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第五十三話 行け


 【死の怪異】が目覚めた。

 

 第一の時では、死の瘴気によって不死性を奪われ、【四奏】に敗北した。

 第二の時では、伊刻湊が単身で挑み、力尽きた。

 

 だから、【四奏】を先に片して、【死の怪異】と全員で戦えるようにした。


 2回しか巻き戻っていないから、【死】の目的はわからない。

 でも、これまでだってそうだった。


 【龍】の目的も、【氷】の目的も分からなかった。


 そして、分かる必要もない。


 「ここで【死】を得る。」


 死は夢と相性が悪いと言われた。


 だが、それだけじゃないと思う。


 多分、死はあらゆる生命体とその生活行為に対してのカウンターだ。


 狐も、龍も……花も


 だからこそ、俺はここで死を得る。


 死を得る為の戦い方は思いついている。


 あとは、実践あるのみだ。


 ーーーーーー


 『死しても尚、死を欲する愚か者たちよ、最期を超えたその先で、我が配下として目を開けよ。廻れ、死の円環よ。まだ、そこに帰る時間ではない。』


 死が唱えると、瘴気が集まり、形を成す。


 四体の【死廻者】。

 全てを葬る四人。


 『きゃはっ』『御身よ……』『あぁ、幸せ幸せ幸せ』『また、怪人さんを殺せるね!!』


 『行け』


 ーーーーー


 クフ王のピラミッド付近、瘴気が充満して何も見えない。


 「いきます!!!」


 暴風が巻き起こり、瘴気が払われていく。

 瘴気が払われると視界が晴れる。


 四体の影と、今にも飛び立とうとしているあれは、死の化身だ。

 

 揺れる、揺れる。


 誘う。近し者を、朽ちた者を、老いた者を。


 惑わす。喪いし者を、奪われし者を。

 

 拐かす。魅入られし者を。


 我は神として、


 世界は我を恐れ、怯えよ。


 我が来た。


 【死】は汝らのすぐ隣に居るぞ。


 【死】は汝らを見捨てない。どんな時でも、すぐ近くにある。


 甘美なる【死】などこの世には無いのだと。


 享受しろ。


 【死の怪異】が大きな羽を広げ、天高く飛び上がる。

 それと同時に四体の影もこちらに迫ってくる。

 

 「あやつらは儂らで十分じゃ!伊刻とサクラは、【死】を終わらせにいくのじゃ!!」


 アルスがそう言い、ラシプ、フィクスも頷く。


 「死んだら許さないからね?」


 レンが俺たちの手を握りそう言う。


 「死なないから信じとけ」

 

 「わかった!!」

 

 レンの手を優しく解き、伊刻さんに目を合わす。


 「行きましょう」

 「おう。」


 【槍の怪人】と【花人】が飛び立つ。


 「さぁ、死に損ない共、俺らが相手だ!!」


 フィクスの威勢のいい声が響き渡り、戦いが始まる。


 ーーーーー


 「で、死に勝つ手段ってのはなんだ?」


 「『こうするんですよ』」


 ーーー時間……跳躍!!!!


 飛べ、飛べ、飛べ!!!


 時間跳躍の指定範囲を自分だけに指定する。そうすることで、未来、【花の神】と戦える程にまで成長した俺達をこの身体に連れてくることができるはずだ!!


 →→→→→


 「『記憶は無理だったかー、だけど想定内。あとは……』」


 体の時間が戻り出しているのを感じる。

 時間の流れは常に前に向いている。だから、時間逆行を使用した後はその流れに身を任せるだけでいい。

 しかし、この時間跳躍は自分だけが突出した時間軸を体に纏っている状態になる。故に、世界から平衡の取れた時間に戻そうと修正力がかかる。世界ごと跳躍を行えば大丈夫なんだけど、今、俺にそれをする勇気はない。


 だから、こうする。

 

 俺達の未来があるってことは、ここで俺達は負けないという事実が証明された。

 だからと言って跳躍を世界規模で行えばこぼれ落としてしまう命もあるかもしれない。故に、ここで俺は自分の力で死を倒し、吸収する必要がある。


 さぁて、自分の体が元に戻る前に決着をつけたいが、それは無理だろう。


 なら、


 ーーーー時間停止!!!


 俺は、自分の体の“状態”にそれを付与した。


 体の時が止まり、修正力が効かないこの状況で、


 「お前を倒す。」


 『すっご!!なに、この力!!あらゆる力が満ちてくる!!これが、未来!!』

 

 「そうだぜ、彩花!!これが、俺たち流の、【花神】モードだ!!」


 月の輪を持ち

 龍の顎門を纏わせ

 死の鎌を携え

 夜の翼を広げ

 罪の鎖を操り

 花弁に身を包み

 人の業で作られたその体。


 「すげぇな……俺も負けてらんねぇよ」

 

 「『さぁ、行くぜ?【死の怪異】』」


 上を向く。


 【死】は笑い、翼を広げる。


 『来い!!!愚か者共!!!』

 

 その時、斬撃が【死】にぶつかった。

 『ほう…』


 『吾輩を忘れるな!!!!参戦じゃあ!!!』


 【王の怪異】の襲来。


 「マジかよ」

 「『面白くなってきたぁ!!』」


 『行くぞ!!【死】、【槍】、【花】!!

 王の凱旋じゃ』


 『ならば来い!!!全員まとめて!!!』


 「二体同時にぶっ飛ばす!!いいな?サクラ!!彩花!!」


 「『了解!!』」

ご精読ありがとうございました


この状況で世界ごと時間跳躍を行うと、何人か死ぬルートでカイロの街に立つサクラが見れますが、それはかわいそうなのでしません。

戻るのにも時間逆行を使うので、この無駄な瞬間だけで2回も権能を消費しちゃうんですね。だから、サクラは最善択をとっています。


カイロ編も終わりが見えてきました。

安心してください。


パリよりは長くなりません。



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