連合
出発して数日、衛星経由でデータを検証していく、
〈以前の訪れた場所は今回の場所とは違うというか袂を別ったと言うことでしょう。中途半端なテクノロジーが崩壊したと言うことでしょう〉
「何が理由なのか」
〈1つは亜人や人でない生物を作ると言うことに同意できなかったと言うことです。色々な種族が混ざりあった世界をと考えたようですが駆逐されヒューマンの世界が中心になったと言うことです。〉
「欲により争うと言うことだが人の本質はかわらないと言うことだな」
〈今回のように外敵がいても同族さえ倒す。これを考えた科学者の理想とは無駄と言うことでしょう〉
「それではマリアの元にいるドラゴン達はいずれはということか」
〈それはないと考えられます。生きるのにもあの黒い球体が補給をしてくれるので食欲はなく、睡眠も問題ないでしょう。あとは子孫を残したときにその子孫は食事をとらざるおえませんから何れはでしょうか〉
あの心臓にあった宝石がエネルギーを吸収すると言うことが科学者の理想と言うことなのだろうが黒い球体がエネルギー不足で供給できず子孫は退化をして食事をとらなければならなくなったと言うことだろうが
「私がどうとするものでもない」
〈そうですね彼らのことですから、しかしズイセツも初めは期待に踊るような行動が最近は少々沈んでいると受け取れますが〉
「理想と現実の違いをまざまざと見せつけられたからね、奴隷と言うのがショックだったから」
〈感情とは無駄と考えさせられますなズイセツを見ていると〉
ハルの設計者に毒づきたくなりそうになりながらも最前線となるリードへと入った。
リードは元々辺境の町だったのが今大戦の前線基地となり何度も拡張されていると話を聞いていたが、外壁がいくつも追加されて建設されており、最初は石の城壁がそして木造そして木で出来た柵で囲まれており人口もどれだけいるかわからないようで軍隊の騎士や従卒、そして多数の冒険者や商人でごった返していた。
「熱気に溢れているというかこう言うのをカオスと言うのかな」
〈ズイセツここは対魔物の討伐基地と言うところだろう、今更だが気を付けて行くように〉
「何を気を付ければいいのか、とにかくギルドに向かうか」
私は入り口を守る衛兵にギルドカードを見せると中へ入った。
「ギルドの場所だあ、銀貨1枚だ」
道はいくつにも別れ大通りがどれかもわからずギルドの場所もわからなかったので道端に座っている男に聞くと銀貨を要求される。
「たかが場所を聞くためだけで銀貨を要求するなんて強欲だな」
私が返すと、
「ここでは情報さえも金だ何もかも金につながるからな、金がねえならあっちいきな」
手をふって向こうにいけとする。
ここで力ずくでもいいが目立つのもと思い衛星からの地上のデータを貰うと大きな建物と人が集まるところに該当する場所に向け歩き始めた。
「外れか」
最初の場所はどうやら酒場らしく昼間から出入りも多く酔った男達と化粧をした派手な商売女が黄色い声をあげており一別すると次の場所へ数すむ、人々は誰もが殺気だっており時々男が通行人に近寄り腰のものをすろうとしていた。
当然私のところにも何度か近寄ってきたが、姿を消しているボールを足元に転がし転ばせ進む、盗賊は何で転んだかもわからず運が悪ければ転んだときに何処から現れたのかボロボロの服装をした大人や子供が襲いかかり身ぐるみをはがされていった。
「ここかな」
ようやくギルドの場所へと到着する。建て増しに次ぐ建て増しでいびつな建物であり地震でもあれば崩壊しそうな印象でありカオスの印象を改めて受ける。
外もだが中もごった返しており殺気で刺々しい感じであり、ギルドから雇われた男達が暴れたりした冒険者を力ずくでぼこぼこにして外へと放り投げていた。
私はようやくカウンターにたどり着きカードを見せると、
「ここの情報が知りたい」
カウンターの向こうの男は小冊子を取りだし、
「金貨1枚と銅貨3枚のがあるがどちらにする」
そう言われ金がギルドでも支配しているのかと思いながらも金貨1枚をカウンターに置くとそこそこ厚い小冊子を渡してくれた。
私は角の人がいないところに移動すると中身を見る。町の簡単な地図、周辺の地図、店舗や各国の出張所に騎士団の駐屯地、教会の場所等が記されておりその他は対魔王軍の拠点と魔物の出没地点や過去に珍しい魔物が現れた地点等が記されており、全体的に見るに冒険者を煽っている文章でこうせいされていた。
〈むかしの歴史で言うゴールドラッシュということだな〉
「昔ってこの開拓時代、太古の話じゃないか、しかし何千年たっても欲望は尽きないと言うことだな」
〈これからどうする。このまま魔王の場所へ向かうか〉
「いやしばらくここに止まり情報を集めることにして、ボールをしばらく町中に徘徊させてくれ」
そう言うと私は外に出て比較的グレードが高いホテルへ向かった。
「1泊金貨5枚だ」
宿屋の主人に言われ私はあきれる。
「それだけ払うだけのサービスはあるのかい」
親父は指差す先にはなぜか騎士がおり、
「うちの後ろ楯はあのグリフォン騎士団だ、宿を守ってくれるからな」
親父は偉そうに鼻息荒く言うので、
「他も見てくる」
私がそう言って出ていこうとすると、
「うち以上に良い騎士団お抱えはないからな」
そう言われ手をあげて次の宿屋へと向かう。
他の高級な宿屋も騎士団バックについており私はもう少しグレードを下げた宿屋へと入った。
「いらっしゃい正直者の亭へようこそ、1泊銀貨50枚食事つきすべて個室だよ」
威勢のよい女将さんに入り口横の網がかかっているカウンターから声をかけられる。このくらいなら良心的だなと思い、
「1週間頼みたい」
「あいよ、前払いで部屋は3階の一番奥、食事は朝晩2回好きな時にいっとくれ酒代は別に銀貨10枚、馬は銀貨50枚」
私は金を支払い鍵を受けとると3階に上がり部屋へと入った。
窓を開けると鉄格子がはまっており盗賊等に対する防犯といったところだろう、その向こうには町が広がっており、ここは石の城壁の外で木の城壁の中であり、その向こうは柵がはりめぐらされその外はスラムが見える。
辺境の地なので防御の点からも丘の上に町がありその周辺に町が広がっていおり、後ろには川を背負っているのでここが選ばれたのかなとも思えた。
私は荷物を下ろすと人々が集まっていた酒場に向かう、これだけ集まる理由はと顔を出すとパーティーを組むために人々が集まっており、
「前衛職募集、ランク4に向かうぞ」
「癒しができる者募集だランク3にいくぞ」
「ランク5の大規模戦だ、金貨1枚成功で金貨5枚」
「初見のパーティーだ、報酬は各自が取ったものいきなりはきついぞ」
そう言ってたいた最後のパーティーに入ってみるかと思いながら若い戦士のところに向かう、
「話が聞きたいんだが、日程はどうなっている。」
「夜明け前に前線行きの無料馬車に乗りランク5のキャンプ地に向かいあとは説明しながら魔物の討伐だ、一人で倒したら自分の者数人でなら頭割りだ」
「了解、夜明け前に無料馬車が出るところだな」
「ああ、門の外で50台ほどいるからな、ランク5は黄色だ」
「名前を言い忘れた、ズイセツだ前衛のアタッカーだ」
「クラウスだ前衛とパーティーリーダーをしている。人数はあと数人増えるから十二、三人位になると思う」
「じゃあ」
そう言って宿へ戻り、
「ランクとか普通の場所とは違うようだな」
〈無料馬車が出ると言うことだが自治体が裕福と言うことかな、明日が楽しみだ〉
そう言って食事をとると早々に就寝をした。
翌日装備をつけて黒いローブを羽織ると真っ暗のなか進む、人々も暗闇のなか進み木造の城壁をくぐり抜けて馬車が整列しているところに出る。
松明で旗の色が見えており黄色を探すとクラウスを見つけて挨拶をする。
「ズイセツよく来てくれた、サブリーダーの魔法使いであるリリア、ドワーフで戦士のノロイ、盗賊で斥候のアマミが中心であと君を含め10人を引き連れて向かう乗っていてくれ」
そう言われ馬車に乗る。
馬車はかなりおおきく幅広の車体に左右と真ん中に真っ直ぐな背もたれがついた長椅子があり前の席に座って待った。
しばらくすると次々と乗ってきており戦士や弓矢使い、魔法使いや精霊使いのエルフがパーティーメンバーとして乗ってきてクラウスが乗ってきてさらにソロなのか数人が乗ると出発をした。
道は整備されているのか石畳で出来ているようで小刻みな音をだして軽快に飛ばしているようだった。
〈前線から離れていると思ったがこの道があるから移動は容易と言うことだな〉
「エルフの精霊使いだがなにかと区別にどうのはなさそうだな」
じろじろ見すぎたのかそれとも本来コミ障なのか女性のエルフは横を向く、
「よろしく、斥候と猟師をしているカズンだ」
私の右隣に座った小男が手をさしのべてきたので手を差し出し挨拶する。
「ズイセツだ、侍という前衛職だ」
「そうか、お互いこの町で儲けていこうぜ」
そう言うと色々自分のことを話しており私は聞き流しながら他のメンバーを見ていく、お互い緊張した面持ちであり装備的には革の鎧や普通の剣であり、唯一大男で大斧を前に立てて静かに座っている男だけは装備もそこそこのものだった。
「到着したぞ降りろ」
外から声をかけられ下りていく、ソロやパーティーは森の奥へと消えていった。
「14人を二つに分けて7人ずつで行動する。」
クラウスの指示で私は無口な大男と前衛に立ちカズンが斥候でアマミと共に先行する。エルフとは別で弓を使う猟師のゲルとグルカ、魔法使いのリリアがリーダーとして進む、バランスで言えばどうなのかと言う感じで進み他のメンバーのパーティーとは声を出せば届く距離で平行して歩いているようで時々小さな鋭い音を出して確認しているようだった。」
基本的なことはわかっていたのでリリアがランクの話をしていく、危険の度合いであり前線周辺はレベル0であり離れていくたびにその数値は上がって一番ななれた場所のここがランク5となっている。
「ゴブリン兵20」
カズンとアマミがしげみから戻ってくると早速報告してくる。
「魔物としては最弱の部類、私たちだけでやるわよ」
リリアが言うとカズンとゲル、アマミとグルカが左右に別れる。私はリリアがボルグと呼ぶ大男と茂みから見ると豚を捕まえたのか丸焼きにして嬉しそうにしておりリリアが詠唱を始め私はそれをスキャンしながら何が魔法の発動になるのかと見ていると、からだの中心で体温が上昇しており見た目的には何かがリリアの前に集まっているが赤外線等でみても変わった様子はなく、
「安らぎと共に優しい眠りを」
最後にそう締め括ると少し暖かい風が流れてゴブリン兵へ流れていく。騒いで食べていたゴブリン兵は半分近くがゆっくりと寝てしまい地面に横たわる。
その瞬間左右から矢が放たれ起きていたゴブリンの胸に刺さった。
「うぉ~~」
そこでそんな声出したら今までのが無意味だろうとボルグに言いたくはなったが、無言で走り抜け起き上がったゴブリンの首を跳ねていく。
ボルグは勢いのまま両断していきはっきり言えば危なくて近寄れず少しはなれたところのゴブリンを倒し、カズンとアマミも茂みから飛び出すとショートソードで後ろから背中を刺して倒していった。
初見とは言えベテランの冒険者でありゴブリンならなんなく倒せてしまいそれぞれが倒した魔物から戦利品を取ると集合した。
「なかなかやるわねランク5だとこんなものよ」
リリアが言いながら探索を開始する。
「楽勝楽勝こんなのばかりなら良いけ実りは少ないな、次は4へ行ってみようかな」
カズンがそう呟きながら私の横を抜け斥候に入る。
ゴブリンの小隊に次々とあい討伐していくが数が多く皆疲れぎみだが最後の最後にもうひとつのパーティーからの応援依頼で合流をした。
「この林を抜けた場所にある川でリザードマンが16匹確認した。ランク4にいる魔物だがどうする。」
クラウスが皆に問いかける。
私は衛星からの画像を写すと確かにリザードマンがおり、日向ぼっこをしているようだった。
「討伐報酬はいくら出るんだ」
カズンが聞くと、
「ゴブリンは銅貨3枚だがリザードマンは銀貨3枚だ、ランク4で危険もあるからな」
ギルドからの報酬に口笛を吹いて答える。
「反対はなさそうだな、迂回して川をわたり奇襲をかける。」
そう言うと出発した。
〈ズイセツ1匹3倍ほどの個体が混じっているようだが知らせないのか〉
「知らせたところでやめるわけがなさそうだし、その情報の入手でもめそうだ」
〈了解した、心なしか気持ちがリラックスしているようだが〉
〈戦争といっても前のような騎士団との戦いと違い気楽は気楽だからな〉
「ならいい、あの国に近づいてくる軍隊も今のところはなしだからな」
そうハルが珍しく気を使ってきたようだが気にせず迂回して川を渡と川原の見える場所に到着した。
指示で主力の私たちは真ん中、左右から弓や斥候を得意とする連中を配置して待機する。
先程と同じようにリリアが詠唱を始めるとリザードマンの集団の中でダントツに大きい個体が気がついたらしく立ち上がると大きく吠える。
他のリザードマンが跳ね起きて槍を構えたときに眠りの魔法を発動させリザードマンを眠りに引き寄せようとしたときもう一度吠えると効果を無効にしてしまった。
「ちっ、突撃」
クラウスは焦ったのか本来なら撤退をすべきところで判断を誤りそのままなし崩しに攻撃をさせることになった。
ボルグを先頭に主力が突撃をしていく、矢の先制攻撃があったがリザードマンの鱗で滑りたいした手傷も負わせられず戦いは始まる。
ボルグが大斧を叩きつけるとリザードマンが吹っ飛び喚声が上がるが、苦しそうに顔をしかめながら起き上がる。
クラウス達の武器では鱗を貫くだけの攻撃力はないようでかなり苦しくなり始めておりランクが上がる危険性を認識した。
私は刀で一番近くのリザードマンの槍をはねあげて懐に入り、戦闘に入る前にスキャンで確認した心臓を貫いて引き抜き下がる。
すぐ横のをと思ったが倒しきれない他の前衛が下がるので孤立しかねないので下がるしかなかった。
「アマミ」
そう声が上がり見ると大きな個体が振り回す槍にアマミとグルカが吹き飛ばされてしまう。
不味いと思っていると、突如足元の草がリザードマンに絡みつき動きを阻害しておりこれがどうやらエルフの精霊魔法と言うことを認識した。
「ボルグ、アマミを助けろ」
そう言ってクラウスはボルグに指示をして二人でそちらへ向かい始める。
「なっ」
ボルグと共に前衛であった戦士がその行動に驚き動きが止まった所に3体のリザードマンから繰り出される槍のうち1つを避けきれず脇の上辺りに刺ささり膝をつく、私は強引に端っこのリザードマンを同じように心臓に突き刺すと片膝をついた戦士に駆け寄る。
「これ以上は無理だ下がるしかない」
戦士は苦しそうに、
「すまない」
そう言いながら一緒に下がり走って逃げ始めた。
クラウスはアマミを抱き起こし、ボルグは一番大きい個体に大斧を叩きつける。本来なら外に関係なく中の骨を叩き折れるのだろうが、意に介した様子もなく振り返るとボルグを攻撃する。
残りのリザードマンは足に絡まった草を引きちぎるのに時間がかかり私は戦士に続いて後方の草むらへと飛び込んだ。
「なに仲間を見捨てて逃げ来てきてるの、早く助けに行きなさいよ」
リリアが怪我をした戦士に命令をする。
「前衛を崩され怪我をしてしまったから無理だ」
そう言いながら通り抜けると、私を怒りの顔でリリアがにらみ私は肩をすくめて振り返る。
クラウス達は勇戦しているがただそれだけであり私が加わっても倒すことはできても助けることができるとは思えない、
「何見てるのよ早くなんとかしなさい」
「サブリーダーとして何とかできる方法を出してくれなければ戦力の逐次投入は意味をなさない」
「そんなこと言ってもクラウスがやられたら困るでしょ」
「初見のパーティーであって正式でもないし、指揮を放棄したリーダーに従う事をしなくて良いはずだがだから戦士も退却したはずだ、それとここで言い合っていれば状況は悪くなるばかりだが」
そう言うとリリアは詠唱を始め、
「チャームバインド、あいつらを攻撃しなさい」
なんと私に対して精神支配をかけてきたのであり私は一瞬くらっときたがハルが引き戻して効果を無効にしてくれる。
私は次の瞬間峰打ちでリリアを気絶させると、クラウス達を囲んでいるリザードマンの後ろに静かに近寄ると刀で心臓を一突きに貫いていく、半数を倒してクラウス達を見ると鎧は消し飛び半死で戦いを続けており、ボルグは武器を吹き飛ばされ巨大なリザードマンに取りついてしがみついていた。
残りのリザードマンは草を引きちぎり自由になると私にも気がつき槍をつき出してくる。刀で受け流していると横を疾風が通りすぎてリザードマンを押し包む、紫色の血の霧が上がったあと霧散すると表面を切られたがリザードマンは大きく吠えると後ろにいたエルフに向かっていった。
「助けてくれ」
クラウスが叫びながらギリギリを耐えており、私はその声に反応して後ろを向いたリザードマンの心臓を貫く、残りは5体でありパーティーの面々も希望が見えてきて必死に倒そうとしていた。
ようやく巨大なリザードマンだけになっており取り囲む、ボルグは力尽きたのか吹き飛ばされて二三度跳ねて木にぶつかり気絶してしまったようで、ようやく自由になった怒りを一番近くにいたクラウスに尻尾を振り回してぶつけ同じように吹き飛ばした。
「我が名において召喚されよ、地獄の業火を与えたまえ」
エルフが唱え終わるとサラマンダーが現れ炎を吹く、
〈ズイセツ、これは面白いあのエネルギーが疑似生命体を形成して攻撃をするとは〉
「精霊と言っているが特別な物ではないと言うことか」
〈そうだ、もしかしたらナノイドでコアを形成して同じようなことができるかもしれないな〉
そう言っているとリザードマンは炎に包まれ苦しむが尻尾を振り回してサラマンダーに叩きつける。
通り抜けるのかと考えたが実体はあるらしく地面に叩きつけられさらに撥ね飛ばされると消えてしまった。
体を震わせると炎は消えていき仕切り直しと言いたいのか私たちに向け大きく吠えた。
「サラマンダーが、もう無理よ撤退しましょう」
エルフの考えは当然であり、皆同意して倒れている仲間を担ぎ上げ私も自分より大きいボルグを担ぎ上げエルフが光の精霊で何度も幻惑を見せながら撤退をした。
キャンプ地に戻るとすでに夕方であり馬車も最終が待機していたのでそのまま乗り込んだ、
皆はショックを受けており、あんな強い個体がいただなんてと呟きながら仲間の治療をしていく、クラウスはひどい怪我は無かったが、ボルグとアマミは重傷であり意識は戻らない。
「戻り次第この魔法使いを訴える。」
おもむろに戦士が言う、確かに私が味方に使ってはいけない精神支配の魔法を使ったが私的には事を荒立てるめんどくささが先にあり忘れていたのを思い出させる。
「リーダーが前衛を崩壊させて助けに行き、私が怪我をして退却したときに無理矢理助けにいかせるために精神支配の魔法を使った、禁呪だ」
私を見たので否定はせず頷く、
「なにか差し迫った理由があるんだよ」
誰かがそう言ったがそれは理由にはならないと誰もが考えていた、
途中でリリアが痛みで意識を取り戻すと戦士の追求が始まる。当事者である私は沈黙を守り様子を見ていると今回したことについての後悔というか禁呪を使った焦りは感じられずに思う、
〈人と言うのは法を犯せば動揺するはずだがこの魔法使いは動揺をしていない、たかをくくっているのか無知なのか〉
そんなことをしているとようやく到着して馬車をおりる、戦士がギルドへ証人として一緒に来てほしいと言われ興味のその一点だけで同行をした。
到着してカウンターで訴えその事について聴取されサインをするとようやく解放され遅い時間に宿へと戻った。
翌日昨日のことも気になり酒場に向かい奥の席につくとクラウス達が来るのを待ったが姿は表さず午後になってギルドへ移動する。
ギルドの前まで来ると戦士が怒ったまま出てきて通りを歩いていき私は気にせず中に入ろうとすると、
〈ズイセツどうやら戦士もだが狙われているようだな〉
そう言われて戦士を見ると後ろから3人組が距離をおいて歩き始めており私もその後を歩く、私の後ろにもいつの間にか尾行されているようで、
「地図を」
そう言うと衛星からのデータでこの先の道を確認して先回りをすることにした。
「あんたか」
私が路地を先回りして出てくると戦士が気がつき私に駆け寄ろうとするといきなり苦悶の顔色で倒れる。
〈吹き矢のようだ、用心に越したことはあるまい肌を露出させるな〉
毒ならナノイドですぐに中和はできるがリスクを考えてフードを被ると前後から男達が現れ、
「こいつのローブは吹き矢を通さないみたいだ、もう一人は始末したからこいつを殺って酒を飲むぞ」
前の男はショートソードを抜くと後ろから矢が飛んでくる。毒かなと考えながら刀で受け流すと次々と男達を切り捨て最初にしゃべった男は逃げ出そうとしたところを捕まえた、
「誰に頼まれた」
暗殺を請け負うので当然依頼主の素性はあかさないようなので、
「勝手に聞くからいいが」
そう言うと眉を細める、ナノイドを少し頭にのせ少し待ってもう一度聞いた、
「ギルド長と評議会議員だ、名前はレイネスとブレステッド」
男は自分の口が勝手にしゃべるのを驚き口をつぐもうとしていたがからだの自由を奪われておりどうしようもなく悲鳴をあげたいがそれさえもままならない状況に大きく目だけを見開いていた。この件について聞くと、
「リリアはブレステッドの娘で、クラウスはギルドお抱えの冒険者であり有能な新人をスカウトしてお抱えとして安定な利益を生み出すパーティーを構築するということだ。評議会は各国の代表者が集まってこの町を支配するための機関であり、本来独立性を求められるギルドをも傘下におさめている。お前が死ぬのも時間の問題だ」
私は男を始末するとどうするか考えながら町を歩いていくと初老の男が目の前に現れ、
「少しお時間を頂けませんでしょうか、あの連中のように敵対しようという考えは有りません、主人がズイセツ様とお話ししたいと」
私が頷くと手を上げ馬車を呼ぶと乗るように言われて乗り込む、
馬車は走り始め中心へ向かい石の城壁をフリーパスで通り抜けると大きな館の前に到着して応接室に通された。
「よく来てくれた、ズイセツとか言ったな中々腕もたつようだが、評議会議員をつとめるレズイック王国第二王子ライドネルだ」
日焼けをしているが健康そうで無駄な贅肉がない若者が待っていた。私は促されて座ると、
「まわりくどいのは苦手だ率直に言おう、先程命を狙われていることは聞いたその相手に関することだ」
「レイネスとブレステッドと言う者か」
ライドネルは驚き、
「その名前を刺客が良くしゃべったな死んでも口を割らないはずなのに」
驚きうなりながら、
「評議会といっても利害が絡んだ集まりで絶えず相手を出し抜き先手をとろうとしており、最近特にその二人が役職をいいことにやりたい放題している」
私は黙って見つめていると、
「今回ギルドに訴えたと言うのは知っている。もう一人は亡くなったと聞いたがね、そしてそれが味方に対する禁呪それも評議会議員の一人娘が行い、ギルドが握り潰した。そこで午後にも緊急の評議会開催を開き追求しギルドの公平性を取り戻させたい」
ライドネルは一方的に話してソファーに深く座ると執事が酒をついで私にも渡してきて、
「これで連中を追い落とすこともできる。やつらの顔が今から浮かぶようだ」
一方的に言われたので、
「頑張ってください」
危害を加えられても排除すれば良いしいざとなれば町ごと吹き飛ばせることを考えながら答えると、
王子は少し眉を動かし、
「協力できないと言うのか、メリットなら暗殺を止めることができる。それ以上望むなら金貨30枚を報酬として渡そう」
二やつきながら王子は提案してくる。
「暗殺は反撃すれば良いことだし、しつこいなら黒幕ごと町を破壊するだけだ」
そう言うと王子の眉がもう一度動き、
「ズイセツ、ズイセツと言う名前で町を破壊したと言う情報があの国の密偵から伝わっていたが貴公がそうか」
私は無言で酒をあおると、
「それではかの国の女王と同盟を結ぶと言うのはどうかな」
私はマリアの顔を思いだしながら自分には直接は関係ないはずだが無言で立ち上がり、それを見て王子も立ち上がると私に握手を求めてきたので返した。
〈その気持ちは面白い、ズイセツよもしこの世界で落ち着きたいと言うならそれも良いだろう、戸惑いと言うものも私を設計した者が組み込んでいる。最初は楽しくだったはずがいつぞやから心苦しい感情に支配されていて自分を圧し殺しているように見受けられたからな〉
そう言われて自分のモヤモヤを的確に指摘され、それもただの搭載コンピューターにと思いながらライドネルに促されるまま馬車に乗ると一番中心にある大聖堂の中に入った。
まだ建設途中であるが気にすること無く中へと入っていくと円状の中心にある部屋に入る。
「ライドネル卿、緊急の招集とは何事でしょうか」
太り気味の初老の男が声をかけてくる。
「バルネリア卿、評議会の権威が汚されてしまった事案が発生してしまったため皆さんに集まっていただきました」
「そうか、それは重大な問題だな、評議会の議員の皆さんそれでわ始めようではないですかな」
そう言って芝居がかった行動で始まった。
「皆さん今回評議会の公正さと権威が汚されてしまった事について報告と対応を考えていただきたい」
ライドネルは咳払いをして、
「内容的にはパーティーの仲間に禁呪を行った者がおり、訴えたはずだがそれを握りつぶしあまつさえ訴えた者を暗殺したと言うことにございます」
議員の間でどよめきがおきそれがおさまるとさらに、
「この評議会は対魔王との戦いで利害を超えた旗のもとに集まり、その理念を冒険者に伝えて進行を防ぎ討伐を行うと言うことであったはずです。」
「これらについての事を当事者の父親であるブレステッド卿にいくつか質問を行いたい議長」
バルネリア卿が頷き、
「ブレステッド卿前へ」
リリアは母親似なのだろうか、毛むくじゃらの二の腕といかつい熊のような顔をした男が顔を赤くして前に出る。
「議長、緊急招集と言われ来てみたが内容を聞けば馬鹿馬鹿しい限りでありそれはギルド内での冒険者同士の揉め事ではないか」
そう吠えるように発言をする。しかしライドネルは気にすることもなく、
「先ずは内容を知っておられたと言うことですがあえてもう一度話をしましょう。」
そう言って経緯を話していき話終わる頃にギルド長が入室してきた。
「ギルド長、これは写しだがこの訴えを握り潰した事について釈明を」
そうライドネル卿が促して前にたつとのらりくらりと話始めるギルド長、さすが上まで上がった実力はあるのだがライドネルがギルド内の証人の買収や今回のパーティーの仲間だったエルフが証人として呼ばれて徹底的に追求した。
結局最後まで私に発言を求められるわけでもなく終了しバルネリア卿が、
「今回の不正にかんがみ評議会は以下の事について決定をする。」
「1つブレステッド卿の議員資格を停止する。黒色重騎士団は直ちに代わりの議員を派遣すること」
「2つギルド長は公職を追放し被害者に賠償金を支払うため財産を没収する。」
「3つ評議会は今回の一番の被害者であるズイセツ卿に謝罪をするとともに某国との協定を結ぶように各騎士団から国へ働きかけるようにする。」
「今回の件については公にせず終了する以上だ」
こうして呆気なくと言う出来レースである茶番が終わった。