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1章11話

25番になってから、日々が充実していた。

訓練場では、26番――元25番と、よく一緒に鍛えていた。



「おう。今日もやるか?」


「もちろん」



お互いに、もう敵対心はない。

良いライバル関係だ。



「次は負けねえからな」


「何度だって勝ってやるよ」



そう言い合いながら、訓練を続ける。

26番は、相変わらずギラギラしている。

勝つことへの執着。


それが、あいつを動かしている。

でも、今は。



(良い刺激になる)



お互いに高め合える。

そんな関係になっていた。


ある日。

俺は、ある決断をした。



(ミドルクラスに、挑戦してみるか)



ボトムで1位になった。

当然次は、ミドルだ。


アッシジアに頼んで、ミドルクラスの訓練所を見学させてもらうことにした。



「いいだろう。だが、調子に乗るなよ」



アッシジアは、そう言って許可してくれた。



――――



ミドルクラスの訓練所。

扉を開けた瞬間、空気が違った。


静かだ。


でも、張り詰めている。

訓練している闘士たちの動きが、ボトムとは全く違う。


無駄がない。


洗練されている。


それぞれが、自分の戦術を持っている。



(これが...ミドルクラス...)



俺は、圧倒された。

一人は、藁人形相手に複雑な連続技を繰り出している。


ジャブ、ストレート、フック。

全てが流れるように繋がっている。

スピードを活かした戦い方だ。


もう一人は、重心を低くして、強烈な打撃を叩き込んでいる。

ドスッ、ドスッ

藁人形が大きく揺れる。

パワーを活かした戦い方。


さらに別の闘士は、藁人形の周りを回りながら、様々な角度から攻撃している。

フットワークを活かした戦い方。



(それぞれが...自分の強みを完璧に磨いてる)



ボトムでも、強みを活かす闘士はいた。


でも、ミドルは違う。

その強みが、完成されている。

洗練されている。



(ボトムとは...レベルが違う)



俺のカウンター。

ボトムでは通用した。


でも、ここでは。



(通用するのか...?)



不安が、胸をよぎる。



「おい、見ねえ顔だな。新顔か?」



声をかけられた。

振り返ると、筋肉質な少年が立っていた。



「あ、ああ...見学に来た」


「ボトムの1位だろ?噂は聞いてる」


「...そうだ」


「やっと新しい奴が来たか。ミドルに上がりたいのか?」


「ああ」



少年は、値踏みするように俺を見た。



「まあ、頑張れよ。ミドルは、ボトムとは違うからな」



そう言って、少年は訓練に戻った。

俺は、しばらくミドルクラスの訓練を見ていた。



(強い...)



全員が、強い。


技術も。


経験も。


戦術も。


全てが、ボトムとは桁違いだ。



(これが、あいつが目指していた場所か)



そして、まだ届いていない場所。



(俺も...まだまだなんだ)



そう実感した。



――――



数日後。


俺は、ついにミドルクラスとの昇格戦に挑むことになった。

対戦相手は、24番。

ミドルクラスの最下位。


だが、それでもミドルだ。

ボトムとは、格が違う。


試合当日。

アリーナに立つ。

観客席は、いつもより静かだった。

昇格戦は、それほど注目されないようだ。


対面に、24番が立っていた。

痩せ型。


でも、目つきが鋭い。

ボトムの闘士とは、雰囲気が違う。



「よろしく、25番」


「...ああ」


「カウンター使いなんだって?」


「ああ」


「楽しみだな」



24番は、余裕のある笑みを浮かべた。



「マッチ、スタート!!」



24番が動いた。

速い。

ボトムの闘士とは、動きの質が違う。


俺は構える。

カウンターの基本姿勢。

24番が、ジャブを放ってくる。

軽い攻撃。

様子見だ。



パシッ



顔に当たる。

俺は、反応できなかった。



(速い...!)



もう一発。



パチンッ



また当たる。

避けられない。

24番は、距離を保ちながら、軽いジャブで俺を牽制してくる。



(カウンターを...狙わせない...)



26番と同じ戦術。


でも、24番の方が洗練されている。

ジャブの速度。

距離の取り方。

全てが、完璧だ。


俺は、焦った。



(このままじゃ...じり貧だ)



無理に踏み込む。


でも、それを待っていたかのように。

24番が、カウンターを放った。



ドスッ



腹に拳が沈む。



「ぐっ...!」



芯に響く。

重い。



(やられた...!)



俺のカウンターを、逆に利用された。

24番は、さらに攻撃してくる。

フェイント。

右を見せて、左。



ガスッ



顔に入る。

視界が揺れる。



(くそ...!)



俺は必死に反撃しようとする。


でも、24番は冷静だ。

攻撃を避け。

カウンターを決める。

俺の戦術を、完全に上回っている。



ドスッ、バシッ、ゴスッ



連続で叩き込まれる。

もう、反撃できない。

体が、言うことを聞かない。


そして。

最後の一撃。



ドガッ



顎に叩き込まれた。

意識が、飛びそうになる。

膝をつく。



ドサッ



地面に手をついた。

立てない。



「勝負あり!!24番の勝利!!」



実況の声が響く。


でも、観客席は静かだった。

予想通りの結果だったのだろう。

俺は、地面に倒れ伏した。



(負けた...)



あっさりと。


一方的に。


何もできずに。



(ミドルクラス...強い...)



それが、現実だった。



――――



医務室で、ゴンサロが包帯を巻いてくれた。



「まあ、そんなもんだ」



ゴンサロは、淡々と言った。



「ミドルとボトムは、別物だからな」



「...分かってる」


「お前はまだ若い。これから強くなればいい」


「…んなこと理解はしてるよ」



俺は、複雑な気持ちだった。

負けて、悔しい。


でも、それ以上に。



(自分が、まだまだだってことを知れた)



ボトムで1位になって。

少し、天狗になっていたかもしれない。


でも、ミドルには。

まだ、全然届いていない。



(もっと、強くならねえと)



訓練場に戻る。

藁人形の前に立つ。

カウンターの動作を確認する。



(俺のカウンター...ミドルには通用しなかった)


(でも、それは俺の技術が足りないだけだ)



もっと精度を上げる。

もっと速く反応する。

もっと、強くなる。



(いつか、必ずミドルに上がる)



そう誓って、俺は訓練を再開した。

26番が、隣で訓練していた。



「よう、負けたんだって?」


「...ああ」


「俺も、何度も負けた」



26番は、藁人形を殴りながら言った。



「ミドルの壁は、高い。簡単には越えられねえ」


「...」


「でも、諦めなければ、いつか越えられる」



26番が、俺を見た。

ギラギラした目で。



「お前も、諦めんなよ」


「...当たり前だろ」


「俺たちは、絶対にミドルに上がる」


「ああ」



俺は、拳を握りしめた。



(負けても、諦めない)


(何度でも、挑戦する)


(今までだってそうやって勝ってきた、それが俺だ)



そう決意して、俺は訓練を続けた。



――――



それから、数週間が経った。

ミドル昇格戦での敗北。


それは、俺にとって良い経験だった。

天狗にならず。

現実を知り。

もっと強くなろうと思えた。

訓練場では、相変わらず26番と一緒に鍛えていた。



「次は勝てよ、25番」


「ああ、次こそ勝つ」



お互いに、励まし合いながら。

強くなるために、訓練を続けていた。

ボトムで1位。


でも、それはまだ通過点に過ぎない。

ミドルクラス。

そして、その先。

トップクラス。

本場での戦い。

まだまだ、道は長い。

でも、俺は諦めない。



(絶対に、強くなる)



そう誓いながら、俺は日々を過ごしていた。

ボトムで1位になった。


でも、それはまだ通過点に過ぎない。

ミドルの壁は高い。


でも、いつか必ず越える。

そう決めて、俺は訓練を続けた。

戦いは、まだまだ続く。

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