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外道

マハラジャと魔族が揃っておりマリアが降りてくるのを待っていた。


「ここまでとは、どういうことだマハラジャ」

ドラキュラ珍しく声を荒らげ詰め寄る。マハラジャはマリアに頭を下げ、

「私の不徳のいたすところ、彼らを押さえられませんでした」

その通りかつて街があったところは瓦礫の山とかしており生存者も居そうにはなかった。

「押さえられぬとはどう言うことだ」

「彼らは身形は大きいが生まれたての赤ん坊だ」

マハラジャはため息をつくように言うがドラキュラを含め意味がわからなそうにしている。

私は思い当たることをマハラジャに聞く。

「恐怖か」

マハラジャは頷きドラキュラは私をいぶかしげに見る。

「経験がない、感情にたいしてもだ。始めての恐怖に混乱して目の前の者を倒さなければならないと狂う、そうバーサーカーいや違うなスタンピードだ集団だからな、それで余計に感情が伝播してマハラジャでも止められなかったと言うことだな」

私が自分で原因の一端を起こしたことに後悔の念を覚えながらマリアを見る。

「ズイセツ殿も我らが兵器と無意識のうちに思っていたと言うことか」

「はい、申し訳ないです。戦闘力はかなりあるのでその事だけ考えていました」

マリアは顔色を変えずマハラジャに問うと、

「しばらくは後衛として経験を積ませるしかありますまい」

マリアは頷きドラキュラが、

「いずれにしても我ら魔戦将軍に任せてもらおう」

そう言うと部下を集めそれぞれが散っていった。


「姫はいかがなさいますか」

マハラジャはマリアに聞くと、

「ズイセツの法的な伴侶と言うのに会ってみたい」

少しだけ意地悪そうに笑いながらこちらを見るので頷くしかなかった。

「それでは姫の護衛は勝手ながらズイセツ殿にお願いする。我等は後ろから進ませましょう」

「任せる。支配した領地は直系の者たちに任せる。2陣でこよう」

本国へ戻るドラゴンを見ながらマリアは自らの力を開放してマハラジャの部下たちの傷を癒していった。



〈このままいけば揉め事の原因となる〉

ハルの言うことは何となくだが正しいとしても解決策は見いだせず馬車に乗り換え進む、カーリマンの部下である影法師が周囲を守っていると言うことだが姿は見えずスキャンしても引っ掛からずその実力は未知数とハルからも伝えられた。

「国境に到着したか」

マリアの言葉通り戦いの形跡があり兵士の鎧などがボロボロで落ちている。地面に影が通りすぎ私は外にでるとワイバーンが警戒しているのか数匹で上空を旋回しており私を見るとそれぞれが別方向へと飛んでいった。


「手なずけたと言うか生まれた時点で刷り込ませたと言うことか、無論あの子達もか」

「そうできますからね、わざわざ強敵を作らなくてもいいのですから」

「全くだ」

自分の部下に私が刷り込みをしている事実に魔王として不愉快にも感じていないのか馬車を進める。このシステムを構築した人間がそうしようとしていた部分を使ったのだが何れは解放すべきかと思いながら城門に到着した。


「マリア女王に会いたいだと、どこの骨だかわからんやつが何の様だ」

衛兵は私を知らず面会を求めるとハルバードを私に向ける。

「ユニバース王国からの外交使節だ、面会を求める」

マリアは顔を出してそう言うとその美しさに見とれ私が咳払いをすると慌てて騎士を呼びにいった。

しばらくすると戻ってきて、

「迎賓館へ案内するがその前に馬車の検査をする」

そう言うと数人の衛兵と馬車にさわろうとするので、

「さわれば首が飛ぶぞ」

影法師が馬車にてを出すものは首を跳ねるとドラキュラから聞いていたので忠告をする。

「ふん、我等は先日も他の軍隊を国境付近で殲滅したのだからどこだかわからん国の外交使節に手を出したからとて怖くもないわ」

そう言うと忠告を無視して手をかける。しかし手は馬車に届かず腕は落ちていた。

「俺の腕が」

痛みはないのか自分の腕がないことに叫び他の衛兵は声をあげハルバードを構える。私は刀を抜いてどうするかと考えていると援軍なのか魔物であるサイクロプスやオーク等があつまってきた。


「手向かったやつだ、馬車の者もろとも倒せ」

衛兵が魔物に叫ぶが動かず、逆に私の顔を見ると膝まづき頭を下げた。

「魔物の方が主人を覚えているようだな」

そう言うと衛兵は私を見たので、

「貴様たちの主人である国王を忘れたか、知らぬとはいえ武器を向けるおろかさ身をもって知れ」

そういうや否や衛兵に魔物が飛びかかり悲鳴が上がる。


「まてい、いや待ってください国王陛下」

騎士がやってきて膝まづき、

「兵の無礼怒る事ごもっともですが大切な部下です。ひらに御容赦を」

私は魔物の動きを止め、

「このおごりは外の者と何らかわりないではないか」

「そうですが他国の軍隊を退けようやく自信がついてきたところです」

「慢心はあって良いものではない、また流浪となるぞ」

そう言うと騎士はうなだれ兵には言い聞かせますからと言って運ばせていった。

賑やかになった街並みを抜けて城へ到着する修復も進み始めているようで人々が働いており、先に伝えていたのか知った顔の重臣が出迎えておりそのままマリアの元へと案内された。


「久しぶり、元気にしているか」

女王マリアは相変わらず感情を出さずに出迎えてくれる。

「何も変わってないが元気だ、紹介する。魔王マリア」

いきなり魔王と発言すると侍女や騎士が悲鳴やうろたえる。魔力で隠していた紫色の素肌を表し、

「ズイセツには色々と世話になっておる。今回の侵攻に対して同盟を結ぼうと思い私自らがきた」

女王マリアは顔色を変えずに頷き、

「わざわざのおこしありがとうございます。同盟の件は承知いたしました。戦うための兵を出す力はありませんがそれでよければよろしくお願いします」

即決で返答をしたのを気に入ったのか魔王マリアは頷き、

「しばらくヒューマンの暮らしを堪能してみたいからよろしくマリア」

「いえいえ、我が夫であるズイセツと共に歓迎をしますマリア」

両方とも笑顔だが女の戦いで火花が散ってるようでわざわざハルが火花を表示してくれる。

コの字に配置されているソファーに二人のマリアが対面で座り私はどちらに座ったらいいのか迷い真ん中になる一人かけのソファーに座った。


「同盟を結ぶに当たって何か必要な事はありますか」

女王マリアは率直に聞くと、

「特にない、書面も破ればそれまでだし何か問題があればこうしてあって話せばよい」

「それでは、よろしくお願いします。ただし譲れないものもありますがね」

初めて見た女王マリアのイタズラっぽくウィンクした表情はドキッとさせられるもので横から見ているだけなのに頬が熱くなった。

「そうだな、まあ本人があの様に鈍感だからな苦労しているようだが楽しみだ」

そう言って二人とも私を見ると笑った。

二人は昔からの親友のように話しており夕方の晩餐会の直前まで話て着替えると会場へ向かう。

私の両腕にそれぞれ腕を絡ませて晩餐会場へと入場した。

魔王マリアはショールで顔をかくしたまま席に座った。


女王マリアがまず立ち上がり、

「今日ここに盟友を得ることができた。周囲は敵国に囲まれていたがようやく光が見えてきた。その名は」

「魔王と呼ばれている。女王マリアは我らと同盟を結ぶことになった。よろしくな」

そう言うと聞いていた者以外は驚き魔族と同盟とは狂ったかと叫ぶ、

女王マリアが言おうとするのを止めて私が、

「1つ聞きたい、魔族とヒューマン何が違うのだ」

そう問いかけると、魔族だから信におけない、危険だ、取り殺されるなど色々発言してきた。

「それはヒューマンも同じかそれ以上ひどいではないか、自分達の利益のために我が国を滅ぼし女王を奴隷に落とした。信義もなく同族なのにここまでひどいとは魔族も呆れるくらいだ」

しかし納得いかない者の言葉は止まらず女王マリアは、

「反対するものは国をでろ、これは国として決めたことであり未だに敵対関係にある諸国との縁を切る」

そう言われると半数以上の貴族や騎士、名主等が立ち上がり口々に魔王と組む非常さと目をかけてやったのに仇で返されるとはと言いたい放題を言いながら退出した。


静かになると魔王マリアは、

「あははは、ヒューマンとは愚かよ我等がここにいる理由を考えないとは」

そう言われ残った者が一斉に見ると、

「前線の街もすでに1日で落としており現在も侵攻中だからな。それと連中の財産を没収しなくてもいいのか」

美しく笑顔で女王マリアに言うと頷き、

「今出ていったものの財産と通行書、身分証明書すべてとりあげよ」

「女王陛下お待ちを、それはいくらなんでもやり過ぎにございます」

大臣が慌てて立ち上がり再考をお願いしたが、

「敵対関係になった者に対して手心を加える理由はない」

女王自らそう言ったが同僚であった友人に対して出来そうにもないという無言の抵抗を行う。


しばらく沈黙が続き私はため息をつき私が立ち上がり女王マリアに、

「私自ら指揮して放逐しましょう」

そう言うと私は城をでる。

私が呼ぶとオークやゴブリン等が集まってきたのでそれぞれに指示を与えていき拘束と輸送用の馬車を準備するように指示をした。

私は宰相であった貴族の館に向かいオークに命令をする。

「はじめよ」

そう言うと抵抗する衛士に女王陛下からの命令を伝え武装解除を伝えると半数は応じたが半数は抵抗するのでレーザーで一気に倒す。

「何事だ騒がしいぞ」

宰相であった貴族が出てきて倒された衛士に驚きながら、

「この狼藉はどう言うことだ、我らとしってのことか」

そう言われ私は進み出て、

「敵対する者に手心を加えるつもりはない、抵抗しなければ命だけは助け国境まで送ろう、ただし国境の先があればだがな、いけ」

そう言うとオークやゴブリンが中へと突入する。

「どこへいったかもしれない国王風情が魔王を連れてきて女王陛下をたぶらかすとは」

「そうかもしれないがこの国を取り返したのは女王マリアと私でありお前は大したことをしてないのに宰相に入り他国と裏で繋がっていたのは敵対と言われても致し方ないし、今回国の安全を脅かした。それだけだ」

館の中では悲鳴が上がりオーク達は嬉しそうに婦女子を担いで出ていきており正門へとそのまま行った。

それを見て抵抗を諦め連れていかれたがゴブリンが駆け込んできて騎士達が抵抗をしていると言われ命令をしてから騎士団の兵舎へと向かった。


兵舎の前では鎧に身を固めた騎士達が隊列を組んでおりその前に倒されたゴブリンが数匹倒れている。

「我等は名誉あるグリフィス近衛騎士団である。無礼は許さぬぞ」

騎士団長の男が吠えている。

「国を捨てるというのに近衛騎士団だったというのが正しい言い方だろう、それに前の戦いのときは王女であったマリアを取引の材料にしたではないか笑わせるな」

「マリアの腰巾着め、魔王を連れてきたばかりかそのような言いぐさ許さぬ」

盾を並べ威嚇してくる。しばらく無言で見つめていると悲鳴が上がりゴブリンやオークが嬉しそうに婦女子を担いでやってきた。

「あなた、パパ、おとうさん」

担がれた者を見て騎士団長は驚き、

「卑怯者、無抵抗の者を人質に取るとは卑劣きわまりない」

「価値観をどう言われようが知ったことではない降伏せよ」

私は昔見た悪代官を思い出しながら手を上げる。

「我等の正義のため家族よすまない」

騎士団長は自分に酔っているようで家族に叫ぶので私は手を下ろした。


服の破ける音と悲鳴と卑猥な声が後ろで上がり騎士達の顔がみるみる青くなっていく、

「わかった、降伏する。たのむ止めてくれ」

次々にソードが地面に落ちていく、

〈ズイセツ、止められない〉

ハルから言われ振り向くとひどい状況であり止めるように伝えたが本能の赴くままでやめようとしなかった。私は包囲していた者に武装解除を命令してどうやめさせるかと言うか命令が届かない理由をハルに問いただす。

〈我等に敵対しない、命令に従う事だが命令は曖昧のようで最初に出した命令とブッキングする場合は本能が優先するらしい〉

「厄介な」

そう言いながら悲鳴をあげている騎士団を裸にして正門へと向かわせた。


「なかなかだのう」

いつの間にか魔王マリアがおりこの光景を見て私に言う、

「止められなくて」

私がすまなそうにすると、

「変なことを言う、反乱を起こした相手に何をしても問題はあるまい」

「そう言われればそうだけど」

「気にするな、行くぞ」

マリアはそう言って私を正門へと連れていった。


怨み辛みで正門はごった返しており周囲はそれを見物している人々であふれていた。

「ところでこの連中は放逐すると言うことだが奴隷にすればよかろう」

「たしかに人では必要ですが人数が多くて反乱を起こされれば厄介かと思います」

先程の騎士団を思い浮かべていると、

「まあよいわ、マハラジャはかなりの速度で侵攻しているからな、生き残れることは万にあるまい」

衛星からの情報もかなりの早さで内陸へと進んでおり、体制が整う前の奇襲を、そう電撃戦を行っているようだった。

「さて、長居は無用。これから前戦へ向かう」

そう言っていると女王マリアがやってきて、

「一晩はお城で御休みください」

そう言うと何か考えがあったのか魔王マリアは頷き、

「そうだな、例の件楽しみだ」

そう言って二人で戻っていった。


「どうされますか」

衛兵が出発したいがオーク達の狂宴は何時までも終わらず困っている。

「先に出発させろ」

そう言うと悲鳴が起こり馬車は出発した。

「いつまで続くのだろうか」

〈わからないが何かしら考えておくべきかと〉

衛兵を呼び、朝まで続くなら水をぶっかけるなりして止めさせるように伝えると城へと戻った。


もう日もすっかりくれており水浴びをして侍女に寝室へと案内をされた。

中に通されると月明かりのみで侍女に言おうとしたがドアは閉じられ赤外線で周囲を見る。キングサイズのベットがありシーツがふくらんでいる。

〈女王がお待ちかねと言いたいが二人いるようです〉

ハルからの言葉に歩みを止めてベットを見ていると、

「なんでこう空気が読めないと言うか、わかってはいたんだけど」

女王マリアが起きてきて横では笑いながら魔王マリアが起きてくる。


「普通ではないのは知っておろう、夜も見えるようだしいろいろ出来るからな、だが待たせるのは良くないな」

そう言いながら軽々とベットから飛び上がり私の前に立つと誘いベットに入った。

「今宵は楽しませてもらうぞ二人のマリアがな」

そう言って夜がふけていった。



翌朝気だるさと寝不足で馬車に乗ると魔王マリアは、

「安心しろ、今度会うときまでお預けするからな、楽しみにしているぞ」

女王マリアは嬉しそうに頷き馬車は出発した。前方には放逐される人々の乗せた馬車が連なり昨日の事を思いだし自己嫌悪起こしているとマリアは、

「何を落ち込んでいる。負ければこうなることぐらい彼らもわかっていよう。何より命までとられないとは珍しいからのう、それか奴隷として飼われるかだ」

ここは中世のような世界であり自分が生きていた時代とは違うと言うことを思い出されファンタジーなせかおだなと改めて考えるようにした。


国境へ三日で到着すると先に放逐された者が待っており再会を喜んでいる。馬車の列はそのままUターンしていき私たちの馬車だけが残り進んだ。

すこしだけ進むと外で悲鳴が上がりマリアが、

「影法師が近づいた者を排除したな」

そう言い外を見てみると首を跳ねられた男数人が倒れておりその他の男達は呆然と立ち尽くしていた。


馬車は気にせず進み続け、途中何度も盗賊等に襲撃を受けたが首を撥ね飛ばされていきようやくマハラジャがいる後衛に到着した。


「姫様ようこそ、そしておめでとうございます」

マハラジャはマリアがおりてくると嬉しそうに出迎え私にも、

「ズイセツ殿ありがたき幸せ、これで安泰にございます」

そう言われなにかわからないが頷くしかなかった。


戦闘の説明を受けるため移動する。小高い丘の上に陣取ると目の前の平原に魔族と諸国連合なのだろうかいろいろな旗をたてた軍勢がおり気勢を上げている。

「ヒューマンもようやく立て直したのか軍をああやって集結させましてございます。そして我々はドラキュラを中心に戦います」

そう言っていると互いが突撃を開始する。

「私がしゃしゃり出ても問題はないか」

マリアは嬉しそうにふりかえるとマハラジャは、

「皆奮い立つでしょう」

そう言うとマリアが高音で詠唱を行う。

〈すごいエネルギーだ体の中で共振をしている。それと魔族の体が変化しているぞ〉

そう言われ望遠で魔族達を見ると黒い球体の近くに居たときのように体が大きくなり角や牙も巨大化しており襲いかかった。


ヒューマンは矢を放ち魔法を詠唱して次々に攻撃を行う。前方で次々と矢が打ち込まれ紅蓮の炎が上がる。

かなりの被害かと思いながら見ていると最前線には糸で展開された壁が広がりそこで全てを吸収しておりその後ろはダメージが皆無だった。

糸が消え去り盾と槍をもったヒューマンに襲いかかる狼の顔をした魔族が襲いかかりその後ろから角を投擲して後ろの弓兵を貫いて大きく吠える。

私は衛星からのデータを見ていると両脇の森をかえして騎兵がこちらへ周り込もうとしているに気がつきマリアに教える。

「相変わらずズイセツの目は遠くのものを見通すのう。マハラジャ」

そう言いきるより早くピエロのあの魔族が目の前の空間から球体の姿で現れ空気が入っていく風船の様に膨らみ現れた。


「クックック、姫様お任せくだされ」

そう言うと一方の騎兵を目指して高く跳躍しながら向かう、

「それでは私も」

マハラジャも足を組んだその姿で空中を進んでいった。

〈今の空間の移動といい空中浮遊は原理が不明〉

空間から現れたのをスローで確認して赤外線や超音波などでスキャンした結果を表示したが0の場所から現れており0と言うじょうたいからしてあり得ないとハルは伝えてきた。


騎兵との戦いが始まったのか派手に馬が空中にはねあげられ落ちていく。侵攻時に追わせたドローンの残りでその様子を馬車に戻り壁に写し出す。

ピエロは体をタコのようにくねらせ攻撃をよけると首を錫杖で跳ねる。しかしそれで終わらず錫杖をテンポ良く地面に打ち付け鳴らすと首を跳ねられた騎士が起き上がり他の騎士を攻撃し始めた。二千対一だが時間の経過と共にその差は縮まっていき騎士は敗走していった。

マハラジャの方は巨人系の魔族を引き連れており辺りの木を引っこ抜いて投擲しておりその周りは目に見えて緑が減っていく。


マハラジャも顔の前で両手をあわせ息を吸って手を広げると一気に吐き出した。

突風等と言う生易しいものではなくその先にある木や騎兵を空へと弾き飛ばしていく。このまま一方的かと思われたがマリアが画面の真ん中を指差し、

「蟲毒だ、そんなものまで持ち出してくるとはな」

私はそこをズームすると小山のような紫色をした野獣が多数の鎖に押さえつけられ進んでくる。マリアは外に、

「蟲毒だ気を付けろ、そして楽にしてやれ」

そう言って画面を見続けた。

〈蟲毒と言うのは色々な生物を一ヶ所に閉じ込め殺しあいをさせ最後に生き残った者が最狂の呪われた物として扱われる。あれは魔獣を集め蟲毒として生き残った物だろう。警戒が必要だ〉

そういった瞬間、鎖が一斉に斧で斬られ解き放たれると大きく吠えた。そうただ吠えただけのはずなのにドローンと衛星からのデータが途絶えオフラインの表示が出た。


馬車も震えマリアは馬車をおり私も続く、丘から見おろした状況は何と言うべきだろうか、そうカオスとしか言いようがなく敵味方関係なく蟲毒の魔物は襲いかかっており何のためにヒューマン側は投入したのかと言いたくなる。


「これは後方にいる国が味方ごと敵を倒して実権を握ると言うことだろう」

魔王マリアはあきれながらみている。

「撤退をお願いできますか、一発なら撃てます」

私はレールガンの発射準備を行念のため羽を展開させたがまだ通信機能はかいふくせず後ろにチャージしていた分だけのエネルギーで射ち込むこととなった。


バレルを伸ばして照準をつける。

「爆風に注意」

魔族は退却の合図を聞いて我先に逃げ出しその空白が出来たのを見計らってトリガーを引いた。

音と共に着弾する。

中心では爆風と共に砂煙が上がり気がつくと恨みの目でピエロが見ており、マハラジャも戻っていた。


「話には聞いていたがすごい、その方が負けるわけだな」

ピエロは無言で頭を下げた。

砂煙の中で怒りの吠える声が響きわたり逃げてきた魔族で弱いものは心臓を掴まれたように顔を青くして動かなくなった。


砂煙の中で悲鳴が上がり姿を現した蟲毒の魔物は我々と反対側、ヒューマンの軍に襲いかかった。

〈あの魔物は再生する能力が異様に早い、それとどうやら補食をしてそのエネルギーを得ているようだな〉

通信がようやくオンラインになり衛星からのハイパワーウエーブを羽で受信する。

「ズイセツ殿、すまないが我等に任せてもらおう」

ガラガラ声のドラキュラが誇りまみれで怒りの表情を見せており魔戦将軍達も揃っており同様に怒りの顔をあの魔物へと向けていた。

「いけ、我等の仲間にあのようなことをした報いを受けさせるのだ」

そう言って四人は丘を下る。

「我らも向かうぞ」

マハラジャもピエロに声をかけあとをおい、マハラジャの下にいたナナイとゴルフも後を追っていった。

「逃げ道を塞ぎましょう」

私はそう言うと衛星からの位置座標にある道に向かってレールガンを発射した。


山の稜線や森、数ヵ所の道と退却できそうな場所を破壊する。まだ数万いるヒューマンの諸国連合は自分達の背後が大きな音と共に破壊されていくのに気づき混乱し始めていた。

マハラジャ達が下っている間も魔物は兵士を食らい糧として再生し続けていく、再生したところは元通りにはならず触手のような物が生えてきており姿を変え始める。

「私もいく、ついてこい」

いつもと違う口調で魔王マリアは歩き始め丘を下る。丘の中腹に待機していた魔族はマリアの姿を見ると喜び左右に別れひざまづいた。


戦場に出るとすでに戦いは開始されており蟲毒に対して6人が戦いを挑む、はっきり言えば一方的なはずだが傷ついたところは猛烈な勢いで再生しておりもとの姿からかけ離れつつあった。

「ズイセツ、あれをどう思う」

そう言われハルに聞くと、

〈細胞の猛烈な分裂を繰り返しており打撃では有効を望めません〉

「現状では再生するためのエネルギーをたたなければなりませんが」

そう言ったものの私が道を塞いでいるため諸国連合は逃げ場はなく食べられていくしかなくそれは無理だった。

「いくつか試してみます」

私はマリアが旋律を歌い始める横を刀を抜いて走り始めた。


触手を切り落としながら本体を切る。しかし切った先から細胞が分裂を始めそこから触手が出る。

私は刀を納めるとレーザーを発射して本体ごと触手を切り落とす。

傷口は炭化して再生せず蟲毒は苦悶の表情を向けてきた。

「ズイセツ殿焼けばいいのですな」

マハラジャはそう言うと詠唱を始める。魔戦将軍それぞれも詠唱や紅蓮んの炎を吐いたりピエロは火を吹いた。

火球が起こり爆発して焼いていく、

〈驚いた、表面を炭化することで仲間での被害を防いでいる〉

私はレーザーを射つが綺麗に反射され空へと消える。

「炎がきかぬと」

マハラジャ達は驚き離れる。


私は表面を破壊するつもりでレールガンを構え発射した。

大きな音で金属同士がぶつかる音と弾道が蟲毒の表面を削りながら明後日の方向に消えていった。背中のチャージしているエネルギーを使い果たし後ろへと後退して再度羽を広げてチャージする。

砂煙の中から現れたが表面が削られていたが高熱でさらに固さを増したようで黒光りしている表面を見せつけるように蟲毒は反撃を開始した。

どうするかと考えているとマリアがいつの間にか私の横にいて刀をぬくと、

「面白い武器だな、すまないが壊れるかも」

いたずらをしたときの子供の顔をしたマリアは蟲毒に近寄り固いはずの表面に刀を突き刺した。

「力を」

マリアが私に言い、私はチャージ中のエネルギーをそのままマリアの腰にある黒い球体へと送る。


刀を介して蟲毒に力を流し込むと急激に内部で熱が発生しているのが観測され蟲毒は苦悶の表情を見せ内部の温度が上昇し数百度になった瞬間白く光り燃えた。

〈外側は膨張しないカーボンと同じようなものだ、それが中で分裂した細胞により圧力が高まり温度が上がって自然発火したと言うことだ〉

ハルからの説明を聞きながら嬉しそうに戻ってきたマリアは刀を見ながら、

「あれほどの力と熱で何ともないとは、これは何でできている。私もひとつほしいな」

構成を変えれば何千度と言う温度でも耐えられるナノイドなので問題はないので、

「後で造りましょう。親愛なる魔王のために」

そう言うと鞘にも度しながら、

「そう言うことは口に出すと女はつけあがるぞ、私なら何を言われてもどうとないがな」

ウィンクすると後ろに控えるマハラジャ達に、

「ご苦労、ここで夜営とする」

マハラジャは後ろの燃えている蟲毒の横にいるまだ1万以上はいる敵をどうするかと聞くと、

「構わぬ、これにより各国が動くだろう。毒蛇は表に出して互いに殺し会わせれば良い」

そう言うと一番近い街を攻略してしばらく様子見すると言って馬車へと戻った。

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