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隣室にGが出た日
――隣がうるさい。
ベッドの中で幾度目かの寝返りを打った俺は、ついに体を起こした。。何をしているのか知らないが、隣室がドスンバタンと一時間ほど前からうるさいのだ。なんなら叫び声のような奇声も聞こえる。
夜中にふざけんな。こちとら明日は早番だぞ。
文句の一つでも言ってやろうと隣のインターホンを押すと、バタバタバタと室内を走る足音がした。
ガチャ、とドアが開く。
「あのですね、今何時だと」
「助けて!」
中から飛び出してきた人影が、勢いよく俺の胸に飛び込んでくる。
甘い、パンケーキのような温かい香りが俺の鼻腔をくすぐった。