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第五話「夏、浴衣、宮島水中花火大会!」

広島の夏の風物詩――

宮島水中花火大会。

島から見るもよし、本土側から見るもよし。

でも今年はもちろん、宮島JKたち、全力で島側で楽しむつもりだ。


「今年こそ、屋形船に乗りたかったなぁ〜!」

楓が浴衣の帯をいじりながら、無理な夢を語る。

「そもそも船のチケット、高すぎでしょ」

みのりは相変わらず現実主義。

「でも今年は4人おそろいの浴衣だし、映え度はMAXってことでしょ!」

さくらがスマホを構え、すでに撮影モードON。

ひよりは屋台マップを片手ににんまりしていた。

「まずはりんご飴食べて、たこ焼き、焼きとうもろこし、それから…」


島の夜に咲く屋台とJK

花火開始1時間前――

宮島の参道は、昼とは打って変わって夜店の光と人混みでごった返している。

「浴衣って可愛いけど、歩きにくいよね〜!」

「楓、もう帯ほどけかけてるじゃん!しっかり結び直して!」

みのりが仕方なく直してあげると、楓はケラケラ笑う。

「みのりんがママみたいだ〜」

「誰がママだ」


りんご飴を一口でかじり、さくらはもう一個買おうとする。

「さくら、虫歯になるよ」

「いや、今日はお祭りだからゼロカロリー理論!」

「理論じゃなくて妄想だよ!」


いざ、ベストポジション取り合戦!

みのりの冷静な下調べにより、4人は人混みを避けつつ神社裏の穴場スポットを確保。

海が見えて、潮風が心地いい。

「ここ最高!人少ないし、風通るし、屋台も近い!」

「さすが、みのりんリサーチ班〜!」

楓が頭をなでようとしたが、みのりにピシャッと叩かれた。


「叩かれた…ママなのに…」

「だから誰がママだ」


ドタバタ、そして打ち上がる花火

ちょうど場所を取れた頃、どん、と一発。

夜空に咲く大輪の光と音に、4人同時に「おお〜!」と声をあげる。


「今年も始まったね〜!」

「音がお腹にくる感じが好き!」

「わかる〜!」

「これぞ夏って感じだよね…!」


しばし、花火を見上げて静かに…

とはいかないのが宮島JKズ。


「あっつい!かき氷買ってくる!」

「トイレ行きたい〜!誰か一緒来て〜!」

「え!りんご飴落とした!?鹿に食べられた!?」

「は!?ここまで鹿来る!?」


静寂な打ち上げ花火の音に、女子高生の悲鳴が混じる宮島の夜。


最後はやっぱり青春

ドタバタの末、かき氷片手に戻ってきた楓が言った。

「なんだかんだで、やっぱりみんなで見る花火が一番だね」

「…ちょっとは落ち着いて見なさいっての」

みのりも、花火を見上げながら小さく笑う。


夜空に大輪の光。

潮風と、屋台の匂いと、ちょっと溶けかけたかき氷の味。


宮島の夏は、こうして笑いと共に更けていくのだった。


つづく


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