第四十九話 弔い合戦 弐
この襲撃で時の権能は使いたくない。
この襲撃で負傷者は出したくない。
ーー故に
この襲撃は短期決戦でなくてはならない。
「どんなに強力な存在でも俺達の本気に勝てるわけない」
これは鼓舞だ。慢心ではない。
『私達なら、負けない。』
ーーこれは慢心かもしれない。
三つの概念武装を並列起動し、眼前の【四葬】ソウカを一撃で屠る。
「火力比べしようか……」
一輪の花を咲かせる。
「よろしい。」
ソウカはその火力勝負に乗っかり、自分の手の中で炎を練り始める。
ソウカがこの勝負に乗ったのなら、確実に俺たちは勝てる。
「勝利を懇願する人の想い」
装填
『終焉を齎す花の概念』
装填
「『全てを焼き尽くす幻想の炎』」
装填
花の中で果てしない熱量が円環を成し、回転を始める。
コレまで相手がぼっ立ちしている状態はなかった。だから、これが初めての発動。
だけど、
成功する気しかしない。
ソウカの手中の炎が溢れ出す。
「弔え!!!"焼骨竈門"!!」
炎が放たれ、俺達の周囲を囲む。
龍の甲冑を持ってしても皮膚が焼ける感覚がする。
しかし、その程度。
「『眠れ。』」
花芯にエネルギーが収束する。
世界が揺れ、音が消える。
「『"神殺し"』」
ーーーーー
「踊れ、御手杵。」
槍と言うにはあまりにも長い刀身を持つそれを伊刻はよく、投擲に用いる。
そもそ、伊刻湊は槍を投擲武器だと勘違いしている節がある。槍の本質は刺突。だから、使い方としては間違ってはいない。しかし、"御手杵"の使い方としては間違っている。
"御手杵"に付き纏う"炎の因果"は振るってこそ真価を発揮する。
それは、伊刻もよくわかっている。
「訓練を受けてこなかったから苦手なんだよなぁ……」
『ほう?吾輩と斬り合うつもりか?』
【王の怪異】は幼女の身なりして内に秘める力は莫大。
そして、あのマントは【王の怪異】の概念武装。
「同類か……まぁ、いいや。【花の眷属】なんだろ?お前。」
『む?まぁ、そうであるな。』
「なら、倒すしかない。その概念武装ごと、な。」
伊刻の持つ御手杵から炎が溢れ出す。
『概念武装か……やれるものなら、やってみるといい』
【王の怪異】はどこか哀愁を感じさせる顔で剣を構える。
「いくぞ?」
『来い。』
二人がぶつかる瞬間、ニューカイロが揺れた。
果てしない力の奔流がニューカイロを揺らしたのだ。
「ははは!!やるじゃん、サクラぁぁぁ!!」
『これは、花の……ははは!!!死の冥界、想像以上に面白くなってきた!!!』
ーーーーー
「寒い寒い寒い!!!!」
スイセンが悶え苦しむ。
本体が消えた今、僕こそが正真正銘の【氷の怪異】だ。五大怪異として、威厳を見せる時だ。
サクラは言った。
この戦いは短期決戦であればあるほど良いと。
なら、
「この一撃を以て、スイセン、君の死としよう。」
辺りの気温が急激に低下していく。
「な、な、な!?怪人さんじゃない!?」
スイセンは焦ったように水を出すが、それは瞬時に凍り出す。
「そ…んな……て、て、天敵…」
「今更気づいても遅いよ。僕は優しいけど、同時に、"冷酷"なんだ。」
「ヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!快感が消えちゃう、快感を、快楽を、オレに、オレに!!!」
スイセンは水を出すが、出せば出すほどその水が凍り、スイセンを固定する。
「"氷奏"」
そこら中の氷が浮かび上がり、円環を成し、高速で回転し始める。
竜巻のように回る氷は周囲の建物を、抉りながら、回転数を増していく。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!」
その光景を見ながらスイセンは命の危機を感じて絶叫し始める。
「じゃあね。」
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダアアアアアアアアアアアアア!!!!ア……ア………
スイセンは氷の円環に抉られて、跡形もなく消え去った。
「おーわり。ん?」
果てしない力の奔流を感じ、そこにサクラの面影を感じる。
「すごいなぁ……サクラは」
ご精読ありがとうございました
神殺し、咄嗟に出た技名ですが、なぜか二人とも同じ言葉を同じタイミングで発しています。なぜでしょうか?きっとそれは、神を殺すと言う最終的な目的があるからでしょうか。
相手は神ではないのに、神殺しの一撃を放つと言うことは相手を侮っていないから。
自分を冷徹だと自己評価しているものは誰よりも優しい可能性がある。
眠い。
おやすみなさい




