第九話「宮島JK、ついに島を飛び出す!」
放課後の計画会議
ある日の帰り道、楓が突然言い出した。
「ねえ、みんなで広島市内に遠足行かん?」
「は?市内って…普通に電車で30分じゃん」
「そうじゃなくて!放課後じゃなくて、学校の代わりに!バスとかで!お弁当とか持って!遠足って名目で行くのが大事!」
「結局遊びたいだけでしょ…」
「でも、修学旅行生みたいにお土産も買って、平和公園も行って、原爆ドームも見て、最後はお好み焼きで締めたい!」
「うわ〜、全部詰め込んだ欲張りコース…」
結局、先生に頼み込んで「地域学習」という名目で許可を勝ち取る楓の行動力、恐るべし。
いざ、市内へGO!
当日朝――
宮島口駅に、妙にテンション高いJK4人。
「お弁当よりお小遣い多めに持ってきた!」
「途中でパンとか買う気満々じゃん!」
「お土産に紅葉饅頭買うのやめなよ!地元なのに!」
「いいの!パッケージが市内限定なんだもん!」
電車に乗って30分、日頃とは違う大きな街並みが窓の外に広がると、楓の目はキラキラだ。
平和公園でしっかり学習…?
まずは真面目に平和公園で黙祷。
「…やっぱり来ると気持ちが引き締まるよね」
みのりが真面目に言えば、
「うん…こういうのは大事にしたいね」
ひよりもうなずく。
が、5分後――
「ハト多すぎない!?」
「ぎゃー!パン持ってくるんじゃなかったー!」
さくらのパンを狙って集まるハト軍団に、またしても騒ぎが起こる。
市内観光お決まりコース!
ハトから逃げて、路面電車に飛び乗り、広島城に寄り道。
「天守閣、登る?え、階段?エレベーターなし??」
「頑張れ楓!運動部だったろ!」
「もうやだ!カフェ行こうカフェ!」
カフェで広島レモンのパフェを食べ、撮影大会をして、時間はどんどん過ぎていく。
ラストはやっぱりお好み焼き!
夕方、疲れ切った足を引きずりつつ、有名お好み焼き屋へ。
「やっぱり市内来たらこれよね〜!」
「ソースの匂いだけでご飯食べれる」
「お好み焼きにご飯って炭水化物すぎない?」
「細かいことは気にしない!」
熱々のお好み焼きをフーフー言いながら頬張る4人。
店のおばちゃんが「地元の子が遠足?珍しいねぇ」と笑ってくれる。
帰りの電車、夢の中
帰りの電車では、さくらとひよりはお土産袋を抱えたまま爆睡。
みのりはスマホで撮った写真を整理してる横で、楓は満足そうにつぶやいた。
「たまには市内もいいね〜。島にないもんがいっぱいあった!」
「…結局、君が一番はしゃいでたよ」
「当然です!」
そして明日は普通に授業と補習。
彼女たちの宮島JKライフは、まだまだ続く。
つづく