非労働系魔法少女ニト プロローグ
プロローグ
よかれとおもって6羽ぐらいまで一気に予約更新
月に薄暗く照らされた夜の闇の中、闇を切り裂きながら身近な動物によく似た形の『何か』が疾走する……それを追って魔法少女たるわたし、ニトが走る……
その『何か』の姿を闇の中で見つけ出したわたしの肩に乗っている相棒、ヤヌスが呟く……
「あの姿、ひょっとしたら狼の可能性もあるね……いや、『狼の姿をとっている』可能性があるね……気をつけてねニト……奴らアンノウンは」
「自身の姿によってその能力を変える……でしょ?」
未だにヤヌスと出会って数日……せいぜい2、3回しかアンノウンを退治していないのだが、何度も同じ事を言われたら、相棒のヤヌスの言葉を続けたくなる。
確か、最初の戦いの時にアンノウンの正体について何かを言ってたと思うんだけど…………思い出した。アンノウンは其の名の通り、正体不明らしい……もったいぶって何な答えだけど、こればかりは仕方がない。
より詳しく言うなら、なんらかの動物の姿をもっている真っ黒の怪物、目的、正体共に不明……これがヤヌスに聞いた事である。
「ニト……袋小路に追い込んだし、そろそろアレの準備をした方がいいんじゃないかな?」
アレ……わたしを魔法少女たらしめている、魔法少女ニトの専用装備の事を言っているらしい……
流石にアレは今の魔法少女っぽいわたしの服装には似合わないから、一応終盤にしか使わないに越したことはない。それに、ヤバげな武器を持った魔法少女が職務質問というのは少しアレだし。
「ああヤヌス、別にアレを使うのはいいんだけど……『切り刻んで粗挽き肉団子』にしちゃっても構わないんだよね?」
「ねえニト……もう少し魔法少女っぽく振る舞ってくれないかな? お化粧という名の仮面が外れかかってるから……」
さて、魔法少女の相棒として相応しくない例えを使ったヤヌスはさておき……そろそろフィニッシュにして帰りたいからアレを使うための前段階、呪文の詠唱をしなければいけない。
「いくよヤヌス……『るうそ、ずらじば、るねおいら』!」
その呪文を唱え目の前に現れた紋章に右手をかざし、わたしの武器を握り……目の前の黒い影めがけて突進する……
そしてぶつかる直前、強引に止まりつつ、突進の勢いで『刀』を振り、影を斬った。
一応、刃を返してめった切りにしようと思えば出来たけど、流石に粗挽きには出来そうになかった。無念。
『…………!?』
感情の無さそうなアンノウンも、敵に目の前まで接近され、更に一瞬で体を斬られ、流石のアンノウンといえどもひるむ。
まあ、わたしはこのチャンスを逃すような魔法少女ではないから、この戦いを終わらせるために、隙に乗じて追撃する。
「ニト! キリンザムはダメだからね!」
「ハイハイ分かったよ……キリンザム!」
「キリンザムはダメだって! なんでいつもボクの忠告の直後に……」
わずかなやりとりの間に受けたヤヌスの忠告は無視して、使わせてもらおうかな……キリンザムを
「……肩にボクが乗ってることを忘れないでね?」
ヤヌスとやりとりしてるうちに少しだけ距離をとった狼型アンノウンに向かって突進し、刀の峰を使って……こう、うまい感じに地面に叩きつけるように斬る。
更に、動けそうにないアンノウンをめった切りにする……ひたすらめった切りにする……コスト6以下になるようにめった切り……チャクラァは葬れないのにね?
そして、キリンザムが終わった頃、そこにはただの肉塊と化した狼型アンノウンと、真っ黒いアンノウンの返り血を全身に浴びた魔法少女……つまりわたしがいた。
ヤヌスは……どこいったんだろうね? いつの間にか肩が軽くなってたから気にしてなかったけど。
別にヤヌスの事だし、途中下車したんだと思うから別にいいや
「あー、働いた!」
「ねえニト、一言言わせてもらってもいいかな……?」
わたしの後ろからヤヌスの声がする……突進するときに嫌な予感がしたから降りたらしい。本当かはしらないけど
「敵をめった切りにして肉塊にする魔法少女は斬新すぎて受け入れられないと思うんだ……」
「……うん、わたしもそう思う」
そもそも、武器がこんなんだからこういう戦い方しか出来ないわけであって、武器に関してはわたしに非はないはずだ。
「あと、2@歳でニートの魔法少女もおかしいと思うんだ……そもそも少女じゃないじゃん」
「失礼な、見た目は15歳でしょうが」
「いや、そこ……?」
確かにヤヌスの言わんとすることは分かっている。だけど、これは現実なのだ。
わたし、不動 仁兎はニートかつ20代で魔法少女という、ツッコミどころ満載のステータスなのである。
何故こんな事になったのかというと……だいたいヤヌスのせいである。だいたいどころか、ほぼ全てがヤヌスのせいである。
何があったかは……まあ…………察して……私自身もどうしてこうなったと思ってるから……
一応言っておきますけど僕自身はニートじゃありません(半ギレ)