第五十話 進む時
二箇所で気配が消えた。
「やっぱすげぇんだわ。」
俺は眼前の敵、ソウドの攻撃を避けることしか出来ないのに、サクラはもう既にソウカを討伐しているようだ。
「負けてられねぇ」
「あれ……二人が死んだよ?流石に笑えないよ。雑魚は早く死んで……でないと御…いや、いやいや、あー。なるほど、本当に君は性格が悪いねぇ…」
ソウドが怪しく微笑む。
「……俺は眼中の外か?」
「雑魚は雑魚」
「ナメるなよ?」
「あー、はいはい。」
胸に聞く。
胸に、【鉄の怪異】に
ーー俺って弱いのか?
『弱いな』
ーー俺に何が出来る?
『……戦える』
ーーあいつに勝てるか?
『やりようだな。お前には、お前だけの武器があるだろ』
ーーそうだな。
「雑魚なりの戦い方みせてやるよ」
「嫌だ嫌だ…早く殺さなくちゃ」
地面から土塊が這い出てくる。
「ばっちこい!!」
全身を鋼鉄に変換し、拳を合わせる。
ゾンビのような動きで土塊が迫る。
一番前に迫る土塊の顔面を拳で砕き、その少し後ろに居た土塊の頭を蹴り飛ばし、左方に回り込んできた土塊に向けて最初に顔面を砕いた土塊をぶつけて両方を砕く。
「抗っても無駄だと言うのに」
フィクスの足元に穴があらわれ、落ちる。
「は?」
「ばいばい。雑魚」
穴が塞がれ、埋葬される。
その顛末を見ていたラシプとシュウは激昂し、矛を向ける。
「「フィクスゥゥゥ!!!」」
ラシプが放った矢がシュウの追い風で速度を上げ、地面を抉り、ソウドにぶつかる。
「無駄だと言うのに…ねぇぇぇ!!嫌だ嫌だ」
ソウドを守るように土塊が現れ、矢をその身で受ける。
「私を見下ろすなよ」
地面から巨大な土の手が伸び、ラシプ、シュウを掴む。
「沈めばいい。そう、沈めばいいんだ。ふヒヒ……ふははははは!!!!!」
「はなせ!!」「離しなさい!!」
「沈んじゃえ!!!!」
ラシプ、シュウが逃げようと踠くが、土の手は離さない。
「ふヒヒ……ひひひ…あ、あれ?」
ソウドが視線を下にもっていく。
貫かれた腹部。
「なんで……?」
「気合があれば這い上がれるんだよ」
ソウドの腹部を貫いたのはフィクスの腕だった。
「雑魚…のくせに……」
「じゃあな。ソウド」
ソウドの頭が粉砕され、土の手は砕けた。
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【王の怪異】と【槍の怪人】の戦いは周囲を破壊して、燃やす、規格外のものだった。
『……終わったようだな』
「…思っていた何倍も早く終われたな。」
『吾輩はここで引く。しかし、良いのか?死は目覚めるぞ』
「は?」
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ニューカイロでの決戦が幕を閉じ、アルトライに集合し、アルトライに届いた一つの情報を伊刻が読み上げた。
「アビが脱走した。」
ご精読ありがとうございました。
ニューカイロでの戦いは幕を閉じました。
あとは、死との決戦だけ。
え?夢結さんは人を逃しすぎてる??
まぁ、前科は……彩花しかないから。
それがデカい?
それはそう。




