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代わり【おばけとカフェと、オーナーと】

 ごみを捨てに行くふりをして、こっそりと裏口を出る。

 座ると服が汚れて怒られる。じめじめとした店裏に屈みこみ、私は大きくため息をついた。


(……なんで、上手くいかないんだろう)


 朝からフライヤーに入れる油をこぼしてストックしていたソースをダメにし、その後焦ったせいで仕込んでいたバットごとサーモンマリネを落とした。多分だけど、さっきのレジ打ちも間違えた。手のひらの傷跡は、午前中に洗っていたお皿を割ったからだ。

 オーナーの役に立ちたいだけなのに。できれば認めてほしい――いや、そこまでいかなくてもいい。人並みに仕事をしたい。叱責や呆れではなく、信頼や賛称の目線で見られたい。

 早く戻らなくては、と思うけれども体が動かない。


 気づくと、隣に誰かが座っていた。女の子……いや、格好がワンピースだからそう見えるだけで大人かもしれない。泣きそうな顔を見られたくて、横を向くことができない。

 ひやりとした感触が肩に当たる。


 ――ねえ、私が代わりにやってあげようか。


 頷いたのは、ここから逃れられればなんでもよかったからだ。

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