図書館で会いましょう。
当て馬?何それ?そんなことより頑張りますの秋ちゃんです。
私、平岡秋はアキバカルチャーをこよなく愛する高校入りたての15歳。
マンガ小説フィギアにBLにボカロ、コスプレはまだしたことないけど専門雑誌は毎月買ってます!
専門知識を詰め込むのが大好きな私は超セレブ高エルモニア高校にギリギリ合格。
一般庶民はスペックが高くないと入れない高校だから私もスペックが高い………はず。
一番に仲良くなった篠崎日和ちゃんは学年トップの頭の良さと茶色がかった髪の毛は長く柔らかく、明るい茶色の瞳が可愛い少しクール!極めつけは胸がでかいってハイパースペックを持った女の子で私は月とありんこレベルの差があるのにスッゴク優しくて大好きな友達なもんで、自信は無い。
あと今、はまっているのがライトノベル。
異世界トリップやゲームの世界に転生したり、飛ばされてみたり!
なぜこんなにもライトノベルにはまったか?
それは、この学校の図書館のせい!
この学校の図書館ってばその手の本が、bookショップかってぐらい揃ってるの!
「ここは天国ですか?」
呟いたら横にいた背の高い女の………いや、男の人に笑われた。
それが三木谷達也先輩と初めて会った日の思い出。
三木谷先輩は前髪も後ろの髪も長くて後ろの髪の毛をひとつにまとめている。
線が細くて色白優しげなタレ目が印象的な美人。
女の人にしか見えないけど、ズボンはいてるって事は男だよね?
ネクタイの色が緑って事は三年生?美人。
って本気で思った。
「笑うなんて酷い!」
私の言葉に先輩は必死に謝ってくれた!
次に先輩と会話したのは初めての出会いから1ヶ月はたっていたと思う。
その日私はうっかり階段でこけた!
私の頭に浮かんできたのは………
こ、これは!ライトノベルで良くあるうっかり異世界トリップする例のやつだ!
トリップまたは転生!
ビバ異世界!チートがあったら良いな!
だった。
まあ、異世界トリップは出来なかったんだけどね!
気がついたら私は三木谷先輩に助けられていた。
左手で階段の手すりを掴み右手で私を支えてくれている三木谷先輩は線が細くて頼りないのかと思いきや実は着痩せするプチマッチョだったみたいで、私は乙女ゲームの世界に実は居るんじゃないかとまだトリップすることを諦められずにいた。
お礼を言わないと!
そう思った次の瞬間あることに気がついた。
先輩の私を支えてくれている手!
私の控えめなお胸様を鷲掴みにしてますよね?
………これはライトノベルで言うとこの不可抗力だと解っているのに痴漢呼ばわりして殴るのが正解か?
人として不可抗力にまで目くじらたてて怒るなんて馬鹿か?ちゃんと謝ってお礼を言うのが正解か?
迷うと………今、揉みませんでしたか?
「う、うあああああああ!ご、ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
先輩は私を安全な体制にすると今にも土下座しそうなくらい謝りだした。
「あ、あの、だ、大丈夫ですよ!あの、助けてもらっちゃってありがとうございます!」
「ても、俺!君のむ…」
「不可抗力ぐらい理解してます。それにあのまま落ちてたら、異世界トリップ……じゃなくて、死んでたかもしれないですから!」
先輩は眉毛をハの字にして泣きそうな顔をしています。
か、可愛い!女の私が負けを認めたくなる顔をしてます。
私の貧相なお胸様で良ければ貴方が付けた方が良いんじゃないですか?
「でも、俺は!」
「先輩!ファーストタッチが先輩の様な美人さんで私のお胸様も本望です!だから気にしないでください!」
うん。こんなことしか言えなくてごめんなさい。
先輩はまだ謝り足りないみたいだったけど、私はお礼を言ってその場は逃げた。
三回目に先輩と会話したのは二回目の次の日。
図書館に入ると先輩がケーキ屋さんなどで売ってる焼き菓子の詰め合わせをくれた。
「昨日は本当にごめんなさい。」
「先輩………ここまでしなくても私の貧相なお胸様の事なんか気にしなくて良いのに………」
「で、でも家の悪魔じゃなくて、姉はこれぐらいしないやつは死ねって………」
お姉様が居るんだ!あ、悪魔って………
とりあえずお菓子を受け取り私は笑った。
「先輩!ありがとうございます!私平岡秋って言います。先輩は?」
「あ!俺、三木谷達也って言います。」
「三木谷先輩ですね。じゃあこれ食べるの手伝って下さい。」
「え?いや、これは平岡さんにあげたもので………」
「胸足りないからこれでも食ってでかくしろって主張ですか?たぶん悲しいことにお腹にしか肉はついてくれませんよ!」
先輩は真っ青になって頭を下げた。
「ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃなくて………ごめんなさい!」
どうやら先輩は"謝る"が標準装備されているようだ。
私は笑いながら先輩にクッキーを手渡した。
それからと言うもの目が合えば挨拶をしたり、お勧めの小説の話をしたりかなり仲良くなったと思う。
それに図書館のライトノベルはほとんど三木谷先輩がリクエストしていれてもらった本達だったらしくひそかに私は三木谷先輩を神だと思っているのだった。
そんなある日。
「これなら家にあるよ!持って来ようか?」
三木谷先輩が私が読みたいと思ってた本を持ってると解り貸してもらう事になった。
「明日で良いかな?すぐ読みたいならマッハで取ってくるけど?」
「家近いんですか?」
「うん。学校より駅の方が近いけどね。」
「………じゃあ、私が先輩の家に寄りますよ!後は、電車乗って帰りますから。」
先輩は暫くフリーズしてから呟いた。
「悪魔は今日飲み会………」
悪魔って確かお姉様でしたよね?
「うん。良いよ。」
三木谷先輩の笑顔が爽やかだった。
三木谷先輩の家は本当に駅の近くで横を線路が通っている様な感じの家だった。
「部屋、綺麗だったかな?」
三木谷先輩がドアを開けるとそこには、綺麗な女の人が立っていた。
「達也お帰り!ちょっとコンビニまでアィ……」
先輩はそのままドアを閉めた。
「何で居るんだよ!悪魔め!」
先輩の呟きが聞こえます。
すぐさまドアが内側から開けられ美人のお姉様が眉間に皺を寄せて出てきました。
「何ドアを閉めてくれてんじゃいボケ!喧嘩売ってんのか?………えっ?何女連れ込もうとしてんの?殺すよ。」
「ひ、平岡さんはそう言うんじゃない!本貸すだけだから!悪魔は自分の部屋にいてよ!」
「誰が悪魔じゃボケカス!」
「思わず心の声が!」
「よし!殺す!今すぐ殺す!いや、BLネタにお前を使う。」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」
先輩の謝り癖はお姉様のせいのようだ。
しかもBL………なんだか仲間意識が芽生えます!
先輩は美人の気弱さんだから受だな。
なんて考えているとお姉様に顔をのぞきこまれます。
なんだか先輩に女装させた感じです………
「へー可愛いね。お姉さんと一緒にコスプレしてみない?」
「止めろ!平岡さんに迷惑だ!」
「コスプレ!したいです!」
「え?ひ、平岡さん?」
私は思わず叫んでいた!
仕方ないと思うんだ!だってやってみたかったんだもん!
私はそのままお姉さんに拉致された。
お姉様の部屋は凄かった!
布やら靴やら武器!
凄い武器凄い!
私がうっとり武器を見ているとお姉様はニコッと笑った。
「それ達也が作ってくれたの!いや、無理矢理作らせたの!」
「先輩が?凄い!造形士スペック!」
「平岡ちゃんってばこっち側の人間の臭いがするわ!因みにBL好き?」
「好きです!」
私とお姉様はガシッと手に手をとった。
お姉様は私に今流行っている深夜アニメのコスプレをさせてくれた!
「む、胸が足りない!」
泣きたくなりました。
お姉様も苦笑いです。
このアニメ好きなのに………
そこにドアをノックする音が響いてひかえめに開いた。
「姉さん入って大丈夫?」
「あ、うん。良いよ。」
三木谷先輩は私を見ると柔らかい笑顔を作ってくれた。
「こら、達也!あんまり近寄んな!」
「?何で?」
三木谷先輩が首をかしげると、お姉様は先輩の高い位置にある頭を殴った。
「平岡ちゃん胸元あいてるからお前の高さからじゃ見えちゃうでしょ?さがれ!」
三木谷先輩はチラッと私の方を見ると真っ赤なってドアにしがみついた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」
「いや、私のお胸様が成長していないから悪いんですよ!見たって楽しくもなんともないと思いますけど?」
「平岡ちゃん!大丈夫よ達也はひかえめなお胸様が嫌いじゃないから!」
「姉さん!やめて!」
三木谷先輩はかなり虐められているようです。
「ほら、平岡ちゃんを別のコスさせるから出て出て!」
「姉さん!平岡さんは本借りに来たんだから解放してあげてよ!」
「お前受験生だったよな?部屋で勉強でもしてろ!」
三木谷先輩は私を助けようとしてくれたみたいだ!
「着替えたら行きます。待っててください。」
「えー終り?達也なんか待たせとけば良いよ!平岡ちゃんの似合うコス見つけるまでやる~!」
「あの、また来ても良いですか?」
「達也!何この可愛い生き物!勿論来て来て!メアドと携帯の番号教えて!」
なぜか先輩より先にお姉様と携帯の番号とメアドを交換してしまいました。
先輩が部屋を出ていくと同時に元の制服に着替えてお姉様に挨拶をして部屋を出た。
部屋の前には三木谷先輩が待っていてくれた。
「お待たせしました。」
「家の悪魔がごめんなさい。」
「えっ?素敵なお姉様ですよ。」
「あれは悪魔だよ。」
三木谷先輩は遠くを見つめて呟いていた。
三木谷先輩は私に笑顔をむけると先輩の部屋に案内してくれた。
先輩の部屋は本だらけだった。
二面本棚一面が机一面がドア。
机の上も本が並べてあって床にも本棚に入りきらない本が積み上がっている。
「どこで寝てるんですか?」
「真ん中に布団敷いて寝てるよ。」
「地震とか怖くないですか?」
「うん………ちょっと揺れただけで死ぬと思うよ。」
先輩が突然心配になりました。
「死なないで下さいね。私にとって先輩は…」
「えっ?」
「神なんですから!」
「か、神?」
「図書館に私の好きな本をもたらしてくれる神だと思ってます。」
「そ、そっか神か。」
「あれ、借りて良いですか?」
「う、うん。」
その時激しい足音ともにドアが勢い良く開いた。
「兄ちゃん!」
「達希どうした?」
「………」
たぶん弟さんだと思う男の子は私を見ると固まってしまった。
「達希?」
「うわ~!兄ちゃんが女連れ込んでる~!爆発しろ~!」
「た、達希違うから!平岡さんはそう言うんじゃないから!」
「何が違うんだよ!兄ちゃんだけリア充なんてひでーよ!俺を悪魔の生け贄にささげて自分は彼女とキャッキャウフフするんだろ!仲間だと思ってたのに!」
ここで言う所の悪魔さんはお姉様ですよね?
「達希殺されちゃうぞ!」
「兄ちゃん!こんな可愛い彼女いつ作ったんだよ!羨ましい!」
か、可愛いって言われた!
嬉しい!
私には無縁の言葉だと思ってた!
「異性に可愛いって初めて言われちゃいました!先輩の弟さん良い人ですね!」
「えっ?平岡さんは可愛いよ。」
「な、何なんです?喜ばせても何も出ませんよ!」
「イチャイチャすんなよ~!」
弟さんに叫ばれて先輩はビクッと肩を震わせていた。
「弟さん私は彼女じゃないですよ!先輩そろそろ帰りますね!これとこれとこれ借りて良いですか?」
「うん。あ、駅まで送るよ!」
「ありがとうございます!」
私が笑いかけると先輩も笑ってくれた。
可愛いな~!先輩。
「やっぱりイチャイチャしてんじゃないかよ~!」
最後に弟さんに叫ばれたけど先輩は気にしていないようだった。
その日は先輩に駅まで送ってもらって帰った。
先輩のいろんな顔が見れて楽しかった
親友になったヒヨリンこと、篠崎日和ちゃんの幼馴染みだと言う生徒会の副会長であるイケメン眼鏡の城井雪兔副会長に話しかけられたのは先輩の家に遊びに行って暫くしてからだった。
「秋ちゃん!」
驚いた。イケメンメガネ様に名前をちゃん付けで呼ばれたのだ!
「副会長?」
「あ、ごめん。日和がそう呼んでたから!ところで日和なんだけどさ!………」
ひとしきりヒヨリンの話を私にしてくる副会長はヒヨリンの事が好きなんだって解って嬉しかった。
美男美女でお似合いだし、上手くいけば良いと思って私もヒヨリンの話を副会長に話したんだ!
ヒヨリンには内緒って二人で笑った。
副会長は私の頭を撫でると言った。
「秋ちゃんが側に居てくれるだけで安心だ!あいつのこと頼むね。」
「任せて下さい!」
私達はそう言ってわかれた。
そして、そのまま私は図書館に向かった。
図書館は司書さんすら居なくて寂しい状態だった。
暫く本を物色してると三木谷先輩がなんだか元気なさそうに入ってきた。
「三木谷先輩?」
「?平岡さん………」
「元気ないですね?またお姉様に苛められたんですか?」
「………」
先輩は私を見ると悲しそうに眉をハの字にした。
どうしたんだろ?
「先輩?」
「………平岡さんはその………城井と仲良いの?」
「副会長ですか?さっき仲良くなった気がします!」
「そ、そうなんだ………」
?何?
副会長と私が仲良くちゃ駄目なの?
「?あの、それはBL的な意味で?」
「何でそうなるの?違うよ!何で自分だと思わないの?俺は平岡さんの事が好きなんだ!」
先輩の言葉に私は驚いた。
何で?先輩は可愛くて美人でイケメンで実はプチマッチョで優しくて良いところしかない素敵な人だ。
私なんか………
「さっき城井と話してるの見た………俺勝手に平岡さんと一番仲良いって思ってから、かなりショックで………」
「え?副会長と三木谷先輩なら三木谷先輩の方が仲良いですよ。」
「嘘だ!あの城井がちゃん付けで呼んでたんだ!俺は城井に勝てるとこ無いから………」
シュンってしてる先輩はなんだか可愛い。
「副会長は私の親友の事を話に来ただけですよ!親友が私の事を秋ちゃんって呼ぶから副会長は私の名前をちゃんと解ってなくてそのまま秋ちゃんって呼んでただけですよ!それに副会長に勝てるとこ無いとか違いますからね!私の中で先輩は神だって言ったでしょ!」
「平岡さん。」
「面倒臭い人ですね!先輩!」
「はい!」
「秋!はい、言ってくたさい!秋!」
先輩はかなり驚いた顔をした。
「先輩は私にとって大事な人です。だから特別に呼び捨てにして良いですよ!早く!秋!はい。」
「あ、秋………」
先輩は真剣な顔で私の名前を呼んでくれた。
先輩に名前を呼ばれて一気に顔に熱が集まる。
「せ、先輩………どうやら私も先輩の事が好きみたいです。」
「えっ?」
「名前呼ばれただけで嬉しい。」
「え?えっ?」
「嫌ですか?」
「そんなわけない!」
そう言って先輩は私を抱き締めた。
やっぱり先輩はプチマッチョだ。
なんだか嬉しくて先輩の背中に腕を回したら先輩手に力が入った。
「げふん!ここは図書館なんですけど!」
その声に私と先輩は飛び上がって驚き離れた。
私達を生暖かく見守っていたのは司書さんだった。
見られた………
恥ずかしい。
「君達お似合いだからいつ付き合うかと思ってたけど、けっこう早かったね!」
司書さんいわく私達はいつ付き合っても可笑しくないが、今の関係で満足そうだから進まないだろうな~!って思っていたらしい。
これは副会長様様だと思う。
これは副会長の恋のお手伝いを私もして返さないと!
私は初めての彼氏と手を繋いで帰った。
二人とも照れて何を話したか解らなかったけど、幸せな時間だった。
こんな時間が長く続くことを祈って彼の握る手に力を込めたのだった。
end。
どうでしたか?
単体でもお楽しみ頂けたかと思いますが、心配です。
読んでいただけて嬉しいです!
ありがとうございました!