第五十八話 終わりの時
満身創痍の【死】は微笑んだ。
『フハハッ!!そうか、決着か……いいぞ、終わらせよう。この戦いを。どうやら、下は既に終わっているらしい。』
たしかに、さっきまであった【王】の気配は、もう無い。それと同時に、【槍】の、伊刻さんの気配も消えたというか、小さくなっている。
さっきの援護で力尽きた様だ。
もう援護は来ない。
だが、彩花は起きた。
時間の権能はあと二つ。
「勝てる」『そうだね』
ハルバードを構える。
ハルバードを捨てて万花万蕾の太刀を呼び出す時間はない。
『いくぞ?』
【死】が大きくのけぞり、背中から無数の死の手を伸ばす。
「『龍よ!!』」
龍のオーラが現れ、ハルバードに巻き付く。
「『はぁ!!』」
ハルバードを振ると、龍が放たれ、死の手を己諸共、消し去る。
再定義だ。
「『死の手が俺たちに触れることは、罪である』」
『そうくるよなぁ!!』
死の鎌が怪しく光出す。
『死を、享受せよ!!!』
鎌が振るわれ、漆黒の斬撃が飛びかかってくる。
「『それは罪だ!!』」
咄嗟に叫び、鎖を斬撃にぶつける。
斬撃は消え、死の鎌は音もなく砕け散った。
『定義が甘かったようだ!!』
目の前の【死】が消え、気がつくと背後にいた。
『ほうら!!』
腹を腕によって貫かれる。
「ガァァァァ!!」
その痛みに耐えながら体を振り、【死】を遠心力で飛ばす。
「花よ、形を成せ!!」
「『龍炎!!!』」
吹き飛ぶ【死】に追撃で龍炎をぶつけ、その隙に空に浮かぶ星々の光を集める。
「今度は、お前が焼かれるんだ!!!」
空の光が降り注ぎ、光のカーテンが再び現れる。
が、すぐに消える。
鎖も、ハルバードも、夜空も、なにもかも。
「時間切れ……」
身体は未来のものから現在のものに戻ってしまった。
『好機!!!!』
【死】が死の手を伸ばす。
もう、罪のカウンターはない。
「『時間停止!!!』」
ー•ー•ー•ー•ー
全ての動きが止まる。
そんな空間で、サクラはいつもの様に【死】の背後を取ろうとする。しかし、【死】はそれを見越していたのか、全方位を死の手が覆い、【死】そのものの姿が見えない。
止まった世界で死の手に触れたら、時が動き出した途端に死ぬかもしれない。
もう、後がない。
だから、全てを吹き飛ばすことに決めた。
一輪の花を咲かせ、そこにありったけをぶち込む。
「勝利を懇願する人の想い」
装填
『終焉を齎す花の概念』
装填
「『全てを焼き尽くす幻想の炎』」
装填
花の中で果てしない熱量が円環を成し、回転を始める。
ニューカイロ決戦で使った"神殺し"。
二度目だ。もっといい火力が出せるはず。
そして、時間は動き出す。
ー•ー•ー•ー•ー
花芯にエネルギーが収束する。
世界が揺れ、音が消える。
「『"神殺し"』」
それは死の手もろとも、【死】を包み込む。
そこには、浮いているだけで精一杯な【死】の姿があった。
『……負けた…ここまでして、その力に一歩も及ばなかった。あぁ、しかし、愉しかった。悔いはない。悔いのない死は無いと思っていたが、まさか、【死】自身がそれを経験することになろうとは……』
「お前の力を持って、俺はさらに強くなるよ」
『あぁ、楽しみだ。いつか、本当に神を殺してみせろ……そして、この世界の円環を……回すのだ』
【死】に花の根が突き刺さり、【死】はその概念ごと、サクラの中に入っていった。
『せいぜい、足掻け』
【死】は最後にそう言い残し、消えた。
カイロに広がった死の瘴気は消え、冥界は消滅した。
それと同時に夢結が冥界を構築し、この日、カイロは死の滅びから救われた。
ご精読ありがとうございました
あれ、【王】vs【伊刻】は?
まぁ、それは"いつか"ね?
さて、死滅没落都市は解放され、あとはリザルト画面を見て、次の国へ使うだけ!!




