外の世界
目覚めると、
〈おはようございます。開通の準備は完了しております。〉
そう言われ、今までの事は夢でないと思いながら自分のからだの病気はどうなったかと考えると、
〈首から下の部分はナノイドに変わっており内蔵の病変はナノイドに代わっており完治しているといってよろしいでしょう。〉
そう言われコールドスリープをためてして良かったと思える反面、1万年以上もたっており覚悟していたとはいえショックは隠せない。
覚悟を決めて外へ出ようと思い、
〈外の世界に出ようと思う、武器などはあるかい〉
〈武器についてはこの艦は積んでおりません。衛星軌道上で搬入する予定でした。武器についてですがナノイドを使い剣を作製するようにしますが、剣と刀どちらがよろしいでしょうか〉
私は剣道をしていたのですぐさま、
〈刀で、それとこの体でも大丈夫だろうけどボディアーマーをお願い〉
〈了解しました。ナノイドを生産開始します。〉
そう言うと壁がスライドしてくぼみができるとそこに金属らしい細かい物が徐々に堆積していき、これが自分の体の中にあるものかと見ていると、
吸い寄せられるように形が形成されていき刀と全身スーツが出てくる。
私は刀を抜くと多少は重いはずだがこの体では軽いようだ。全身スーツも袖を通すというより持つとそこから全身にナノイドが移動し始めあれよという間に全身が包まれる。
肩に忍者のように刀を背負うと目的の場所への表示を意識して、網膜に写し出される。脱出用のエアーロックを開けるとそこは滑らかな円形の壁ができており、私は突き当たりまで進み、どうやら一枚隔てた壁の向こうは誰もいないようなので、
〈壁を取り去ってくれ〉
そう言うとナノイドで出来た壁が消えて土で囲まれた壁が現れ、急に色々な臭いがしてきて咳き込んでしまう。
そのまま全く傷付いてない外装を見ながら通路を進み始める。
しばらくいくとどうやら鉱山なのか支道が合流してきてようやく外の光が見えてきた。
聞き耳をたてるが近くに誰もいないようなので出ようと思うが、
〈周囲に人がいないかわかるか〉
〈貴方の目や耳からは特に情報は有りません〉
そう言われこのコンピューターは私を端末がわりにしているようで、何だかなと思いながら、
〈もしもの為に見つからないように移動したいのだがどうしたらいい〉
そう言うと、
〈これでよろしいでしょうか〉
そう言われ何が変わったのかと手を見てみるとそこにあるはずの手がなくその向こうの土壁だけが見えてる。
〈網膜に映像を写し出すのと同じように体の外にあるナノイドを使い表示させています。〉
そう言われ感心しながら外への一歩を踏み出した。
外は針葉樹の森が広がり目の前の広場には小さな小屋があるだけで人の気配はなく私は小屋へ近づき窓から中を見ると作業小屋らしく穴堀の道具などが立て掛けてあった。
扉には鍵がかかっていたがナノイドを使い鍵を開け中へ入る。
スコップやシャベルそしてツルハシなどの道具は大量生産品ではなく一つ一つ作っているのか微妙に大きさや形が違う。
ナイフなどもあったが同じようにどうやらハンドメイドと言う結論に達し、産業革命より全然前だなと思いながらナイフはあっても困らないので一つ貰うと鍵をかけ直し外へ出る。
さて、どちらに行こうかと考えると目の前に足跡の形が表示され轍の後と共に森へ続く道に消えている。
私はその道をたどることにして衛星からの地形データを重ねると10kmほど先に建物が密集しておりそこが町なのかと思いながら歩き始める。
太陽を見たり衛星を確認していると昔と位置が違っているようで地軸のずれを起こしていると情報を表示して説明してくれる。太陽も大きくなっているらしく暦では冬だが暖かく、太陽の影響と南半球なのかと思ったが情報量が少くコンピューターは保留している所で私は気がついて質問した。
〈私の中にいる君はどんなコンピューターなんだい〉
〈私は十世代型光子量演算ナノシステム型コンピューターで、揚陸補給艦ハルの搭載型コンピューターです。〉
〈了解、ハルと呼ぶね。所でナノイドを使って偵察型のロボットを作ったりは出来ないのかい〉
〈はい、実はマスターが外に出られたときに製作しましたがナノイドの連結によるコンピューターが誤作動を起こしてしまいうまく動きませんでした。どうやら大気中に知らない粒子のような物が漂っておりそれが原因と思われます。ところでマスターは瑞雪とお呼びすればよろしいのでしょうか、記憶には別の名前もありますが〉
そう言われて祖父のペンネームを言われ懐かしくおもい、
〈そう、ずいせつでいいよ。それなら私が身に付けているものは影響を受けないけど〉
〈それについてはあくまで演算はずいせつ様でありそれなら問題がないようです。それと粒子については人体に今のところ影響は出ておりません。〉
そう言われ、目の前に知らない物が浮いていると考えると一抹の不安を感じる。
そんな事を話していると町へ到着する。
木の壁でか困れており外敵の侵入を防ぐ役割の様で、門がありそこには槍を持ったずんぐりむっくりの背の低い髭を生やした男が二人立っており、
〈ハルあれ人かなドワーフににてるけど、どう思う。〉
〈ずいせつ様の記憶とデーターベースから照合しますとそう認識されても問題はないと思います。〉
そう言われて透明のまま近づき色々な角度から見て感動してしまう自分がいる。
満足したので間を抜けて町へと入っていくと、木造が多いが時おり石造りの建物もあり中世の町並みかファンタジーかなと思いながら歩いていく。
ここはどうやらドワーフの町らしく他の種族は見当たらないと思いながら歩いていると、武器や防具が売っていて正しくファンタジーと喜びながら町の中心へ向かった。
中心には広場とその奥に大きな石造りの建物がありドワーフが忙しそうに出入りしている。
〈ハル、この言葉意味わかるかい、私はわからないのだけれども〉
〈会話の情報が少なすぎます。もう少し色々聞いてください。〉
そう言われ私は人混みの中その建物の中へと入っていく。
中はすりばち状の議会のようになっており、そこに次々と座っていきしばらくすると満席になり話し合いが始まったようだが、根本的な単語がわからない様で、ハルも翻訳が始まらない。
何か話が紛糾しているのは真っ赤になったドワーフ達の顔でわかるが内容は全く不明、しばらくするとようやく、
〈全ては翻訳は不可能ですが、遠征軍を出すかと言うことと信頼できるのかと言うことであります。固有名詞はナルガ、モーレ、マロと言うのが出てきますが国なのか人なのかはまだ不明です。〉
そう言われ目の機能を使ってみようと目の前のかなり体が大きく酒樽のようなお腹の男のドワーフにX線で見てみると、
表面は筋肉でそのしたに脂肪がついており、内蔵はそれぞれがかなり大きいので酒もいくらでも飲めるのかと思う。
一番偉そうなドワーフの後をついていくと一室に入っていく。
私もぴったり後について入っていくと中にはヒューマンの男がおり、ようやく会えたと思いながら話が始まる。
男は偉そうな印象であり身なりも良い、話が始まると男は失望したような顔で応対をしており、どうやら先程の話し合いで否定された事を伝えられた事についてだろうと想像できる。
しばらく話し合っていたが男は立ち上がり怒りを含みながら部屋を出ていき私も気になりその後をついていく。
どうやら宿泊をしている部屋に戻り、部下なのか待っていた戦士と話を始める。先程のドワーフの言葉と違い聞いていても何となく聞き取りやすい気がする。
〈王は否定的であり遠征軍に兵を出せないと言われた。〉
私は、〈ハル、簡単に翻訳できたね〉
〈言語形態が似ております。単語も多少の違いはありますが先程の言語よりも容易です。〉
私は納得しながら続きを聞くと、モーレと言う国に対して反攻をするため周辺を諸国に使者を送っており、ノリス伯爵が使者としてドワーフの国ドルネスフ王国に来たのだが拒否されたと言うことであった。
どうやら長居は無用と言うらしく従者に荷物を運び出させ帰国するらしく戦士が指示を出している。私は一度戻り装備を整えて情報を収集しようと思い部屋を抜け出して帰途へとついた。




