第五十二話 終わりへ
アビ脱走の知らせを聞き、ニューカイロ組はすぐにザマーレクへ戻った。
「なにがあった!!」
伊刻はアルトライから飛び降り、カイロタワーの上で夢の力を展開している夢結に叫んだ。
「王の怪異の配下による襲撃を受けて、アルスがその対象、私が避難誘導をしている隙に逃げられた。」
「夢を破かれたのか…」
「久しぶりに夢の怪異が口を開いて、一言、死と夢の相性は悪いって」
「相性…か」
戦争と病。
炎と水。
槍と盾。
——怪異との戦いにおいて、相性は死活問題だ。
とにかく、相性が悪ければどれほど強力な攻撃でも致命打にはならない。
そんな中で、星だけは異質だった。
——だが、今はそれを考えている時間はない。
「そこに夢と死が混ざるのか…」
伊刻が頭を抱えると、空間が揺れた。
「あぁ、そういうね……アビちゃんは私のことが嫌いみたい。」
夢結が空を睨む。
死の瘴気が辺りを包み、冷たい闇が訪れる。
「死が目覚めた…」
おかしい。
サクラの話では、死は大量の命がないと目覚めないと……
——アビが何か細工をしたのか?
ーーそれとも、そもそも推測が間違っていたのか。
そんなことどうでも良い。今は…
伊刻が槍を握り、飛び立つその瞬間
「まって!」
夢結が伊刻を抱き寄せる。
「なに?」
「みんなと行こう。」
夢結が空のアルトライを指差す。
「ーーーーそうだな」
ーーーーー
アルトライに戻るとありとあらゆる計器が壊れたように警報を鳴らしていて、その中心地点は"クフ王のピラミッド"
ーーーーー
ピラミッドに張り付くように胎動する死の繭に、アビ……【四奏】レイビは膝をつき、祈る。
「死よ、我が死よ、御身よ!!!お目覚めください、我が命、我が魂、そして、長きに渡り貯めた、この贄をもって!!」
地面から数多の死体が這い上がってきた。
「さぁ、お目覚めを…」
レイビが飛び出し、繭に飛び込む。
ーーーーあぁ、不完全……しかし、心地よい
ーーーーー
サクラがモニターを見ながら説明を始める。
「死が目覚めました。ですが、まだ、クフ王のピラミッドで停滞しています。なので、総力戦を仕掛け、ここでカイロを解放します。」
「まず、シュウの【風】で充満している死の瘴気を払い続けてもらい、停滞している死を襲撃します。」
「まて、サクラ。作戦はそれだけか?」
伊刻が手を挙げて発言する。
「今の俺達なら確実に死を倒せます。だから、大きな作戦は要りません。」
「……」
伊刻はサクラに近づき、耳打ちする。
「時か?」
「はい。有効な力の使い方を思いつきました。」
「信じるぞ?」
「ありがとうございます」
他の人たちも信じてくれた。
ニューカイロでの戦いが良かったのだろう。
これからの決戦はいかに火力を押し付けられるか、が大切。
だから、拠点防衛には夢結一人を残して、アルスも戦地投入されることになった。
「さぁ、行こう。カイロを解放する時だ。」
ーーーーー
来るがいい。
冷たくて、残酷な死を——お前たちに。
ご精読ありがとうございました
勝つぞー!おー!




