第四十五話 降臨
サクラがソウドと戦い、彩花がソウカと戦う。
ほんの少しの戦闘でソウドが土使い、ソウカが炎使いであることがわかった。
「しかし、不思議だ。別にお前たちは怪人ではないのだろう?」
「うひっ……私達は御身の分け身…」
分け身?
死に関連する土と火?他には…たしか、水と…あれ?
レイビはなんだ?
思い浮かばない。
「考えるのはあとか!!」
眼前に迫る土壁を打ち砕き、突き進む。
「ひひっ……御身が目覚める」
ソウドが怪しく笑う。
「は?目覚める?」
「……もう夜明けは来ないぃぃ!!!」
地面から土が隆起して、6体の土人形が出来上がる。
普通ここはソウドと瓜二つの分身が出現するところだと思うが、そんなことはなく、その土人形は歪で人としての原型をとどめていないものだった。
「うっわ……なんだよ、それ気持ち悪いな。」
「気持ち悪い…?無理無理無理無理!!」
見たこともないような動きで土塊達が迫り来る。
「無理無理無理無理」「死ね死ね死ね死ね」「嫌い嫌い嫌い嫌い」「やだやだやだやだ」「ウヒヒヒヒひひひ」
「マジで気持ち悪いのヤバいっしょ……てか、もしかしてソウドって、自認がコレってことなのか?」
「あぁ!!堕ちろ!!」
地面が動き、足元が穴となり、落ちていく。
「は?」
すると、穴に土塊達が飛び込んでくる。
「死ね死ね死ね死ね死ね」
土塊は体を広げ、穴を塞ぐように覆い被さる。
「は?」
土塊によって塞がれた穴
「圧死して圧死、圧死、圧死!!!」
蓋となった土塊が迫る。
底はもう見えている。
なるほどな。
「死に関連する土、てか、ソウドって分かりやすすぎるだろ!!!」
笑う土塊に押しつぶされ、サクラは沈黙した。
ーーーーー
「あー、あー、死んじゃった。ウヒヒヒヒ…何かに気がついたみたいだけど無駄無駄!!死んだらおーしまい!!!甘美なる死はこの世にはないのだからぁ……」
ソウドはサクラが土の下に沈み、沈黙した様を見て何度も足踏みをして悦んだ。
「どうやら、向こうは死んでしまったようですよ?アナタも潔く死んでください」
「え?なに言ってるの?サクラはあんなので死なないよ?」
「ほう?どうしてそう思うのです?」
「良いとこアンタらは五大怪異の分体でしょ?サクラはね、氷の怪異に押しつぶされても生きてたんだよ」
「それは…」
その時、地面が揺れた。
「あれ?」
「なるほど、人の怪異……」
地面が割れ、割れ目から黒いドロドロが次から次に溢れ出していく。
『この程度で、俺が死ぬとでも??』
水源でも見つけたかのような勢いと量で黒いドロドロが舞い上がり、空で形を成す。
「お前の正体はわかったぜ、ソウド…いや、"埋葬"を司る四葬!!!」
サクラが空で叫ぶ。すると、その内容を聞き、彩花が気づく。
「ソウカ、ソウド、レイビ、スイセン……ソウドが埋葬なら、ソウカは火葬?なら、レイビはなんだ?」
「レイビ……アビは美の怪人を名乗っていた。だから、死化粧じゃないのか?」
「じゃあ、スイセンはなに!?」
「えっと…まって、分かんないけど、分かった。四葬は葬式の手順を模倣した戦い方をするバケモンだ。」
サクラと彩花が合わさる。
「『2人の戦い方も把握できた。ここからは、一人二役でいけるな!!』」
「タネが割れたとでも?私の火力は変わらず、ソウドの力もまた変わりません。死の代行者たる我々に貴方達は敵わない。敵ってはならないのです。」
「え、無理無理無理無理!!一回で死んでくれないの無理なんだけど!!」
ーーーーー
「はぁ、はぁ……」
オーストラリアの大地を走り回って氷屍人を倒し続ける日々から一転し、五大怪異の力を授かった存在と一騎打ちなんて僕には身が重い気がするなぁ
「でも、がんばるぞ!」
「あぁ!!気色悪ぃんだよ!!お前、オレと相性が悪りぃんだよ!!」
「だからなに!?」
「溺れ、死ねぇェェ!!!」
津波と見紛うレベルの水が現れ、迫る。
まずいね!!
この水量、凍らせるのは難ないけど、凍らせた後、操るのは難しい!!この形をそのまま凍らせたら自重で折れかねない!!
僕の技量が足りないせいで、後ろにいる人たちに危害が及んでしまう!!だけど、
「凍らせないともっと危ないかも!!」
ーー絶対零度世界
迫り来る波を全て凍らせて止める。しかし、その氷はその形状上、自重で崩れ始める。
「奏氷!!」
「押し込むしかないなぁぁぁ!!」
氷壁となった波の向こう側にいるスイセンが叫び、水を操り、氷壁ごと押し込んでくる。それを氷を操る力を使って、耐える。しかし、そんなうまく行くはずもなく、制御の外れた氷塊が落ちていく。
「きゃーーー!!」
僕の背後で縮こまって怯える人たちに氷塊が落ちていく。
「まって!!まっ…」
氷塊が人にぶつかる直前、風が吹いた。
風が吹き、氷塊は吹き飛ばされ、その風はそのまま氷壁を押すのを助けてくれた。
「え!?」
「よそ見しないで!!」
隣にはいつの間にか、シュウさんが立っていた。
「私の弓で…追い込む!!」
後ろにはいつの間にかラシプさんも居て、凄く大きな弓を引いている。
「破神の矢!!」
放たれた矢はものすごい威力で氷壁の上部を完全に吹き飛ばし、その重量が一気に軽くなった。
「ありがとうございます!!」
氷の単純操作だけじゃなくて、形状変化までできるぐらいの大きさにまで落ちた氷壁を持ち上げる。
「あーー!!怪人さんが増えてるぅぅ!!殺せるぅ!!」
氷壁の向こう側にもまだ相当な量の水を出現させていたらしく、再び、波が襲いかかる。
「私が押し返します!!」
シュウが風で水の波を抑える。
その隙に氷壁を形状変化させ、オーストラリアで僕の本体が作った氷像の拳を模倣する。
「潰れろォ!!」
氷の拳が迫り、ぶつかり、辺り一面に水が霧散する。
背後で怯える人達に、ウインクを送る。
「お腹冷やさないようにね」
霧散した水が僕から放たれる冷気で凍り、雪になる。
カイロは異例の雪景色に染まった。
ーーーーー
「御手杵ェェ!!!!」
槍の怪異の本気の一撃、それをもって映画館の戦いは幕を閉じた。
「なるほど、これが槍…か」
王の怪異は意識を手放すようにして目を閉じた。
「……逃げたか」
王の怪異だった死体はさっきまでの女の子の姿から成人男性の姿に変わっていた。
「…さて、この雪は何かな?」
ーーーーー
「『はぁ……はぁ……』」
長くはない。比較的短期的な決戦だった。しかし、これまで二体の五大怪異とやりあった経験に勝るものは無く、ソウカとソウドを戦闘不能に追いやることができた。
蔓に巻き付かれ、磔にされた二人は意識は失っていないが、身体中がボロボロ、もはや反抗の意思もないだろう。
「お前達の戦い方はまぁ、分かった。ソウカは高火力の炎を囲むように現して竈門のようにし、燃やす。ソウドは、穴を作って埋めてくる。土塊は穴に埋めるための作業用ってとこか。」
「まだ、本気は出していません。まだ、死の時は近くない。」
「あー、嫌だ嫌だ。嫌い嫌い。」
『目的を聞こう』
「お前らの目的はなんだ?」
「御身の復活です」「ウヒっ…御身の復活しかない」
ブレねぇな。でも、御身ってのは、死の怪異だろ?その復活を望む奴らが……襲撃を…
「まさか、人の死がトリガーなのか?」
「素直に褒めなければ。死の代行者として賛美を。その通りです。その通りなのです。」
「ヒヒッ、今更気づいたの?ダサい。キモい、嫌い。そして、」
「「遅い」」
二人の声が重なる。
空は暗く闇に落ちていく。
ーーー〈⚫︎〉ーーー
死の降臨だ。
ーーー〈⚫︎〉ーーー
ご精読ありがとうございました。
やっと書けたぁ……
冠位戴冠戦 術にお熱になり、
レイドにお熱になり、
終章に心打たれて、
年末年始で熱になり、
やっと復活。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。




