のばか息子とそれに雇われた冒険者かで、どうする。」
そう言われて、
「特に無いな、どうすればいい」
そう言うと笑って、
「子弟は身代金で大儲け、冒険者は奴隷かな」
そう言うので、
「交渉は任せる。報酬は冒険者だな」
そう言うとフィグスは笑いながら出ていった。マリアが、
「ズイセツは手練れの冒険者なのか」
そう言われてギルドカードを見せて、
「駆け出しかな、まあ自分の力がどのくらいかはまだわからない」
そう言うと頷きながら一人の子弟に気がつき、
「そなたはマーレイス公国の長子ガブスレイズではなかったかな」
そう言うので喋られるようにすると、
「そうだ、貴様の国は滅んだのだ、私を解放すれば保護してやるぞ」
そう言うとマリアは淡々と、
「連合がありながら我が王国を見捨てた国に頼ろうとは思わない」
そう言って冷静に座っている。
「お前さんの命がいくら支払うかが楽しみだな、場合によっては裸にひんむいて広場に掲げるのもいいな」
そう私は意地悪くいいしゃべれなくする。
朝方ハルから、
〈どうやら交渉は決裂したのか100人ほどが包囲しようと動き始めています。〉
そう言われたので入り口をしっかり塞ぎ、
「ちょっと蹴散らしてくる。待っててくれマリア」
そう言うと先程の窓から外に出ると光学免彩で姿を消して路地を進むと前からヒューマンの衛兵が将軍と思われる者と貴族に率いられてくる。
私は姿を表しながら通りすぎようとする貴族と将軍をいきなり引きずり下ろして気絶させ担ぎ上げると馬屋の前に戻る。
衛兵は必死に追ってきたが、
「動けばこの二人どうなるか、大人しく下がらなければ命はない」
そう言うと遠巻きに包囲して動かない、
気絶から回復させ将軍に、
「生きていたいなら下がらせろ」
それだけ言うと衛兵に言って引き下がらせ私は窓から入って二人を中に引きずり込む、
フィグスが戻ってきてさらに増えてるのに驚きながら、
「いやー取引に応じないとさんざん言われて困ったというか、しかしお偉いさんを次々だな」
そう言いながら冒険者に従属のリングをはめていき護衛として命令をさせる。
将軍と貴族に、
「この不始末はどうする命か、それとも」
そう言うと貴族は、
「金は払うだから助けてくれ」
そう悲鳴をあげる。
「しかしこの男の交渉を蹴った。相応の事をしてもらわないとな」
そう言ってフィグスに任せることにして松風の横で寝ることにした。
フィグスに起こされ提示した書類には、
マナクリスタル×20、金貨100枚、マーレイス公国及びフィグスレイ伯爵とゴールドウィン男爵連名の公式通行書を身代金として支払う旨が書いてあった。
マナクリスタルは魔法を貯めている宝石であり1つ金貨1000枚はくだらないと言うことと当面の資金とこれからどこにいくのにもフリーパスの通行書を貰うこととをフィグスが約束させていた。
私は同意して全てを解放すると旅の支度とマリアの侍女を探すためギルドのオークションへと向かった。
マリアには革の鎧を購入してレイピアを装備させる。オークションで目星をつけ金貨5枚で元々マリアの侍女であったアリスと言う小柄な女性を購入してマリアの奴隷として登録させた。
アリスにもマリアと同じ装備をさせて松風に生活物資を積み込み私の前にマリア後ろにアリスをのせると、
「いやー本当に大儲けさせてもらいましたもし戻ることがあればギルドに言えば場所は知らせておきますから」
そうお腹を撫でて笑い、
「世話になった、生きていたらまた会おう」
そう言って別れ出発した。
巨漢の松風に3人乗せても全然平気そうであり余裕をもって旅へと出発した。