第四十八話 弔い合戦 壱
アルトライの緊急脱出口から投下された怪人たちは、同時に着地し、即座に潜伏行動へ移行した。
「……探知を始めます」
俺は地面に手を当てる。
花の根が脈打ち、ニューカイロ全域へと伸びていく。
――南方に、スイセン。
――東方に、ソウカ。
――北方に、ソウド。
そして。
「……マジかよ」
西方。
そこに、明確すぎるほどの存在感。
【王】の気配。
だが、撤退はない。
「伊刻さん。西方へ向かってください。【王の怪異】を」
「了解」
「レン、南方だ。【スイセン】を頼んだ」
「わかった」
「フィクス、北方。【ソウド】を」
「……分かってる」
「じゃあ俺たちは東方。【ソウカ】を叩く」
『行くぜ!』
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ーーラシプとシュウは空中待機で、戦場を援護してほしい
「頼まれたことはきっちりとやるよ。シュウ」
「ええ、任せてください。」
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ニューカイロの街並みは荒廃していて、辺りに死の気配が満ちている。
「な、なぜ!侵入者が!?」「殺せ!死を齎せ!!」
埋葬者達が気付き出し、個々で襲いかかってくるが、警報のようなものは鳴り響かない。
『襲撃されるなんて思ってもいないんだよ』
本当に埋葬者は自分達が死の代行者であると信じて止まないのだろう。
身勝手に人を殺してもいい。
でも、自分達が身勝手に殺されることはあり得ない。
そういう傲慢な心の現れがコレか。
「来い、万花万蕾の太刀!!」
桃色の刀を呼び出し、迫り来る埋葬者を次から次へと切り伏せていく。
その時、眼前に炎の壁が現れ、周囲が自然発火していく。
「来いってことか?」『やばいね』
でも、
「『龍騎士化』」
龍の鱗を纏い、龍騎士となる。
「アベル……行くよ」
龍の鱗は炎に対する耐性が途轍もなく、それを纏った俺達はソウカに対して圧倒的なアドバンテージを得る。
「もう、お前に俺たちは殺せないぜ、ソウカ」
炎の壁の中にはただ一人佇むソウカが居た。
「ああ、死の代行者たる私に、死を齎せられない者など居ません。愚弄するのも、大概にしなさい。」
「『うるせぇ、燃やすぞ』」
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気に食わなかった。
急に現れた男が、伊刻さんと、夢結さんに信頼されていて、こんな作戦をパッと思いついた事が。
でも、記憶を流し込まれて分かった。
アイツの、サクラの頑張りを。
コレが三回目なんだ。
カイロに来るまでの記憶はわからないけど、その前でも頑張ってきたんだろうな……
「負けてらんねぇよ。俺だってなぁ!!」
波のように押し寄せる埋葬者達。
「負けねぇよ!!気合いだダァ!!!」
体を鉄に変えて、突撃する。
「かっけぇよ、フィクス。頑張れ!!」
空からラシプの声が聞こえ、矢が降り注ぎ、埋葬者達を貫いていく。
「ありがとな!ラシプ!」
フィクスは走る。
「フヒッ………アンタみたいな雑魚怪人が私の相手??嫌だ嫌だ嫌だ。嫌い嫌い嫌い。」
ソウドだ。
「雑魚怪人?舐めんなよ、最強怪人、フィクス様だ!!」
「よく吠えるねぇ、雑魚が。ふひひ」
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スイセンの気配があると言われた場所まで一直線。
「すぐに終わらせて褒めてもらおうかな」
僕は手を空に掲げて、目を閉じ、息を吐く。
辺りの気温を急激に低下させるイメージで、
「"絶対零度世界"」
全ての物質が運動を止める。
【氷の怪異】がオーストラリアで常時発動していた力。
二つ目の時で、レンが使った絶対零度世界は民間人に影響を少なくするために威力を落としたモノだったが、コレは違う。
絶対に凍らせる力だ。
「あぁぁぁぁあ!!!寒い、寒い、寒い!!!」
奥から、身体中をこすりながらスイセンが現れた。
「すごいね、ここで活動できるなんて」
「アぁ!!すごい、怪人さんがきている!!殺せるねぇ!!快感を、オレに快楽を!!」
「すぐに凍らせてあげる」
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「こんなところまで来るなんてな。暇なのか?王様は」
『そうなのだよ。吾輩は暇なのじゃ。だから、楽しませておくれよ?【槍】?』
「ふっ、付き合ってやるよ。【王】」
ご精読ありがとうございました
なんか、王、本体が来てますね
ここで、おさらい?です。
人が喋っている時は、「」←これ
怪異が喋っている時は、『』←これ
今更ですね




