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抜け殻
「ねえ夕飯何にする?」
シャワーを浴びて戻ってきた私は、布団の膨らみに向かって声をかけた。
「スパゲッティなら買い置きあるけど。あとは……なんだろ、素麺とか……?」
返事はない。寝てしまったのだろうか。とりあえずのどが渇いたので水を飲む。一人分なら作るのも面倒だからコンビニに何か買いに行こうか。考えていると、玄関でかたりと音がした。スーパーの袋を下げた家人が立っている。
「ただいまー」
「うえっ?」
布団の中にいるとばかり思っていたのに。驚きの声を上げると、「あれ」と向こうも不思議そうな顔をする。
「買い物行くよって言ったけど。聞こえてなかった?」
「き、聞いてなかった……っていうか、え? じゃあこっちは?」
今しがた私が話しかけていたこれは何だったのか。恐る恐る布団に近づくと、中身が空っぽの布団が口を開けていた。
「……んにゃろ」
叩くと、手応えなく布団が凹む。背後から「何してんの」と笑う声が聞こえた。




