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第五十四話 弓カス


 「アルス、フィクス、レン……あの二人を頼めるか?」


 ラシプがそう言い、【死廻者】の右二人を指差す。その二人は、【水】と【火】の【四奏】に瓜二つだった。


 「ラシプ一人で二人を相手するつもりかい?それは、儂の役回りじゃないかのぉ?」

 アルスが首を傾げる。


 あぁ、アルスは強い。だけど、【美】と【土】の戦い方に適していない。

 私はシュウと一緒に空から見ていたし、【土】に掴まれた。まぁ、つまり、あれだ。


 「任せろ」


 「分かった。死ぬんじゃないぞ?」

 アルスがその細い目を開き、圧をかける。

 

 「わかった……」


 アルスがレンとフィクスを連れて、【水】と【火】と戦いに行く。

 

 私は【美】と【土】を目掛けて、弓を引く。


 「ーーー吹き飛べ。」


 放たれた矢が着弾すると同時に、【美】と【土】が吹き飛ぶ。

 

 「ーー七宝の強弓……」


 シュウの風に乗り、飛び立つ。


 空中で強弓を引く。


 『あはっ!!!!弓カスがぁぁぁ!!』

 『嫌い嫌い嫌い嫌い!!!』


 【美】と【土】が無数のゾンビと無数の土塊を産み出す。

 

 弓が引かれると七つの宝石が現れ、そこに力が込められていく。


 「死ね」

 

 七宝の矢が放たれ、地面にぶつかる。

 大爆発が起こり、辺りが吹き飛ぶ。


 【美】と【土】ごと。


 「弱いな……」


 所詮、【死】は死。生を与えることなどできない。屍を無理やり動かすことはできても、生前の力には遠く及ばない。


 「いろいろ、杞憂だったか……」


 アルス達の方を見ると【火】と【水】をボッコボコにしている最中だった。

 「あっちは大丈夫そうだな……てことは、」


 上空で【死】と戦う二人を見る。

 

 「は…ははっ…」


 乾いた笑いが出る。

 伊刻とサクラが紙一重の戦いを、触れられたら終わりの戦いを繰り広げているのだ。

 だというのに、二人は満面の笑みなのだ。


 あそこに辿り着くまで、後どれだけの日々を積み重ねなければならないのだろうな。


 ーーーーー


 数多の死の手が迫り来る。

 

 肌で感じる死の気配。

 触れられたら終わりだ。


 使い方の知らない夜空のような翼で飛び回る。【龍】の翼は体の新しい器官として生えるため、死の手に触れられたら終わるが、この夜空の翼は服のように纏っているだけで、死の手に触れられても影響がない。


 「いやっほぉぉう!!!」

 『楽しいぃ!!』

 

 使ったことのない力に高揚感が抑えられない。

 今の俺たちにとって、迫り来る死の手は怖くない。

 

 しかし、飛び回り、避け続けるだけじゃ【死】は倒せない。

 さっきから、花の花弁を固めて作った龍の顎門から【龍炎】を【死】にぶつけているが、大したダメージにはなっていないようだ。

 

 「うーむ……」


 この手に握られた鎌はなんだ?

 背中に背負っている輪っかはなんだ?

 俺らの周りをついて回る鎖はなんだ?


 『なぜ、我が力を持っている?【花】』


 【死】がそう言った。

 我が力?【死】の力を俺が持っているのか……

 

 「伊刻さん!!ちょっと考えさせて!!」


 「早めに戻って来い!!俺が死ぬぞ」

 それ、冗談になっていないです。


 夜空の翼を羽ばたかせ、死の手から逃げながら遠くへ向かう。

 

 考えてみようか。


 今の俺たちの力は未来のものだ。


 『そうだね。少なくとも、【死】を倒した後の時間軸だ』


 【死】の力を俺が持っているという【死】の証言からそれが分かったね。


 『そう考えるとさ、今使っている夜空のような綺麗な翼は、【夜】の力であると考えられない?』


 【死】を倒した後に向かうのは、【夜】が支配するリオデジャネイロだ。その可能性は大いにある。

 仮に、この翼が【夜】のモノだとしたら、他の力もこれから向かう国を支配している怪異の力であるとまで考えられるね。


 『じゃあ、この禍々しい鎌が【死】だとして、この翼が【夜】、もしかすると、周りの鎖は……【罪】の力…?』


 そうなってくると、この輪っかはなに?


 『………【月】?』


 え、マジ?俺らこれから、【月】の皇帝陛下と戦う運命にあるの?


 『まぁ、可能性は十分に……あるよね』


 まぁ、いいや。

 

 力の使い方を考えよう。

 

 月の輪は……うん。わからないから、一旦放置だな。

 死の鎌は、多分、ここで使うことはないね。

 『ゲームの属性的な話で、死の属性に死の属性はあまり通用しなさそうだしね』


 この罪の鎖……使い方は…多分わかる。

 じいちゃんの話で出てきた。


 罪は自分勝手に法を敷き、その法に則って……まぁ、自分に攻撃を与えてくる者を罪人として、その攻撃を与えてくる者に対してカウンターをぶつける力…みたいなことを言っていた。


 『よく覚えていたね』


 何度も聞かされた。

 じいちゃんが倒せなかった相手だからかな、何度も噛み締めるように話していた。


 だから、この鎖は【戦争】を超える力だ。


 『じゃあ、私たちはいつか、水越さんを超えるんだね。感慨深いよ』


 ああ、だからこそ、勝つよ。

 

 夜の翼を広げ、【死】と伊刻さんの位置まで戻る。


 「伊刻さん!!お待たせしました!!」


 「よし!」


 死滅没落都市、最終決戦開幕。


 『来るといい。』

ご精読ありがとうございました


死廻者は弱いっすねぇ。


さあ、未来のサクラをお楽しみください。



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